死時計 (創元推理文庫 118-22)

  • 東京創元社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118228

感想・レビュー・書評

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  • フェル博士シリーズ。デパートと時計師の家で起こった二つの殺人事件の謎に迫る本格ミステリ。しかしなんといっても、時計の針が凶器だという事件のインパクトが素晴らしいです。
    推理の道筋はいたって堅実だけれど。犯人の意図が……これはたしかにとんでもなく邪悪だなあ。そしてとあることに関して、もう頭っから思い込んでいたことに気づかされてショックでした。いや、でもこれは思い込んじゃうよねえ。私がことさら馬鹿ってわけじゃないよねえ……。
    ラストの犯人を追い詰める策にはどきどきさせられました。あまり同情はできないけれど、犯人、ちょっと可哀想(笑)。

  • なんか展開が遅いような気がします。
    私の目の錯覚ではないような。

    暗い雰囲気と
    実は目撃した人の一部が
    被害者を殺そうとしていた、
    特定の人をわなにかけようとしているのは
    なかなか設定としては面白いです。

    ただ最後の最後まで盛り上がりに欠けるのは…
    正直読むのがつらかったです、

  • フェル博士もの。フェル博士がとある事件のため、カーヴァー氏のところを訪れる少し前に、殺人事件が発生していた。その怪事件にフェル博士が挑むもの。全体的になんだか人間関係がよくわからなかったです……。なんていうか、登場人物の出番が少なく、ミス・ディレクションの討論がやけに長ったらしかったかもしれません。アンフェア説がありますが、犯人に関して意外ではありましたね。トリックは……なんか、無駄に長ったらしくて、そんなんでもなかったかなぁ。

  • フェル博士シリーズの5冊目▲時計師の家で完全殺人の計画が進行していた。おびきよせられた犠牲者の前には銃を持つ男が。だが凶器は大時計の針で▼メルスン教授が語る《飛ぶ手袋事件》デパート連続万引および殺人事件に頭を悩ませていた頃、映画を二回通しで見た帰宅途中に、部品盗難事件があったご近所の時計師の家の中で、前段の捜査官が殺害されたもの。なんとも複雑な凝りまくりな作品。アルコール不足故かフェル博士が不振で、ハドリー危機一髪!ビールで英気を養ってからは快調でしたがね。館モノなので見取り図が欲しかった(1935年)

  • この作品は正直十分理解したと云えない所がある。カーの作品の中でも随一の難解さを誇る作品だからだ。それは視点人物が誰なのか、非常に判りにくいこと、事件もなんだかぎくしゃくしていること、そしてなによりも冒頭にアンフェアとも取れる表現があることだ。
    一応事件を要約すると以下のようになる。

    フェル博士が友人のメルスンと共にカーヴァー邸を訪れると、巡査が急いだ様子でカーヴァー邸に入るところだった。不穏な空気を察知した2人が邸に入ると、死体と銃を持った同居人ボスクーム、その友人の警部スタンレーの姿があった。しかし死体には銃創はなく、大時計の針が突き刺さっていた。ハドリー警部が駆けつけ、死体を見た途端、その正体がエイムズ警部だと判明する。彼はデパートで起きた殺人事件の捜査中でもあった。彼エイムズは事件の有力な情報を掴んで、カーヴァー邸を訪れたようで、焦った容疑者が彼を殺害したようだった。
    事件は明白のようだったが、奇妙な凶器がそれを阻んでいた。

    とにかく人の出入りが激しく、内容は件のデパートの事件も語られ、頭の中を整理するのが非常に困難な作品である。そして皮肉なことにメインの事件よりも語られるデパートの事件の方が面白いのだ。
    そして先にも述べたがアンフェア感漂う表現。これはミスリードとは呼べないだろう。単に意外な犯人をこしらえるために、故意にそう書いたように思える。原文がどのように書かれているか解らないが、この文章にどこに力点が置かれているかによって、フェアかアンフェアか判断が分かれるところだろう。ミステリが犯人当てをメインとし、本書もまたその趣向の作品であることを考えると、作者の意図と反して、これはやはり嘘をついたとしか私には思えない。
    バランス、叙述、そして内容など全てにおいて、カーの中では出来の悪い作品であると云えよう。

  • フェル博士シリーズです。
    フェル博士とメルスンがカーヴァー家の前を通りかかったちょうどその時に1人の巡査がカーヴァー家に入っていき、不審を感じたフェル博士とメルスンもすぐにカーヴァー家の玄関を入っていきます。
    そこで彼らが見たものは異様な光景だったのです。
    2階の奥の部屋の両開きのドアが開け放され、その敷居に1人の男が倒れていて、すぐそばには2人の男と1人の女が立っていたのです。
    しかも、その1人の男の手にはピストルが握られていたのです。
    ピストルを持っている男はカーヴァー家の同居人ボスクーム、もう1人の男はボスクームの友人で元犯罪捜査部の主席警部スタンレー、若い女は養女のエリナーです。
    倒れている男は既に絶命していたのですが、死因となったのはピストルではなくて咽を刺し貫いた大時計の長針だったのです。
    屋根の上にいた目撃者の話ではボスクームは完全殺人の計画を立てていたという事なのですが、理解不能な状況が出来上がります。
    雰囲気十分な暗い屋敷の中、大時計の針という奇妙な凶器を使った殺人というだけでも印象的ですが、屋根の上の目撃者が殺人計画の進行を見守る中、銃を手にして室内で待ち構える殺人者の鼻先で被害者が横取りされるという変わった状況が凝っています。
    序盤の凝りまくった状況が魅力的ですが、少しばかり複雑でもあります。
    不可解な事件はさらに少し前にデパートで起きた時計を盗んだ女が売り場主任を刺し殺して逃亡した事件へと繋がっていくのです。

  • フェル博士シリーズ

    デパートでの万引き犯による主任マンダーズ刺殺事件。時計職人ヨハンヌス・カーヴァに面会に行ったフェル博士。そこで見つかった遺体。遺体のそばにはピストルを握ったボスコム。しかし遺体の死因は時計の針による刺殺。被害者はデパート刺殺事件の担当警部エイムズ。証拠はすべてある女性が犯人と向ける。かつて不祥事を起こし退職した刑事スタンリ。フェル博士の推理。屋根でエリナ・カーヴァと密会後木の枝から落下したドナルド。彼が目撃したボスコムとスタンリの殺人計画。殺人による実験を試みるはずだった2人。

     2010年5月2日読了

  • obtnd

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