帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫)

制作 : 三角 和代 
  • 東京創元社
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本棚登録 : 187
レビュー : 21
  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118303

感想・レビュー・書評

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  • とっても面白かった。もっとカーの作品を読もうと思った! 

    とにかくキャラに茶目っ気があって、遊び心が感じられて満足である。
    特にフェル博士の愉快かつ朗らかな、大げさな探偵ぶりが微笑ましい。その他のキャラもどこか人間臭く、愛嬌があって一人一人が好ましかった。

    そして、ここが凄いところだと思ったのだが、そのキャラクター造形がきちんと事件の鍵になっているところが読み応えがあり、面白い。
    ドリスコル(被害者)の生きている場面は作中には登場しないが、生前の彼の性格、およびその話し方や身振りといったものまでが、ばっちり「どうして彼がそのような行動を取ったのか」という動機づけになっており、説得力を感じた。
    中でも彼が「もっとも恐れていたこと」は何か、と指摘する場面には「なるほど~」と膝を打ちたくなった。

    実際のところ、ミステリーとしては筋が込み入っており、やや読みにくさを感じる。また個人的には、最後の最後でのどんでんがえしは果たして必要だったのか? と思う気もなきにしもあらずだった。
    しかし、それ以外の部分で十分読ませ、かつ楽しませてもらったので☆5つで。いやはや、愉快な読書でした。

  • 連続帽子盗難事件、ポオの未発表原稿盗難事件、ロンドン塔での殺人事件の3つの事件が絡み合います。
    タイトルにもある帽子盗難事件がメインかと思いきや殺人事件に焦点が絞られるので、不気味な「いかれ帽子屋」に期待していたわたしはちょっと残念でした。

    食い違う証言によって複雑さを増す殺人事件が、ひとつの筋の通った解決の道筋を示すのは爽快で、ばら撒かれた伏線も楽しい。

    そしてなによりもフェル博士がとにかく愉快で可愛らしく、ほのぼのしながら読みました。


    ネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








    閉ざされた現場でのフーダニットかと思っていたらアリバイトリックだったというのがおもしろいです。
    しかもそのトリックもいきあたりばったり。
    わたしは天才犯罪者の綿密な完全犯罪より、焦ってドタバタした結果意図せず完全犯罪になってしまった、という展開がおもしろくて好きです。
    フェル博士が作中で言うとおり、遊びのつもりが深刻な事態になってしまうのが滑稽であり悲しくもあります。

  • 霧やら暗い照明やらがやたら強調されてるせいか、事件の骨子どころか雰囲気も見えにくいミステリィ。
    「多分」「断言は出来ないが」「よく見えなかった」等のボカシセリフが頻出。さすがイギリス…灰色の街…。何を信じて推理すればいいやら…。

    ロンドン塔が舞台という魅力的すぎる舞台設定と、フェル博士に踊らされるハドリー警部のおかげで、安楽椅子探偵ものはあまり好まない私も最後まで興味深く読めました。警部いいよ警部(*^^*)未解決っ←

    謎自体はそれほど派手じゃないのに(死体の置かれた場所は派手か…)、帽子盗難と未発表原稿盗難という被害者近辺で起こった事件が、殺人事件と何らかの関わりがあったと浮き彫りになる経緯や、新しい人間関係が見えることで新たに浮上する謎など、息もつかせません。

    解明部分は犯人がまさかの自白をしてフェル博士がフォローするというものでしたが、登場人物達の既出のセリフや行動全てが端整な答え合わせに収束していく部分は、非常〜に心地良いです。
    単純なフーダニットかと思いきや、謎の主眼が××××に置き換わる手際も鮮やか。う〜ん、すごい…。


    ただ、ロンドン塔の平面図がいまいち分かりにくいので、ページを割いて色々な方向から立体図で示すとかすれば、もっと良いんだけどな…(我が儘)。

    あと、シルクハットの内部構造とか知らない日本人には、なかなかのアンフェア臭は漂います。

  • ジョン・ディクスン・カーの『帽子収集狂事件』を読了。

    ロンドン塔の逆賊門で発見された一人の死体。その頭にはシルクハットが被せられていた。“いかれ帽子屋”と呼ばれる人物の帽子盗難被害が相次いでいた中での殺人事件。

    それだけならば大してストーリー的に惹かれるものはないが、本作はポーの未発表原稿も関係していると見られる事件で、古典ミステリファンには堪らない要素が含まれている。言うまでもなく未発表原稿というのはフィクションだが、作品には一層のめり込めることだろう。

    カーのベストミステリと言えば、しばしば『三つの棺』や『火刑法廷』が挙げられるが、かの江戸川乱歩は『帽子収集狂事件』をカーのベストミステリに選んでいる。何でも、密室以上の不可能性がその理由の一つらしい。

    密室と比べどちらがより不可能性が高いかはそのトリックにもよるだろうが、本作で使われているトリックは十分に不可能性はある。乱歩にとってはこちらが優ったということだろう。ただ、驚天動地というのは些か過ぎた表現ともとれる。

    余談だが、来年にはカーの孫娘シェリー・ディクスン・カーの作品が発売される。何でも切り裂きジャックが題材とした時間遡行もので、アメリカでも好評だという。彼女の場合、その肩書きも味方しているかもしれないが、それは実際に読んでから判断したい。かなり楽しみだ。

  • ギデオン・フェル博士物。
    もうずいぶん前に一度読んだことがあって、その時はピンとこなかった「ポオの未発表原稿」の価値が、今ならわかる!
    もっとそのことを嘆き悲しみなよー!!
    殺人事件より誰が犯人かよりそっちがショックだ!という後半の展開。

  • 帽子を盗んだ後、不可思議な場所に帽子を飾る愉快犯がとうとう殺人まで…
    という序盤の展開はグッとくるが、オチがわかると案外あっけない。
    緻密に構成されたフェアな展開。

  • 前半は事件の検証に終始して退屈。後半からは、探偵役フェル博士のキャラが全開で面白かった。

  • 再読ですが、なかなかよかった。
    最初読んだ時はなんか、カーらしくないかなって感じでしたが、今回また読んだらいいと思った。
    伏線がなかなか面白いのが確認できたことで、ミステリーとしてレベル高いなあ。

  • 再読(といっても、新訳版としては初読み)。旧訳の方のレビューにも書きましたが、ハドリーとフェル博士が繰り広げるお茶目&ウィットに富んだ探偵論議や警察ごっこ、ネズミのおもちゃなどハッタリやらドタバタやらロマンスやらが入り乱れて面白かったです。
    まぁ、話としては淡々と殺人事件の捜査をしているだけなので、派手さに欠ける印象を持たれる人がいるのも判ります。
    が、解決編でフェル博士があかす事件の真相と、それまでに本編にちりばめられた伏線を拾っていくと、じわじわ感心できるところがこの作品の面白さかなぁ、と。
    新訳ではロンドン塔の見取り図が改善されててちょっとイメージしやすくなったかな?

  • 数少ない読了翻訳本。しかもなかなか面白かった。快挙。
    ただし人物紹介&事件現場の見取り図と本文との行ったり来たりで、やはり読むのに時間がかかった。

    ただのフーダニットだと思って読むと、最後にひっくり返される爽快感にびっくりする。
    読んでよかった古典という感じ。

    島田荘司(鮎川哲也だったかも)氏の解説が江戸川乱歩のマイベストにからめてこの作品を語っています。本編を理解するのに大変お役に立ちました。

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著者プロフィール

John Dickson Carr

「2006年 『幻を追う男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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