髑髏城【新訳版】 (創元推理文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118396

作品紹介・あらすじ

ドイツ・ライン河畔に聳える奇城〝髑髏城〟。城の持ち主であった稀代の魔術師マリーガーが、走行中の列車内から身を投げてから十七年が経った。そして今、城を継いだ男が火だるまになって胸壁から転落、凄絶な最期を迎える。魔術師の遺産を共同相続していた富豪から依頼を受けて、予審判事アンリ・バンコランは死の影が漂う城へと捜査に赴く。そこで彼は、ベルリン警察の主任捜査官にして好敵手フォン・アルンハイム男爵と邂逅を果たす――。古城を舞台に火花を散らす仏独二大名探偵の推理、新訳決定版。解説=青崎有吾

感想・レビュー・書評

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  • ディクスン・カーの第3作目とのことです。
    相変わらずカーお得意の怪奇趣味と不可能犯罪が冴え渡る作品となっています。
    今回のお題は、髑髏に見える古城での焼身場面をライン川の対岸の別荘から目撃したというシチェーションの謎です。これにかつて髑髏城の持ち主だった魔術師マリーガーの謎の死亡事件が加わります。
    謎を解くのはご存じ、フランスはパリの予審判事”魔王”アンリ・バンコランです。
    もうこの組み合わせだけでわくわくしてきちゃいますね!
    そして、バンコランのライバルとして登場するのは、ドイツの誇る主任判事ジークムント・フォン・アルンハイム男爵です。
    全体の雰囲気が重苦しく重厚に描写されているので、否が応にも小説の世界に深くハマり込んでいきます。ただ、訳者があまりにも意識し過ぎたためか、日本語訳としてはかなり大仰な表現の箇所がいくつもあり少し読みずらい部分も多々あるのですが、その内、気にならなくなりました。
    重厚な雰囲気に見合った髑髏城という大掛かりな舞台装置が用意されていて、別荘に滞在する容疑者たちもそれぞれが怪しい言動を行うので、ますます気分も高まっていきます。ただ、重厚な雰囲気を盛り上げるための描写として、時折、滞在客のバイオリニストが演奏を行うのですが、曲目といえば『アマリリス』であったり『ハンガリー舞曲5番』であったりして、これって、むしろ逆効果の癒し系とか楽しい音楽なんじゃ・・・!?(笑)
    こうした雰囲気の中で行われるバンコランとアルンハイム男爵との知恵比べというか会話の駆け引きについては、大いに魅せられました。ただ、ここまでしてライバルを煽っておきながら、ラストのアルンハイム男爵の取り扱いにはちょっと納得がいかなかったですね。(笑)
    終わってみて、冷静に考えれば、えーっ!という設定もあるにはあるのですが(第一、あの状態で果たして担ぎ上げれるのだろうか・・・?)、これも全て大掛かりな舞台装置と雰囲気の中で何となく了解できたとも言えます。(笑)
    カーの魅力が味わえる一作といって良いでしょう。

  • 本格ではなく怪奇寄りの内容。新訳ということだけど文章は読みづらかった。おそらく原文のせいだろう。

  • アンリ・バンコランの第三作です。ヴァイマル共和制下のラインラントが舞台で、怪奇趣味てんこもりのお城もの。ライン河畔の髑髏城で炎に包まれた名俳優が落下した。依頼を受け現地に乗り込む魔王様一行が邂逅するは、かつての諜報戦の好敵手フォン・アルンハイム男爵、ベルリン警察から派遣され「24時間以内に犯人を逮捕する」と宣言するのだった。ゲームが始まり17年前へと遡る。語り手はジェフ・マールでラブロマンスもあるが飲み会多し、管轄外では優しい魔王様が見れます。闇と光の中で行われる推理合戦を堪能してください。(1931年)

  • ダメだ…。
    もうとにかく読みづらくて読みづらくて読みづらくて、まったく頭に入って来ない。
    原文がそうなのか、翻訳のせいなのか、ホントにまったく読みづらい。
    何回も読み始めては諦めてを繰り返して、何とか最後まで読み切ったけど、結局何だったのか、まったく分からない。
    嫌なキャラとかそういうのは全然ないけど、とにかく読みづらくて話が頭に入って来ない。

  • ライン河畔の古城、髑髏城の城主、魔術師メイルジャアが謎の死を遂げた。あれから10数年が経ち、またも城主が火だるまになって転落死。名探偵アンリ・バンコランがベルリン警察の好敵手アルンハイム男爵と謎解きに挑む。初期のカーの怪奇趣味はバンコランものに限る。トリックはまあ、置いといて。

  • 2020/05/22読了

  • ライン河畔にそびえる「髑髏城」。城主だった魔術師の謎の死から始まる二つの殺人事件、髑髏城がライトアップされた時の描き方など最高に「映像美!」って感じで素晴らしかった。そういった物語の雰囲気作り、クセのある登場人物達の描き分け(これについては最後の訳者あとがきでなるほどなぁと思うことも)、探偵役が二人による多重解決モノと、初期の作品ながら、カーの要素盛り沢山でこれは面白かった。

  • 順番に読んでいませんが、バンコランシリーズ3作目だそうです。パスティーシュされた、「人狼城」と「双月城」を先に読んでしまっているので、ついそちらと比べてしまい事件の謎に関しては特別な驚きなどはなかったのですが、バンコランの鋭さ、ことにアルンハイム男爵との対決の結末は想像を超えてきました。出てくる女性たちがみな強いのも印象に残りました。新訳はとても読みやすく、訳者のあとがきも、青崎さんの解説もわかりやすくて良かったです。森美夏さんの表紙絵もとても好みです。

  • バンコランシリーズ。そして好敵手のアルンハイム男爵との推理勝負も読みどころ。一冊で二度おいしい解決が楽しめました。一瞬「バンコラン解決しないのかよっ!?」って思ったし(苦笑)。
    タイトルからしてもうこれは魅力的です。禍々しさ限りなし。元城主である魔術師の謎の死、そして今の城主もまた不可解な死にざまを遂げることに。かなり怪奇的雰囲気もありながら見栄えのする事件ですが。真相では、予想もしなかったところでおぞましい真実を知ることに……うわあああ、これは嫌すぎる。とんでもなくぞっとさせられました。

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著者プロフィール

別名にロジャー・フェアベーン、カー・ディクスン、カーター・ディクスン。1906年、アメリカ生まれ。新聞や学生雑誌への寄稿を経て、30年に「夜歩く」で作家デビュー。長年の作家活動の業績から、63年にアメリカ探偵作家クラブ賞巨匠賞、70年には同特別賞を受賞した。1977年死去。

「2020年 『帽子蒐集狂事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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