緑のカプセルの謎【新訳版】 (創元推理文庫)

制作 : 三角 和代 
  • 東京創元社
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本棚登録 : 80
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488118419

作品紹介・あらすじ

小さな町の菓子店で、何者かが商品に毒入りチョコレート・ボンボンを混入させ、死者が出るという惨事が発生した。さらにその町の実業家が、自ら提案した心理学的テストの寸劇中に殺害されてしまう。透明人間のような風体の人物に、青酸入りの緑のカプセルを飲ませられて。不気味きわまりない犯行、甚だしく食い違う目撃者の証言。読む者を驚倒させる、精緻にして大胆な結末とは? フェル博士の毒殺講義でも名高い傑作が新訳で登場!

感想・レビュー・書評

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  • 村の菓子店で買ったチョコレートを食べた子供が死亡、菓子には毒が入っていた。容疑をかけられた女性のおじが毒を仕込んだ方法を見破ったと公開実験をするが、その最中に毒殺されてしまう。
    面白いんですが、淡々と話が進んでいく感じ。人物達も感情は出すんですが、どこか存在感が薄いような。
    観察眼は人それぞれであること、また思い込みによっても左右されてしまうという心理トリックは、そう上手くいくものかという疑問はあるものの、よかったですし、フェル博士の毒殺講義もストーリーの邪魔をするほど長いですが、興味深く読めました。
    カー作品はいくつか読みましたが、面白いんだけどはまりきれないように思います。

  • 【物語】★★★☆☆ 9
    【整合】★★★★☆ 12
    『意外』★★★★☆ 6
    「人物」★★★★☆ 4
    「可読」★★★☆☆ 3
    『作家』★★★★☆ 8
    【尖鋭】★★★★★ 15
    『奥行』★★★☆☆ 6
    「構成」★★★★☆ 4
    『印象』★★★★☆ 8

    《総合》77 B+

  • フェル博士シリーズ。珍しく毒殺モノ。桃栽培の実業家マーカス、その弟ジョー・チェズニー医師、マーカスの姪マージョリー・ウィルズ、果樹園の責任者ウィルバー・エメットたちが、休暇を取り、旅行に出かけるのだが、案内役を務めたマージョリーの婚約者で化学者のジョージ・ハーディングは、大失敗をする。
     
     住居跡を案内中、毒殺者の家に立ち寄った時、不謹慎な発言をし、場はしらけ、おまけにマーカスに大目玉を食らう。そりゃあ、この一族の住む町で起こった毒入りチョコレート事件がなかったとしても、厳かに立ち去れば良かったものを、空気が読めないと言おうか、信頼できない奴と、のっけから烙印を押されたようなものである。
     
     その、毒入りチョコレート事件では、マージョリーがお使いを頼んだ男の子が、お駄賃で買ったチョコレートを食べて、亡くなった他、別箱で買われたチョコレートを苦いと感じて吐き出した子は助かったものの、不安はぬぐえず、あらぬ噂や嫌がらせが、マージョリーを苦しめていた。気晴らしの旅があだとなった。
     
     旅から戻ったある日、マーカスが独自のアイディアで、夜中に心理学テストを、カメラを回して実演していたところ、芝居では、ひまし油のカプセルの予定が何者かにすり替えられていて、毒殺された。毒物は青酸カリだったらしく、アーモンドの匂いが。また、登場予定のウィルバーは何者かに殴られ、意識混濁中に、青酸を注射され死亡。

     そこで、探偵フェル博士、警察の面々が、調査に当たるのだが、マーカスの友人の教授も怪しい、弟のチェズニー医師もアリバイはあるが、怪しく。ハーディングも限りなく黒に近いグレーであった。

     犯人は不安を煽っておきながら、味方のようなふりをして近づいたクズだった。それより、マージョリーに想いを寄せる刑事がいたことは、良かったなと思った。

    2017.11.11 読了

  • フェル博士シリーズ。久しぶりに古典物?を読んだが、現代物にはない面白さがある。

  • 菓子屋のチョコレートに毒が混ぜられ
    犠牲者が出るという事件が起こった。
    事件に深く関わっていると疑われる
    その田舎町の資産家の主人は、
    毒混入の手口を証明するため
    一つの心理的実験を家族の前で
    演じて見せた。
    だが、実験の中で彼は本物の毒を飲み
    命を落としてしまった。
    複雑な謎に名探偵フェル博士が挑む。



    非常に複雑で、緻密に練られた
    物語、演出、トリック。
    毒入りチョコレート事件をきっかけに、
    怪しい心理実験を試みるという流れは
    他にどんな作家が思い付けるのだろうと
    感心させられた。

    だが容疑者は極少数の人間に限られ、
    本書で語られる毒殺者講義の中にも
    あるように、動機は単純な「欲」。
    犯人が凝らした創意工夫は見事だったが
    お前だったのか、
    そういう事だったのか、
    という驚きは殆どなかった。

  • 〇外文の巨匠、カプセルという初歩的なもので大きなトリックへ
    アルルス・レピドゥスの家を訪れていたエリオット警部は、そこである特徴的な一行の姿を目にする。実はそのレピドゥスの家は「毒殺者」であり、実際に人が死んだ家であった。実業家のチェズニーはその家に嬉々とした表情でいたが、そんなチェズニーの家では殺人事件が起こってしまったのだ。
    その事件の捜査協力を求められたエリオット警部は、原因となったであろうミセス・テリーの店でのチョコレートが毒入りにすり替えられたのかどうかの検証を始める。周辺の人物からは様々な目撃証言や意見の食い違いなどを見つけたエリオット警部だったが、果たして真相は。

    なかなか的を得ない登場人物たちの発言に、読者も刑事たちも困り果てるが、フェル博士の講義も経て少しずつ真相が明らかにされていく。イギリス人らしい挙動や立ち居振る舞いも、カー作品の醍醐味なのであろう。日文小説と比べても面白く読んだ。
    ポイントになる部分をイマイチ見つけられなかったものの、最後は思わぬ犯人にたどり着こうではないか。

  • フェル博士シリーズ。
    HM卿と外見はそっくりなのだが、フェル博士の方が人当たりは良い感じなのだろうか。なんだかHM卿は悪態をついてばかりいる印象があるので。

    青酸はアーモンドの香り。
    というのはミステリ読みにとっては常識ですが、あまりにも濃度が強い場合、揮発した青酸で二次被害が出ることがある、ということをちゃんと買いている本ははじめて読んだ気がします。
    みんな、安易に青酸中毒の人の呼気を嗅いだりしないようにね!
    しないです。
    あと、桃の種にも青酸化合物が含まれているというのもよく聞くわけですが、桃農家だから家にアーモンドの香りが渦巻いてるって、そんなことがあるのかしらん…
    あ、アーモンドがバラ科でナッツというより桃というのは、アレルギー的な話でもたまに聞きますねー。要注意。

  • カーお得意の密室殺人やオカルト要素もなく、前半の毒入りチョコレート事件の真相は他愛のないもので物足りなく感じる部分はありますが、メインであるベルガード館当主毒殺事件の不可能性は強烈ですし、謎解きも圧巻。フェル博士による「密室講義」も興味深く読み応えがあります。
    また、旧訳より本作の方が解り易い表現が多く、素晴らしいリマスターだと思います。

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著者プロフィール

John Dickson Carr

「2006年 『幻を追う男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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