- Amazon.co.jp ・本 (524ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488123048
感想・レビュー・書評
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第108回アワヒニビブリオバトル「年越しビブリオバトル2023→2024」で紹介された本です。5ゲーム目。チャンプ本。オンライン開催。
2024.1.1詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
黄金時代の巨匠アントニイ・バークリーが1937年に発表した長編ミステリ。傑作『毒入りチョコレート事件』で見事な推理を披露したチタウィック氏が再登場し、意外な真相を暴き出す。
余命宣告を受けた資産家のトッドハンター氏は、残り僅かな命を有効活用するべく、社会に害をなす悪女ーー舞台女優ジーン・ノーウッドの殺害を決意する。だが、事件の後に逮捕されたのは無実の人間だった。トッドハンター氏は容疑者を救うべく犯罪研究家のチタウィック氏に捜査を依頼するが……
主人公が自らの有罪を立証するため、弁護士や探偵とチームを組んで奔走するという展開が面白い。本作はトッドハンター氏が〈利他的な殺人〉を決意してから驚愕の結末を迎えるまで、「悪漢小説風」「安芝居風」「探偵小説風」「法廷小説風」「怪奇小説風」とスタイルを変えて展開する。無実の他人に濡れ衣を着せてしまったトッドハンター氏の葛藤が丁寧に描かれており、心理描写を重視したサスペンス小説としても楽しむことができるだろう(「善良な資産家が殺人を計画するまで」を描いた第一章はやや冗長だが……)。
ジーンの死以降もチタウィック氏が積極的に捜査に乗り出すような場面は少なく、普通の探偵小説を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。だが、バークリーらしいユーモラスな語り口によって、読者は哀れなトッドハンター氏をつい応援したくなってしまう。また『毒入りチョコレート事件』で見られた〈どんでん返し〉も健在。本格ミステリというジャンル遊戯的に破壊した怪作である。 -
ひねくれた試みや法廷での舌戦がおもしろいが、その性質上、事件自体が薄味な感。
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これまで経験したことのないようなミステリで不覚にも感動してしまった。微妙に日本が出てくるところがなんとも・・・1937年の作品とのことだがこのころの日本は海外旅行で訪れてみたいような国だったのか、その点にも興味をひかれた。
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再読。バークリーらしくて笑える。犯人当て小説全盛の時代にこんなの書いちゃうんだもんなぁ。
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主人公の奇妙な動機とそれに基づく常識はずれの行動はとても奇抜で面白い。
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創元推理文庫復刊フェア2012の1冊(このブクログの検索では1994年の古い刊しかでてこないので表紙カバーが違っている)。いやあしかしさすがに古い。1937年の作品だから75年以上昔だ。しかも鮎川信夫訳というからこれも時代物。だけど新しいものが古いものより優れているとは限らない、これはその恰好の見本だ。舞台が日本だと時代がかった印象を強く受けてしまうところが外国の話なのでそういう違和感が少ない、というかそもそも外国物というと現代小説よりも古典ミステリの方がなじみがあるせいで、かえってすんなり読めてしまうといえるのかも。
ストーリーの奇抜さ、おもしろさ、そして意外な結末とミステリとしては非の打ちどころのない構成になっているのに加え、愛すべき主人公トッドハンター氏のおかしみのある言動がすばらしい色どりを添えている。おそらくというか間違いなくこれは訳者のセンスと筆力が与っているに違いない。うまいと思う。翻訳物の評価は難しい。原作を生かすも殺すも訳者次第だ。最近、古典ミステリの新訳再刊がブームで、作品の印象がガラッと変わるのだそうだ。むべなるかな。だけど古典には古典らしい雰囲気がふさわしい気もするので、いたずらに現代風に訳出するのがよいと言えないよな。この作品などを読むとつとにそう思う。これはこれでいいのだ。よくぞ復刊してくれたと思う。 -
最後に、え?え?え?、となった作品。
長編は、元々苦手なので、途中斜め読みしてしまいました。
主人公の心理に近い書き方がされていたのが、罠? -
2013/04/27読了