マルタの鷹 (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (1961年8月21日発売)
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感想 : 15
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  • 本 ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488130022

感想・レビュー・書評

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  • 探偵もの、刑事ものも好きな私だけれど、
    今回の「女たらし(実績も伴う)の私立探偵」って、はじめてかも。

    私立探偵サム・スペイドのもとへ美貌の依頼人が…

    その夜、瞬く間に二つの殺人事件がおこる…!

    ここからスペイドは最高級の宝石を施した
    通称「マルタの鷹」という
    ある彫像の争奪戦に巻き込まれていく…

    スペイドはパッと見、いかにもハンサムというのでは無いけれど、
    女にもてて、自分も女が好きなタイプ。

    謎多き依頼人、スペイドの浮気相手、お茶目な助手、などなど
    私、いろんなタイプの見た目偏差値の高い女の人がたくさん出てくるお話、好きだよ。

    あと、男の人が男の仕事って感じのに打ち込んでいる話、好きだよ。

    ほかにもひきつけられる、気になる人間くさい人物がたくさん登場し、
    楽しくて面白くて、あっという間に読了してしまった!

    ラスト、スペイドどうする?どうする?とドキドキしたけれど、
    スペイドの選択に、私も賛成~!
    下手な情けは禁物、でもこれが出来ない人間が
    どれだけいるか…、ということね。

    どんな時でも冷静、という訳ではないけれど恐れはしないスペイド…
    いったいどんな人生を歩んできたの?とお聞きしたくなる。

    作者のハメットは私立探偵事務所で働いていたことがあり、
    その経験からこの小説を書いたそう。

    いつも出てくるミステリーランキングの本では19位。
    意外に低いですね。

  • サム・スペイドを主人公とする、ハード・ボイルド派を確立した探偵小説です。1929年発表でハンフリー・ボガードによる映画も有名。いまさら何のコメントもいらないような古典ですね。
    謎の鳥の彫像をめぐっての冒険物語と言った方が正確かな。何しろここには、本格的な謎解きも奇抜なトリックも性格異常な探偵も出てきません。いやいや捜査に乗り出すようなスタイルではなく、積極的にあの手この手で事件に自ら関わっていきます。はったりもあり、脅しもあり、暴力沙汰もいとわず。感情を押し殺し冷酷無比に振る舞う探偵。それまでの推理小説のスタイルとは明確に一線を画す、まさにハード・ボイルドです。だからこそ、実際の探偵や警察捜査に近いかもしれません。何しろ作者は元探偵ですから!
    いわゆる本格ミステリー好みの方にはある意味退屈な小説かもしれませんが、息を持つかせぬ展開、個性豊かな登場人物、スリルとサスペンスはさすが。
    評価の別れる本ですが、それだからこそ、手に取るべき探偵小説の1冊です。

  • 「血の収穫」、「ガラスの鍵」、そして本作「マルタの鷹」と、ダシール・ハメットを続けて読んだ。どれも、名作だと思うが、個人的には「マルタの鷹」が好みかもしれない。会話場面での言葉のやり取りが、表情や動作の表現で持って臨場感を感じ取ることができる。

  • 何を思ったか不意に読みたくなり、ずいぶん久しぶりに読み返しました。

    『ハードボイルド不朽の名作』と言われるのも分かります。江戸川乱歩が気に入らなかったというのも、何となく分かります。

    フィリップ・マーロウのようなかっこいいスマートな探偵を理想とする向きには、スペイドはあまり合わないかもしれません。
    でも言葉の本当の意味の『ハードボイルド』ってこうなのか、と思います。

  • 読んだのはカバー変わる前の古いやつで凄いぼろぼろだった記憶が。取り敢えず面白かった。探偵が変なフェミニストでないというのは見てて気分がいい。態度がキッパリしてて

  • レイモンド・チャンドラーが影響を受けた作者とのことで読了。

    巻末解説の江戸川乱歩の感想(大筋が宝探しであり利己的な登場人物の探り合いが特段面白くない)に共感。個人的にはチャンドラーの「PLAYBACK」を想起した。事件の鍵を握る女性が利己的で怯えている体でひたすら本音を隠し嘘を重ねる様は答えを知っている人間にまずは問題を解いてみせろと言われている感覚に近い。女の頬を引っ叩いて答えを吐き出させたくなる(マーロウ風)

    ただ、文章の書き方が事件ではなく主人公のスペード視点を中心に展開されていくのを理解して読むと他の推理小説とは一線を画しこれが1900年前半に書かれチャンドラーやマクドナルドに影響を与えたことは興味深い。

  • ハヤカワから出ていなかった時代に読んだんだろうな。

  • 2016/09/18 読了

  • マルタ共和国が大好きなので読んでみました。
    結果は…う~ん、、、。たいしたことない、という江戸川乱歩の意見に賛成。
    でもハードボイルドものの代表作だそうです。

  • アメリカ、サンフランシスコなどを舞台とした作品です。

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著者プロフィール

1894 年アメリカ生まれ。1961 年没。親はポーランド系の移民で農家。フィラデルフィアとボルチモアで育つ。貧しかったので13 歳ぐらいから職を転々としたあと、とくに有名なピンカートン探偵社につとめ後年の推理作家の基盤を作った。両大戦への軍役、1920 年代の「ブラックマスク」への寄稿から始まる人気作家への道、共産主義に共鳴したことによる服役、後年は過度の飲酒や病気等で創作活動が途絶える。推理小説の世界にハードボイルドスタイルを確立した先駆者にして代表的な作家。『血の収穫』『マルタの鷹』他多数。

「2015年 『チューリップ ダシール・ハメット中短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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