わらの女 (創元推理文庫 M ア 5-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488140014

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  • 第二次大戦中のドイツ、ハンブルグの爆撃により家も家族も財産も全て失われたヒルデガルデ・マエナーは億万長者が妻を求める新聞広告を目にする。広告の内容は独特なものであったが、長年求めてきた財産のため、これに応募した。

    最初に会ったのは億万長者の秘書のアントン・コルフで、自分が指導して高齢で気難しい億万長者であるカール・リッチモンド好みの女に仕立てあげる。ヒルデガルデはカールと結婚し、彼の死後その財産を相続する、アントン・コルフは現在の遺書から受け取れる10倍の20万ドルを受け取ると言う条件で計画を立てる。

    計画通りカールはヒルデガルデを気に入り結婚に至る。しかし、結婚してすぐにカールは死亡してしまう。アントン・コルフはヒルデガルデにすべての財産を残すという遺書を有効にさせるためカールの死を数日秘匿するよう指示する。船から死体を車いすに乗せ自宅まで移動するが、不審を感じた運転手により警察にカールの死が発見されてしまう。

    ここでもヒルデガルデはアントン・コルフの指示に従って真相を隠すが、これが元で殺人の容疑で逮捕される。ここですべての真相がアントン・コルフから明かされる。カールを殺したのはアントン・コルフでその罪をヒルデガルデに着せる。アントン・コルフはヒルデガルデを養子にしたためカールの財産がすべてアントン・コルフに渡る。新しい遺書があるというのも嘘で怪しい行動を取らせるための罠だった。

    アントン・コルフの仕掛けた計画は成功し、彼による完全犯罪が達成される。ヒルデガルデはその欲望をさらに大きな欲望の持ち主であるアントン・コルフに利用される。無実の罪を着せられ死刑判決を受けたヒルデガルデは絶望し獄中で自殺する。

    アントン・コルフほどの悪人は初めてで、他の小説の犯人よりも際立っている。最後にどんでん返しがあるのかと思うとそのまま物語が終わってしまう。悪は見逃され、欲望の持ち主は滅びる。

  • 億万長者の妻求む、という新聞の出会い欄の言葉につられて、富豪の老人と結婚し、あれよという間に陰謀に巻き込まれて破滅する女の物語。

    捕まってからの絶望感が重く、いやー、スッキリしない。確かに定石破りの完全犯罪ものとして歴史に名を残すのでしょうが、この後味の悪さったら。
    エンタメとしては、もうひと逆転、見せ場を作って欲しい。

    というわけで、面白かったけどマイナス一点。

  • ドラマ化作品ですが、2006年7月3日よりスタートしたお昼の連続ドラマ美しい罠の原案です。


    昼ドラマといえば、真珠婦人や牡丹と薔薇などあのお昼なのに濃い~~作品のアレですよ。アレ。
    今回はミステリにいっちゃったわけですね。
    読んでてちょっと感じたのは、松本清張作けものみちにちょっと似てるかなぁってこと。
    結末なんてまさにそうで、後味悪いったら。




    原作者は悪女を描かせたら右に出るものはいないって言われてると聞いてたので、てっきりどんでん返しがあると思っていたので最後の最後でガッカリ(´Д`|||)
    ま、けものみちのドラマ化のようにドラマでは変わるかもしれないですけどね。


    テンポはよくて読みやすいしまぁまぁおもしろかったですが、勘のいい人なら途中で結末が読めてしまってだんだんおもしろくなくなってくるかも。

  • 主人公が騙されていたことに途中まで気付かなかった。重く、頭を使う内容だった。

  • 導入で提示された部分を、後で「そんな旨い話、あるわけないでしょ」でひっくり返すのは、『白雪姫』で「魔法なんてあるわけ無いでしょ。催眠術ですよ」とやられたような感じ。小説でやられるとなあ。

  • 古典と呼ばれるだけのある。サスペンスフルで無駄のない展開で冒頭の怪しげな面接の場面から驚きの結末まで一気読みである。翻訳も非常に読みやすく、長い話ではないので、薦めやすい。

    身寄りも金もなにも持っていない女が、お金の豊富な生活を手に入れるために、大富豪の求妻に応募する。そこでは大富豪の秘書という男が現れて、大富豪の老人と偶然を装って出会い結婚する計画を企てる。はたして彼女は大富豪の妻となり、幸せな生活を得ることができるのだろうか・・・。

    この大富豪の老人は癇癪持ち、高圧的で憎たらしい存在であるのに対して、主人公の女は今まで幸せではなく、お金という目的に対しては努力を惜しまない姿勢に好感が持てて、彼女に感情移入してしまう。ところがである。

    あと、あとがきで簡単に結末を明かしているので、先に読まないよう注意が必要。

  • 疑うことを知らなかった中学生の私に、「どんでん返し」の真髄を叩き込んだ記念碑的な推理小説。

    ラストのあたり、ほんの2行ほどでそれまでの価値観が180度回転する。
    快感にも似た衝撃は、ウン十年経っても忘れられない。

  • 時代的な価値はあるのかもしれないけど今となってはソレはない。
    普遍的に面白いかといえばソレもない。
    好き嫌いでいえば嫌い。
    スリーストライクバッターアウト。

    以下ネタばれ。
    <font color=#bbbbbb>予想通りの展開の後、どうせないんだろうなと思いつつ期待したどんでん返しはやはりなく悪い意味で期待を裏切られたり。
    だいたいこんなの全然完全犯罪じゃないね。
    人がこんなに簡単に思い通りの行動するわけないし。
    人間描写が浅すぎる。
    遺産はすべて寄付すると遺言状書けばすべてパーじゃね。</font>

  • 万長者の求妻広告に応じたヒルデガルデはカンヌへ招待された。いまや黄金と幸福な妻の座は目前にある。だが打算と虚栄に満ちた中年インテリ女性を待ち受けていたものは女の虚栄心を見事に逆用した時計のように正確巧緻な完全犯罪計画であった

  • スピーディーなストーリー展開で、ラストまで一気です。

     1991年

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