理想的な容疑者 (創元推理文庫 140-18)

  • 東京創元社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488140182

感想・レビュー・書評

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  • ☆4.0

  • フランスの作家カトリーヌ・アルレーの長篇ミステリ作品『理想的な容疑者(原題:L'amour a la carte (A cloche-caur))』を読みました。
    ジャン=ジャック・フィシュテル、ソフィー・エナフに続き、フランスの作家の作品です… カトリーヌ・アルレーの作品は7年前に読んだ『わらの女』以来なので久し振りですね。

    -----story-------------
    深夜、口論の果てにドライブ中の車から妻を降ろし、置き去りにしたミシェル。
    翌朝、殺害され、車で轢かれ顔の判別もできない女性の変死体が路上で発見された。
    ミシェルの車には傷があり、状況は彼を理想的な容疑者にしたて上げていた。
    身に覚えのない彼なのに、実の兄さえ彼を殺人犯だと思いこんでいる! 
    信じてもらえなかった男のたどった道は? 
    仏冒険小説大賞受賞の傑作。
    -----------------------

    1979年(昭和54年)に刊行され、1981年(昭和56年)にフランス犯罪小説大賞を受賞した作品です。

    夫婦喧嘩の末に、内縁の妻のアニェスを車から降ろし、置き去りにしたミシェル… 彼に妻殺しの嫌疑がかかった! 

    アニェスは失踪し、その晩、女の轢死体が発見されたのだ… 死体は身元確認もできないほどだった。

    ミシェルの兄ボリス・ルビアコフは、弟の否定にもかかわらず、彼の犯行と確信した… 兄の不信が、恐ろしい結末を呼び起こす!

    夫(男)と妻(女)の考え方の違い、相互の理解の齟齬、そこから生じる微妙な心のズレ… それが恐ろしい事件に繋がっていく! という展開、、、

    男女の違いの描き方や、それを殺人事件と絡めてサスペンスフルに展開する物語は、とてもフランス的な印象でした… モノクロのフランス映画で観てみたい作品でしたね。

    冒頭の深夜の高速道路を走る車(ブルーのボルボ)の中でミシェルとアニェスが激しく言い争うシーンと、アニェスが行方不明となったときのミシェルの不安、恐怖、哀しみ、そして兄夫婦の迷いが描かれるシーンが印象的でした… 男女の関係って複雑なバランスの上に成り立っているんですよねー と改めて感じました。

  • ミステリにカテゴライズしましたが、内容はサスペンスです。
    犯罪や捜査と同時に、夫婦間の愛情のすれ違いに追いつめられていく作品です。主人公二人はそれぞれにひどく情熱的。ケンカは嫌でも言いたいことは言いたい、だけど根本の考え方や価値観の違いが大きすぎてかみ合わない。そんな日常的な争いの種が大きくなり、事件に発展し、そんなときでも主人公は妻の無事を願う。型にはめるか、自由を認めるか、どちらも愛情なんだけど、その違いを理解し受け入れられない状況にハラハラします。
    馬鹿げた痴話喧嘩だと片付けずに読めるのは、ひどく冷静な作者の視点のおかげ。いまだに繰り返されている「男は、女は」という陳腐な争い事が格好良くさえ感じました。レストランの女主人ほど達観できれば身軽かもしれませんけどね。

  • 結婚している人たちは、ぜひ読んでおいた方が良いかもしれません。冒頭の夫婦喧嘩からして身をつまされます。
    理想的な容疑者、というタイトルのダブルミーニングも素晴らしい。でもまあ、ミステリ要素は薄いです。

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