俳優パズル (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488147075

作品紹介・あらすじ

出色の脚本を得て名プロデューサー復活の狼煙を上げるはずが、誤算続きのピーター・ダルース。忌まわしい噂のある劇場をあてがわれ、難点だらけの俳優陣を鼓舞してリハーサルを始めたが、無類漢の乱入に振り回されたあげく死者まで出る仕儀と相成った。真相究明か興行中止の憂き目に遭うか、初日は目前に迫っている!謎解きとサスペンスの興趣に満ちた、パズルシリーズ第二作。

感想・レビュー・書評

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  • A07-01

  • 前作の舞台である精神病院から一転して、主人公がプロデューサーとして復帰した劇場が舞台となる。アルコール依存症を克服して仕事に復帰したが、そこで怪死、殺人が連続して起きる。主人公は、プロデューサーとして舞台を存続させるため事件を捜査する。前作でも登場した療養所長レンツ博士の力を借りて事件を解決する。

    初日舞台までに事件を解決しなければならないというタイムリミットを課された中で病み上がりの主人公が奮闘する。過去の因縁、幽霊話、人物の入れ替えなど古風な設定で話が進む。

  • 診療所を晴れて退院し、プロデューサーに舞い戻った途端、事件に見舞われるシリーズ第2作。
    序盤から、あからさまな悪意が蔓延っており、恋人同士となったアイリスに支えられ、なんとか仕事を続けようとするダールズには、感情移入を禁じ得ません。
    やがてその悪意は、1人2人と人を殺し、舞台の練習を続けられないまでに追い詰める。
    そこに現れたのが、前作でも探偵を務めたレンツ博士。
    精神科医らしい着眼点で、確実に真相に迫っていきます。
    本書はシリーズ最高傑作との呼び声が高いようですが、それも納得。
    意外な犯人もさることながら、ほとんどの読者の予想を裏切ってくるであろう事件の構図が素晴らしい。
    まさに逆転の発想。
    このシリーズを追うのがさらに楽しみになりました。

  • パトリック・クェンティンのパズル・シリーズ。昔から名前のみ有名であったシリーズであるが、今まで読む機会ががなかった。で、読んでみての感想。黄金期の定番のような魅力的というかありえない謎の提示とその周辺の盛り上げ方など「さすが」と思う。テンポもよく適度な閉鎖感と空間的な広がりに本格ミステリの醍醐味が感じられるが、名探偵は誰なのという根源的なところのキャラの作り方が少し弱いのではないだろうか。2作目から読んでしまったかもしれないが・・・

  • プロデューサーとしての復帰作を準備中のピーター・ダルース。新人脚本家ヘンリー・プリンスの持ち込んだ脚本。いわくのある劇場でのリハーサル。楽屋の鏡に幽霊がうつったと騒ぐ女優セオ。劇場の過去の事件に怯える老俳優カムストック。カムストックのショック死。カムストックの死後、ヘンリーの叔父クレイマーが代役に入り込む。ヘンリーをゆすっているクレイマー。過去の事故で精神を病むウェラー。ウェラーの弟の入院。劇場のネズミを退治するためにたかれた青酸ガス。棺桶の中で 発見されたクレイマーの遺体。劇の出演者たちを恐喝していたクレイマー。ウェスラーを襲う犯人。ウェスラーの弟フォン・ブライトが書いたもの。

  • 2013/03/03読了

  • パズルシリーズ第二作。舞台が閉鎖空間ではなくなり、いわゆる普通のミステリーになってしまった感じだが、レンツ博士が登場しなくなる第三作以降もちょっと気になる。

  • パズルシリーズ2作目です。
    前回の続きになっています。
    ピーター・ダルースは出色の脚本を得て、名プロデューサー復活の狼煙を上げるはずだったのですが、誤算続きの目にあいます。
    忌まわしい噂のある劇場をあてがわれ、難点だらけの俳優陣を鼓舞してリハーサルを始めるのですが、無類漢の乱入に振り回されたあげく初日は目前に迫っているというのに死者まで出てしまうのです。
    真相究明をすると興行中止になってしまうと考えたピーターは事実を警察から隠そうとします。
    本書は謎解きに加え、劇が無事に上演されるかというハラハラドキドキ感もあってサスペンスの興趣に満ちています。

  • パズルシリーズの第2作。いわくつきの劇場、問題だらけの出演陣と、舞台初日にむけてのサスペンスフルな展開から目が離せない。終盤のカーテンコールと鮮やかなフーダニットの同時進行もお見事。

  • パズルシリーズ第2弾。

    前作でアルコール依存から脱却したピーター・ダルースが、今度はブロードウェイで演出家としての再起をかけた舞台に取り組みます。
    いわくつきの劇場、問題を抱えた役者たち、そして次々に起こる事件、事件、事件。

    再起をかけた重要な舞台を前に起こる、奇妙な出来事の数々に神経を弱らせ、ともすればアルコールに逃げそうになる自分を必死に抑えるピーターが不憫すぎてちょっと笑えます。
    幽霊騒ぎのある劇場の不気味な雰囲気や問題を抱えた役者たちの不穏な空気の中で、溌溂としたアイリスとなんとか頑張っているピーターのユーモラスさが楽しいです。

    幾人もの思惑や事情が絡み合って複雑な事件になってしまっていましたが、役者たちの役者魂を垣間見れるエピソードもふんだんでした。
    無事に開演できるのか!?と気を揉む中での事件の挿入がうまいです。盛り上がります。
    アイリスはなんてかっこいいんだろう!

    そして演劇の進行とともにレンツ博士の口から語られる事件の真相、という最後の演出は素晴らしいです。
    これまでの出来事から真犯人の正体までの語りが、演劇と同時進行で相乗効果を上げクライマックスまで一気に駆け上りました。
    舞台袖と舞台上でそれぞれサプライズと感動があり、裏でも表でもドラマが進行しているようです。
    高揚したままきれいに幕が下り大満足なラストとなりました。

    ちょっとネタバレ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・













    ピーターが自分のことでいっぱいいっぱいなので、探偵役であるレンツ博士が地味な存在でしたし、クラーク警部の出番もあまりありませんでしたが、最後のクラーク警部とレンツ博士の会話が良いです。
    二人とも、特にピーターが開演の妨げになると恐れていたクラーク警部も、ピーターの成功を願い尽力していたのだと思うと感動です。

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著者プロフィール

Patrick Quentin

「2010年 『悪魔パズル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

パトリック・クェンティンの作品

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