- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488167035
感想・レビュー・書評
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アメリカの作家「アイザック・アシモフ」の連作ミステリー作品『黒後家蜘蛛の会3(原題:the Black Widowers 3)』を読みました。
「アイザック・アシモフ」作品は昨年9月に読んだ『われはロボット 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集』以来、、、
「黒後家蜘蛛の会(ブラックウィドワーズ)」シリーズは、4年前に読んだ『黒後家蜘蛛の会 1』以来なので久しぶりですね。
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快調の〈黒後家蜘蛛の会〉第三弾には、『ロレーヌの十字架』『家庭人』『スポーツ欄』『史上第二位』『欠けているもの』『その翌日』『見当違い』『よくよく見れば」「かえりみすれば』『犯行時刻』『ミドル・ネーム』『不毛なる者へ』の書き下しを含む全十二編を収録。
給仕「ヘンリー」と「ブラック・ウィドワーズ」の面々の面目躍如たる活躍の数々。
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ニューヨークのミラノ・レストランで月1回行われる「黒後家蜘蛛の会(ブラックウィドワーズ)」という名の例会、、、
化学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家のメンバーのうちの一人がホストを務め、ホスト役のメンバーが呼んだ一名のゲストが参加して、食事をしながら四方山話をする… その話の中でゲストが提示する謎について、メンバーがそれぞれの専門知識を駆使して解こうとするが、初老の給仕「ヘンリー」が、いつも真相を言い当てるという展開の連作ミステリーの第3弾で、以下の12篇が収録されています。
■まえがき
■1.ロレーヌの十字架(原題:The Cross of Lorraine)
■2.家庭人(原題:The Family Man)
■3.スポーツ欄 (原題:The Sports page)
■4.史上第二位(原題:Second Best)
■5.欠けているもの(原題:The Missing Item)
■6.その翌日 (原題:The Next Day)
■7.見当違い(原題:Irrelevance!)
■8.よくよく見れば(原題:None So Blind)
■9.かえりみすれば (原題:The Backward Look)
■10.犯行時刻 (原題:What Time Is Is?)
■11.ミドル・ネーム(原題:Middle Name)
■12.不毛なる者へ(原題:To the Barest)
■訳者あとがき 池央耿
どの作品も愉しめるのですが… トリックが面白かったのは、二人の人物が証言する目撃時刻証言の食い違い(デジタル時計の"5:50")の謎を解く『犯行時刻』かな、、、
理系な方なら、クリスマスとハロウィンが正確に一致するという謎を解く『家庭人』も面白いかも… SF好きな方なら、新興宗教の矛盾を突くために火星にまつわる蘊蓄を語る『欠けているもの』や、素晴らしい日蝕写真を撮るために月にまで行こうと空想する『かえりみすれば』がオススメですね。
本作は5巻までシリーズ化されているみたいですねぇ… 機会があったら、他の作品も読んでみたいですね。
以下、主な登場人物です。
「ジェフリー・アヴァロン (Geoffrey Avalon)」
特許弁護士。
身長74インチ(約188センチメートル)の長身。
「トーマス・トランブル (Thomas Trumbull)」
暗号専門家。
政府の情報機関に勤務している。
食前酒の時間に遅刻するのが常習で、その際に大げさな言い回しでヘンリーにスコッチのソーダ割りを注文する。
「イマニュエル・ルービン (Emmanuel Rubin) 」
作家。
マンハッタン在住。
アイザック・アシモフから友人と呼ばれていると自称し、アシモフのエピソードを語ることもある。
「ジェイムズ・ドレイク (James Drake)」
最古参のメンバー。
「マリオ・ゴンザロ (Mario Gonzalo) 」
画家。
ゲストの似顔絵を描く。
「ロジャー・ホルステッド (Roger Halsted)」
数学教師。
5行戯詩に凝っており、古代ギリシア詩作『イリアス』の各エピソードを5行戯詩に再構成していたこともある。
その際には、韻脚を踏んだ言い回しが、他のメンバーにも伝染した。
「ヘンリー (Henry)」
ミラノ・レストランの給仕。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18431
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BN02499283 -
相変わらず面白い。巻を重ねても面白さが変わらないのが凄い。池央耿氏の翻訳も、抜群に冴えわたっている。
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相変わらず難しすぎてついていけない話も多し。
しかしデジタル時計の話は、
ちょっと説明が苦しい感じ。
「ロレーヌの十字架」は謎の答えが俗っぽいにもかかわらず、
ゲストが長距離バスで恋に落ちるところが、
ロマンティックで良い感じ。
「欠けているもの」は霊体交換を信じる宗教と火星からの眺めという奇想天外な組み合わせが良かった。
あとは、以前の黒後家蜘蛛の会のメンバーから、
遺産とともに送られた遺言の謎、「不毛なるものへ」。
いつものメンバーが右往左往するところが面白かった。 -
黒後家のメインキャラクターは給仕のヘンリーを含めて6人しかいないのに、実はまだ名前と職業が一致しないという……(^_^;)
毎回ゲストに紹介されるというのに!
カバーイラスト / 桶本 康文
カバーデザイン / 矢島 高光
原題 / "CASEBOOK OF THE BLACK WIDOWERS" -
切れ味が落ちてきた。英語圏で通用するネタが多い。
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何十回目かの再読。安楽椅子探偵という枠組みは本格ミステリの中でとてもフェアな形式なんだよ、読者と探偵が持っている情報は常に同じなはずだからね、という主張の反証として、私が挙げるのが「ロレーヌの十字架」。例のあの看板をアメリカで見たことのない人には、”おいおい、そんなの知らないよ~”。結局、筆者が読者との間に共有していると仮定される「常識」、つまり文化が違えば、安楽椅子もアンフェアにもなりうるわけだ。でも、わたしはこれがいちばん好き。文化の違いに気が付くことも一興。こんなおもしろい盲点、日本にも無いかなぁ。
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短編集。
著者プロフィール
アイザック・アシモフの作品





