ささやく真実 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488168117

作品紹介・あらすじ

奇抜な言動と悪趣味ないたずらで、周囲に騒動をもたらす美女クローディア。彼女が知人の研究室から持ち出した新薬には、強力な自白作用があった。クローディアはその薬を自宅のパーティーで飲みものに混ぜ、宴を悲惨な暴露大会に変容させてしまう。その報いか、深夜、彼女は何者かに殺害された……! 死体の発見者となった精神科医ウィリング博士が、意外な手がかりをもとに指摘する真犯人とは? マクロイ屈指の謎解き純度を誇る、傑作本格ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 緻密な本格ミステリ。自白剤を人に飲ませて暴露大会を行った後、何者かに殺された傲慢な美女・クローディア。正直、「そりゃ殺されるわ」って思いました。まったく、誰が犯人でも全然おかしくありません。むしろ殺されない方がおかしい(笑)。
    事件の解明に乗り出したウィリング博士によって、徐々に明らかになる各々の人間関係とそれぞれの事情。もうますます誰もかれもが怪しく思えてきて、また手がかりとなりそうな事象もすべてが怪しく思えて、収拾がつきません。決め手はいったいどこにあるの!?
    物語に紛れてさらっと読み飛ばしてしまったところに、手掛かりはあったのですねえ。というよりも、一番シンプルな手掛かりがあからさまに示されていたのに、それに気づけなかったことが無念。派手さはないのだけれど、ひたすらやられたなあ、という感覚が残りました。

  • 精神科医ウィリング博士シリーズの第3作。
    気まぐれな悪女クローディア。知人から盗んだ自白剤を自宅のパーティーで飲み物に混ぜてふるまい、パーティーは暴露大会に。その夜の終わりに殺害される。クローディアの見事な悪女ぶり。そりゃ殺されるわ。

    全員に動機がある。全員怪しい。少しずつ判明していく容疑者たちの背景やら性格やらが絶妙。犯人がわかったあとでパラパラと読み返すと、たしかに伏線が。謎解きを楽しむというよりは、複雑な人間関係が解き明かされていく様子を楽しんだ。

  • 精神科医ウィリングの3作目。

    1作目の「やせ薬」も胡散臭くて良かったが、
    今回は「自白剤」。
    1作目の舞台は社交界お披露目パーティだったが、
    今回は夫の前妻が出席したりするお騒がせパーティ。
    やっぱりちょっと華やかなお話の方が良いのかも。

    ウィリングは、そのパーティの主に海辺の小屋を借りていて、
    自白剤を盛られたパーティには参加せずに済むが、
    事件に巻き込まれる。
    ウィリングが近づいた時に去っていった犯人は、
    音を聞きつけたからのか、それとも…。

    どういう成り行きでそうなったかはわからないが、
    前作でいきなりキスをしてしまった亡命者の美女とデートしているようで、
    良かった。

    それと、海辺の小屋は海までたったの22歩で行けて、
    それでいて人気のない素晴らしい小屋でうらやましかったが、
    できれば電気は通っていてほしい。

  • 先日「二人のウィリング」を読みましたが同じシリーズだったんですね。章が進むにつれて各登場人物の関わりが分かっていく展開は面白く読みましたが、謎解きについては自分的にはあまりスッキリ感がありませんでした。なるほどとは思いましたが、架空の(ですよね?)の薬品にまつわるお話なので、それをありとするかどうかということ。

  • 何とか渕上痩平さん訳(ちくま文庫)から逃れようと選んだ作品。良かった。読みやすかった。というか理解できた。時代は変わっても、人を陥れ、それをネタにゆすったり、マウンティングしたりする人はいるもんで、逆にそういうこうばしい人がいるからこそ、推理小説というのが成り立つのかな、などと思いました。

  •  久々にマクロイの本格もの。やはりこういう正統派ミステリはいいな。生化学者がでてきてノボポラミンという架空の自白剤が重要な役割を担っているところがまず興味津々。それをこっそり飲まされたパーティ客たちのすったもんだの後で、悪戯なホステス役が殺される。5人の客にはすべて強い動機があるが、手がかりは犯人のある特徴というわけで、よく読むと幾重にも伏線が張られているというしかけ。最後にウィリングが関係者全員を集めてお決まりの謎解きとなるが、仕掛けられた罠に真犯人がひっかかるのはちょっと軽率すぎる。そうでなくても状況証拠で十分追い詰められてはいたのだが。謎解きはともかく俗物根性丸出しの登場人物たちの人間模様がうまくかけていて楽しめるのはさすが。

  • ★3.5

    傲慢美女を描くのが上手いが、癖の強い嫌な容疑者を描くのも上手い。結果的に犯人から外れた事件関係者達のその後がいつも気になる。人物造形が巧みだからこそ、マクロイの話はたとえ事件自体が単発でも面白いのだろうなぁと思う。

  • クローディア マイケル フィリス、ロジャー、ペギー、チャールズ
    ベイジル、ウィリングが探偵役となって謎をとく。

  • 本格謎解きミステリーだ。知人の生化学者であるロジャーから、自白剤であるノボポラミンを盗んだクローディアが、パーティーで大暴露大会を催してしまい、その夜に絞殺される。パーティーの参加者の誰にも動機がある状況で、ウィリング博士が謎解きをする。フーダニットの要素が強い作品であり、読読者もあれこれ考えながら作品に夢中になれる。作品名も秀逸だ。真実を知る不幸のようなものが表現されている。様々な場面で伏線がはられているので、自分でも犯人を特定できるかなと思うが、少なくとも私は見事に騙された。楽しい作品である。

  • ウィリング博士シリーズ。古き良き時代のミステリー。最後少しあっけないけど面白かった。

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著者プロフィール

Helen McCloy

「2006年 『死の舞踏』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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