ケイトが恐れるすべて (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488173067

作品紹介・あらすじ

ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと住まいを交換し、半年間ボストンで暮らすことにする。だが到着の翌日に、アパートメントの隣室の女性の死体が発見される。女性の友人と名乗る男や向かいの棟の住人の話では、彼女とコービンは恋人同士だが、まわりに秘密にしていたという。そしてコービンはケイトに女性との関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか? 第二部で真相が明かされた瞬間に第一部を思い返し、驚きで戦慄する――。『そしてミランダを殺す』の著者が放つ衝撃作!

感想・レビュー・書評

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  • ミランダ〜から早数ヶ月。無駄な寄り道が多いイメージの作家だが、今回は最後まで楽しく読む事が出来た。

    又従兄弟のコービンと住居交換をしたケイト。
    過去の男ジョージの黒い影に苦しみ、自分を変えるために踏み出した一歩のはずがーー。
    翌日隣人オードリーが不審死を遂げる。彼女を取り巻くアランやジャック 悲劇の定番スパイス複数メンズの存在。このスリーメンズの発言はどれも興味深く、まるで「ダウト」をしているかのよう。

    誰が真実を語り、誰が嘘を吐いているのか...主にこちらが読者の興味をそそるメインストリートとなるのだが、この侵食していくようなジワジワと進む前半とは打って変わって、終盤に入っての突如のギア変。THE サスペンスなスピード感は読者の休息を許してくれない。言ってくれればその前に睡眠を挟んだものを...寝不足だ...

    酷いトラウマから抜け出そうとするケイト。
    消して熱意や根性がある訳ではなくどこか「あわよくば...」な彼女の姿勢に第三者として不快な気持ちは持てど、そんなグラグラのメンタルに「リアル」を感じとても好感的なキャラクターとなった。

    星の欠けた部分は、スリーメンズ達の行動だ。恋愛の仕方が嫌!!!ヒーローな自分に酔いしれてる感が堪らなく嫌!!!!でもこの嫌悪もまた楽しいから困った物だ。
    ーーーーーーーーーーー

    サスペンスが主食の貴方。是非、オードリーの不審死の真実とケイトの行く末にドキマギしながらこの作品を楽しんで下さいませ。

  • 怖い怖い怖いっ 不安と疑念と差し迫る恐怖がリアル!超良作サスペンスミステリー #ケイトが恐れるすべて

    ロンドンに住む主人公ケイトが、アメリカに住む従兄と部屋を交換するところから物語は始まる。チャレンジングな新しい生活を求めつつも、もともと不安症持ちの彼女は憂いでいた。
    そんな中、交換した部屋に到着した翌日に隣に住む女性が死体で発見されてしまう。誰が殺したのか… 同じアパートに住む人々、訪ねてくる人々、従兄、警察官たちが、さらにケイトを不安にさせていく。

    強烈な登場人物たちが暗躍する描写がお見事、ズバリ面白い!
    どんだけ変態なんだと。

    ストーリーの組み立ても素晴らしく、少しずつ見えてくる事実が読み手すら不安にさせてくる。そして衝撃的な真相、殺るか殺られるか… こ、怖いっ

    海外ミステリーですが決して読みづらくなく、サスペンスな展開にぐいぐい飲み込まれてしまいます。また重厚感がたまらないですね。海外文化や世界観にも触れられるところも最高です。洋画もいいですが、海外小説もおすすめですよ。

    最後にケイトには優しく誠実な男性と幸せになってほしいと思いました。がんばってね。

    「そしてミランダを殺す」も傑作ですが、自分はこちらの方が迫りくる感じが好きでした。最新作も読もうと思います。ミステリー好きには鬼おすすめの作品です!

  • 気が付いたら怒涛の務台夏子さんヘビーローテーションだったw

    そして次はダフネ・デュ・モーリアの『鳥』なんて読んでみようかなと思ったりしてこれじゃあまるで「僕って結構海外ミステリを訳者さんで選んでるみたいなところあるじゃない?(知るか)だって重要じゃない?誰が訳してるかで物語の雰囲気って変わってくるし」みたいな鼻につくタイプの海外ミステリファンみたいだ

    もしフォローして下さってる人の中に海外ミステリを訳者さんで選んでる方がいらした場合はここまでのことは全て忘れて下さい(フォロー外さないで!)

    でも訳者さんが重要だというのは激しく同意したい
    鼻にはつくが同意したい

    同じ作家さんでも訳者さんが違うとやはりちょっと違うな〜と思う
    と同時に原書で読んだらどんな風に感じるのかなって思ったりもする
    思ったりもするが実現に向けて努力するようなことはしない
    ただぼんやりと思うだけ

    なりたかったなぁ『英語が話せる人へ』なんちて

    さて『ケイトが恐れるすべて』です

    いやぁ面白かった
    面白かったし良く出来てるなぁと思いました
    そして、そうか『ミランダ…』も推理小説として読んじゃったからいまいちに感じたんだなと思いました

    これ推理小説じゃないですね
    犯人は誰?みたいなスタンスで読む話じゃないですきっと
    不思議な違和感をケイトと一緒に恐怖し不安を募らせて行くのが正しい気がしました

  • ロンドンに住むケイトは又従兄のコービンと住居を交換し、半年間ボストンのアパートメントで暮らすことにする。だが新居に到着した翌日、隣室の女性の死体が発見される。女性の友人と名乗る男や向かいの棟の住人は、彼女とコービンは恋人同士だが周囲には秘密にしていたといい、コービンはケイトに女性との関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか?想像を絶する衝撃作!(文庫うらすじより)

    作者のピータースワンソンの作品は昨年の『そしてミランダを殺す』に続き2作目でしたが、『ミランダ』も恐かったけれど、これも相当恐くて、読んでいて本当に心臓がドキドキしました。
    川出正樹さんの解説によると「自分の家が、恐怖を感じさせる安心できない場所に変容していく」ゴシック・スリラーというジャンルだそうです。
    それにしても、またもや恋人を何人も殺していく設定は大変恐ろしく、恐くて、恐くて、途中で何度も投げ出したくなりましたが、結末がわからないのが一番怖いので頑張って437ページ読みました。希望の持てるラストだったのは救いでした。そして、これだけ怖いというのは、作品としては大成功なのだろうと思います。
    私は、この作者の数回に渡って視点の変わるところなど、話づくりは巧みで上手いと思いましたが、これ以上恐ろしい作品には耐えられそうもないので、次回作以降はやめておいた方が無難かと思いました。
    心臓の強い方には大変お薦めの作品です。

    • やまさん
      こんにちは
      「おにぎりの本」のおにぎりのポイントを追記しました。
      見てください。
      やま
      こんにちは
      「おにぎりの本」のおにぎりのポイントを追記しました。
      見てください。
      やま
      2020/01/12
  • 「そしてミランダを殺す」を読み終えて約2週間、個人的にそこまで感銘が受けられなかったリベンジに手にしてみました。

    ......

    正直、私には合わないかなぁ。

    400P強の作品ですが、読み始めてから読み終えるまでに1週間以上かかってしまいました。

    第二部でうけるはずの衝撃も私を素通りし、なんとか読み終えたというのが正直な感想です。

    発売されてから気になっていた2冊なので、すごく楽しみにしていたからこそ残念でしかだがありません。

    説明
    内容紹介
    真相が明かされた瞬間、驚愕で震える!
    <このミステリーがすごい!>海外編2位
    『そしてミランダを殺す』の著者が放つ傑作!
    又従兄と住居を交換した女性を襲う、想像を絶する事件。

    ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと住まいを交換し、半年間ボストンで暮らすことにする。だが到着の翌日に、アパートメントの隣室の女性の死体が発見される。女性の友人と名乗る男や向かいの棟の住人の話では、彼女とコービンは恋人同士だが、まわりに秘密にしていたという。そしてコービンはケイトに女性との関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか? 第二部で真相が明かされた瞬間に第一部を思い返し、驚きで戦慄する――。『そしてミランダを殺す』の著者が放つ衝撃作!
    内容(「BOOK」データベースより)
    ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと住居を交換し、半年間ボストンのアパートメントで暮らすことにする。だが新居に到着した翌日、隣室の女性の死体が発見される。女性の友人と名乗る男や向かいの棟の住人は、彼女とコービンは恋人同士だが周囲には秘密にしていたといい、コービンはケイトに女性との関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか?想像を絶する衝撃作!

  • これも面白かった!!
    前作『そしてミランダを殺す』では、語り手の視点がどんどんと入れ替わり『狩られる者が狩る者となり、そして狩る者が狩られる者となる』というジェットコースターサスペンスミステリーとして非常に楽しめたが、本作『ケイトが恐れるすべて』も前作『そしてミランダを殺す』と同等、いやそれ以上のサスペンスミステリーを著者ピーター・スワンソンは読者に楽しませてくれる。
    随所にヒッチコックをオマージュしているシーンもあり、往年のミステリファンも唸らせることだろう。

    ストーリーは、アメリカ・ボストンに住む、実際には会ったことのない又従兄のコービンから、彼がイギリスで半年間の仕事をする必要が生じたことからその間、ロンドンで一人暮らしをするケイトと住居を交換しようという提案がある。
    ケイトはその提案に応じ、ボストンのアパートメントに引っ越すのだが、その日の翌日、コービンの部屋の隣室の女性が殺されているのが発覚した。

    殺された女性とコービンとは恋人同士だったのか?
    コービンがその女性を殺してイギリスに逃げたのではないだろうか?
    ケイトは過去のとある事件から極度の被害妄想を患っており、すべての減少が自分を陥れる悪夢ではなのかと想像する。
    そしてさらにケイトを混乱させる出来事が次々と起こっていくのだった…。

    本書は、ヒッチコックの上質な古典名作ミステリー映画を見ているかのような雰囲気の心地よさから一転、激しいサイコ・スリラーに変貌していく。
    誰もが本当のことを言っているようで、絶対に誰かが嘘をついている。
    そしてケイトの目には、目に映る誰もが『殺人鬼』に見えてきてしまう。

    本作も前作『そしてミランダを殺す』ほどではないが、同じ出来事を別の登場人物の視点から描くという「別視点による繰り返し描写」が多用されている。
    まさに3歩進んで2歩下がるような物語の進み具合なのだが、これが冗長に感じられず、むしろ小気味よい。
    これは筆者の筆力の素晴らしさによるものだろう。

    そして特筆すべきは著者ビーター・スワンソンが登場させるキャラクターがどれも一癖も二癖もある個性的なキャラの持ち主ばかりなので、目の肥えたミステリー好きの読者たちを全く飽きさせないところがミソなのだ。
    例えば、被害妄想の持ち主である主人公のケイトや過去に隠された秘密を持つコービン、そしてケイトと同じアパートメントN住む覗き趣味を持った隣人、そして謎のシリアルキラーなど本書に登場するキャラクターの誰もが「もしかしたら現実にいそうでありながらも、やはりフィクション的な性格を持っている者」という「リアルとフィクション」のギリギリの線を攻めたキャラ作りが秀逸なのだ。
    このキャラ作りは前作『そしてミランダを殺す』で完全なサイコパスなのだが、読者の共感を得てしまうという主人公の美女リリーにも当てはまる。
    人間の性格は、単純ではなく、多層構造をもった非常に複雑なものであるが、それを全部小説のキャラクターに書き落としてしまうと、読者はキャラクターの性格を把握しきれず混乱してしまう。
    だからこそ小説に限らず、いわゆる『物語』に登場するキャラクターはその性格をある程度、単純化させているのであるが、著者ピーター・スワンソンは、読者が混乱しない程度に登場するキャラクターの誰もに「多重的な性格」を持たせている。
    このさじ加減が絶妙であるからこそ読者は、そういった意味において、主人公のケイトもコービンにも、そして覗き趣味の隣人にもすら魅了されてしまうのだ。

    本書のストーリーは「あっ!」と驚く大どんでん返しとまではいかないが、最近のミステリーの中では秀逸な面白さである。

    前作『そしてミランダを殺す」、そして本書「ケイトが恐れるすべて」と連続してスマッシュヒットをたたき出すピーター・スワンソン。
    僕の中で「今後も必ず新作が出たら読もうと思うミステリー作家リスト」に彼が入ったのは言うまでもない。

    • まことさん
      kazzu008さん♪おはようございます。
      この作品は、私も、読みたいと思って、図書館に予約してあり、来年1番に受け取りに行く予定です。k...
      kazzu008さん♪おはようございます。
      この作品は、私も、読みたいと思って、図書館に予約してあり、来年1番に受け取りに行く予定です。kazzu008さんほどのレビューはできないと思いますが、読むのが楽しみになりました。
      今年は、Kazzu008さんの本棚からも何冊もお借りして読書を楽しむことができました。
      ありがとうございます!
      来年も、他にも予約していますので、どうぞよろしくお願いします(__)
      kazzu008さんのご紹介も大変楽しみにしています(*^^*)
      2019/12/29
    • kazzu008さん
      まことさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます!

      こちらこそ今年はいろいろな本をお勧めしていただいてありがとうございました。...
      まことさん、こんにちは。
      コメントありがとうございます!

      こちらこそ今年はいろいろな本をお勧めしていただいてありがとうございました。僕の視野もだいぶ広がりました。本当にありがとうございました!
      この本もおすすめありなので、ぜひ楽しんでみてください。
      どうぞ、良い年末年始をお過ごしください!
      来年もよろしくお願いいたします。
      2019/12/31
  • 心臓バクバク。

    又従兄のコービンと住まいを交換したケイト。

    交換した直後に起きた隣室での殺人事件。

    誰が隣人を殺したのか、まさか又従兄のコービンなのか。

    誰かが必ず嘘をついているはず…見知らぬ地で一人疑心暗鬼に駆られるケイト。

    これまたそそる要素、構成の巧みさで読み手を引きずりこむ一気読みのサスペンスだった。

    トラウマにまず心臓バクバク、展開に心臓バクバク…心理的な恐怖で最後まで読ませる。

    誰もがそれぞれいろいろな心の闇を抱えている…あぁ、人ってやっぱり怖い、最後にそう確信した。

    • あいさん
      こんにちは(^-^)/

      住まいを交換した直後隣人が殺されただなんて凄くそそられる(*≧艸≦)
      誰かが嘘をついている…
      また海外も...
      こんにちは(^-^)/

      住まいを交換した直後隣人が殺されただなんて凄くそそられる(*≧艸≦)
      誰かが嘘をついている…
      また海外ものだね。すごいなぁ(⁎˃ᴗ˂⁎)
      2020/02/13
    • くるたんさん
      けいたん♪こんにちは♪
      そうそう、見知らぬ地で誰を信じればいいのか…不安感がいっぱいだよね。
      読みやすい作品、中盤から一気にひきこまれたよ♪
      けいたん♪こんにちは♪
      そうそう、見知らぬ地で誰を信じればいいのか…不安感がいっぱいだよね。
      読みやすい作品、中盤から一気にひきこまれたよ♪
      2020/02/13
  • 「そしてミランダを殺す」に続き読んでみた。いやはやこれはちょっと・・・頭の中で想像するとなあ。。 レクター博士みたいな。殺人を重ねる殺人者はおぞましいかぎりだ。ヒッチコックの「ロープ」なんかもちょっと思い浮かべた。


    2017発表
    2019.7.31初版 図書館

  • 「そしてミランダを殺す」でもそうだったが、読者は早めに犯人を知ることになる。そこから物語がどう収束していくか。
    ミランダの時は完全犯罪に成功したと思わせて、最後の最後でどんでん返しがあった。
    今回は、意外にも普通に対決して終わる。
    それに犯人が行き当たりばったり感満載で、前作に比べて少々物足りなさも残った。

  • 前作、「そしてミランダを殺す」を読んだ時のドキドキ感&面白さは、ヒッチコックの映画を見てる時と同じ感覚なのだなと再認識した。『裏窓』。
    作者がミステリーの古典を敬愛していることがわかる。

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