- Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488173081
作品紹介・あらすじ
ボストン郊外に越してきた版画家のヘンと夫のロイドは、隣の夫婦マシューとマイラの家に招待された。食事後にマシューの書斎に入ったとき、ヘンは2年半前に起きたダスティン・ミラー殺人事件で、犯人が被害者宅から持ち去ったとされる置き物を目にする。マシューは殺人犯だと確信したヘンは、彼について調べ、跡をつけはじめるが……。数人の視点で語られる物語は読者を鮮やかに幻惑し、衝撃のラストへとなだれ込む。息もつかせぬ超絶サスペンス!
感想・レビュー・書評
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鬼★5 隣人夫婦の家を訪れると過去の事件で犯人が持ち去った置物があり… #だからダスティンは死んだ
■あらすじ
当たらな土地に引っ越してきた若き夫婦である、夫のロイドと妻のヘン。彼らはお隣さん夫婦であるマシューとマイラに自宅に誘われた。
帰り際に妻のヘンは、宅内にあるトロフィーを見つける。恐らくそれは数年前の殺人事件に関与するものと知っていたのだ。果たしてお隣夫婦との関係性はどうなるのか…
■きっと読みたくなるレビュー
これまでスワンソンの本シリーズはすべて読んできましたが本作も面白い!★5
お隣さん夫婦とのトラブルや事件の関係性をさぐるといったサスペンスは、正直他の小説や映画でもあったような展開。このままありがちな感じで進むのかしらと思っていたところ、中盤からはさすがスワンソンですよ。
思いもよらなかった展開に、はああぁ? どういう話になるんだこれは…
もう読む手が止まらねぇ
そして本作は各章ごとに語り手が変わり、心の内面を吐露していくスタイル。そして突如襲ってくる狂った欲望が怖すぎるの。
本作の読みどころは何とっても登場人物の関係性、人間性ですよ。
そして過去の事件から始まり、現在の出来事への対峙によって、彼らの人生が大きく揺さぶられていく。みな一見人柄が良く、優れた能力をもっている若者たちなのに、偏執狂ぶりがハゲしい。
特にお気に入りはやっぱり主人公のヘンですね。抱きしめて癒してあげたい、守ってあげたい!でも、あまり関わりたくないといった人物なんですよね。正直無理。
ミランダもケイトもアリスもまぁ強烈でしたが、ダスティンはさらに度肝を抜かす、そして読者の胸にさしてくる良質サスペンスでしたね。ラストまで楽しませてくれる傑作です。
もしあなたが退屈な休日を過ごしているなら、手に取ってみることをおすすめします。
■推しポイント
終盤のとある場所で対峙するシーンが素晴らしい。
読んだ人はすぐにわかる、詳しくは書けないので是非読んでください。
ひとこと、鬼カッコいいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
版画家のヘンリエッタが夫のロイドと引っ越した隣りには、同じような子どものいない夫婦が住んでいた。
隣りのマシューとマイラ夫妻の家に招かれたとき、ヘンは、マシューの書斎に並ぶ収集物のなかにあるトロフィーをみて驚く。
それは、二年半前に発生して未解決のままのダスティン・ミラー殺人事件で犯人が持ち去ったとされるものではないかと…。
ゆるゆると進んでいく前半にもそれぞれの夫婦の心理的描写が絶妙である。
もしかして…と思いながらもラストまで確信できない結末に引き込まれてしまった。
心穏やかではいられない異質のサスペンスだった。
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邦題:だからダスティンが死んだ
原題:Beofore she Knew Him
ピーター・スワンソンは4作目だが、邦題と原題の意味するところを考えながら読むのが楽しい。今回もラストでニヤリとさせられました。ミステリーの根幹部は途中で予想できてしまったし、前作(アリスが語らないことは/All the Beatiful Lies)あたりから少々おどろおどろしさがある点が個人的には趣味ではないのだが、サスペンスとしてのゾクゾク感は増しているし章ごとに認証を変えて語られる双方の心理描写が秀逸なので、次作が出ればきっと読むだろう。 -
段々色々わかってくうちにひぃぃ〜!
ってなる1冊だった…!!!
面白かった!登場人物も多くなくて読みやすい!
海外ミステリーにハマりつつある今日この頃…-
海外ミステリーに、はまってしまぇぇ~ ぐはは^^
もちろん日本のミステリーも大好きで面白い本はいっぱいありますが、
海外ミステリーは...海外ミステリーに、はまってしまぇぇ~ ぐはは^^
もちろん日本のミステリーも大好きで面白い本はいっぱいありますが、
海外ミステリーはエンタメ度、テーマの重み、ヒリヒリ感が激しいですね。
映画と似ていて、邦画と洋画の違いみたいな感じ。2023/04/19
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久しぶりの海外ミステリー。解説にあったとおり、"上質"のミステリーでした。とにかく登場人物みんなが怪しく、なんだかもやもやしたまま進んで、最後に色々辻褄が合い、なるほど!と唸ってしまいました。
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海外作家さんのサスペンスは ほぼほぼ初読書で、途中で挫折しそうになった(笑)犯人がわかっているのに、きっとこの人 殺されちゃうんだし、みたいに読んで気がついた。そもそも夫婦って 秘密めいたこと持ってる。お互いがお互いを探り合うとか なんとなく目が離せないとか、あるわーという感じ。隣が気になるのも もちろん、ありだ。それが殺人に繋がっちゃうのが サスペンスなんだなぁ〜と思ったところ。登場人物はみんな クセが強すぎ。
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ボストン郊外に引っ越してきたヘンと夫のロイドは、隣に住むマシュー夫妻の家に招待された。マシューの書斎を案内された時、ヘンは二年半前に起きた殺人事件で持ち去られた証拠品を見つける──。
ヘン夫妻が当時住んでいた家の近くで発生したダスティン・ミラー殺人事件。その現場から持ち去られたトロフィーがある!マシューは殺人犯では?!ヘンはその思いに駆り立てられ、マシューを追跡!重要な手がかりを得るも、彼女の過去や双極性障害を理由に信頼されず、隣にある真相を証明できない。
ヘンと入れ替わりで描かれるのは、なんとマシューの視点。証拠隠滅から新たな犯罪へと駆り立てられる心情が綴られる。倒叙ミステリかと思いきや、予期しえない混沌へとなだれ込む!絶対に言えない真相を伝えたいマシューと、真相を聞いても信じてもらえないヘンの奇妙な関係性が面白い。単なる隣人から、犯罪者と目撃者へ、さらには告白者と信頼できない語り手へと移り変わるのがスリリングで、どうなっちゃうの?!というハラハラ感がラストまで続いていく。
ヘンとマシューの対話は興味深かった。無から有を生み出す芸術と、有を無にする殺人の対称性。どうしようもなく歪んではいるのに、誠実にポリシーを持って殺すマシューが妙に紳士的に思えてきて不思議だった。読み終わってから英語タイトルと日本語訳を改めて眺めると味わい深い。トリック自体はミステリ好きには簡単かも?やっぱり、ヘンとマシューのかけ合いや緊張感こそ醍醐味かなと思った。いやあ、どっちが隣人でもしんどい(笑)
p.173
「知らない人は、まだ出会っていない友達なのよ。わかってるでしょ、マシュー」
p.236,237
「彼がわたしのためにならないってことはわかっていました。でも、だからって悪い人だと言い切れるのかどうか」
p.404
正直でいることよ。彼女は自分に言い聞かせた。それが功を奏してる。正直でいつづけるの。 -
隣同士の若い夫婦。越してきた夫婦は夕食に招かれ、その書斎でトロフィーを見る。招かれた版画家のヘンはそれはある殺人事件の現場から持ちされれたもので、そこの主人マシューが犯人ではないかと思い始める。
ヘンは逡巡ののち警察に通報するが、過去に躁鬱病をわずらったこともあり、相手にしてもらえない。独自にマシューを尾行すると・・
マシュー、その妻マイラ、ヘン、その夫ロイド、この4人の心の内が描かれる。事件が進むにつれそれぞれ夫、妻に対する感情が変化してゆくのがなんだか悲しい。
最後に2つのへえー。マシューの弟と、ヘンが何故過去の殺人事件を覚えていたのかも明かされる。結果として何とか均衡を保っていたものが壊れる、いやーな結末。
原題:Before She Knew Him
2019発表
2023.1.27初版 -
ピーター・スワンソンの小説の構成は登場人物の視点、語り手が交代しながら物語が進行していくところなのか、『ミランダ』からこの辺りは変わらず。
そして、静かだなあ、と思う。常に冷静と静寂な空気感が漂っていて。
その空気感が好きで、たんたんと読み勧めてしまう。
『そしてミランダを殺す』の続編が出る、との噂を耳にして楽しみでならない。