グッド・バッド・ガール (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 16
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  • 本 ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488179090

作品紹介・あらすじ

ロンドンのケアホームから八十歳の女性が消えた。
時を同じくして、施設の所長の死体が見つかって……
どんでん返しの女王が贈る、
母と娘をめぐる二転三転の傑作サスペンス!

ロンドンのケアホームで暮らす80 歳のエディス。ここにエディスを押し込んだ娘クリオとは、当然ながらうまくいっていないものの、介護スタッフで18 歳のペイシェンスとは、世代はちがえど友情を築いている。そして、ペイシェンスも、一緒に暮らしていた母親と喧嘩して家出してきた身であった。そんなある日、エディスがホームから失踪。時を同じくして施設の所長の奇妙な死体が発見されて……。冒頭から企みが始まる、母と娘をめぐる傑作サスペンス! 『彼と彼女の衝撃の瞬間』『彼は彼女の顔が見えない』のどんでん返しの女王が見せる新境地!

感想・レビュー・書評

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  • ★5 世の中の母と娘のために…そして彼女たちを幸せにする男たちへのテーゼ #グッド・バッド・ガール

    ■あらすじ
    老人介護施設で暮らしているエディスは、介護士の少女ペイシェンスと仲が良かった。しかしエディスは娘のクリオと折り合い悪く、顔を合わせるたびに喧嘩ばかりしていた。一方でペイシェンスも母親と仲たがいをしており、家を飛び出していたのだ。

    ある日エディスは施設から失踪してしまう。しかも施設の所長が殺害されてしまい…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 おもろいわー。脳みそと感情の揺さぶりが半端ねぇよ。さすがアリス・フィーニー、期待通りでしたね。

    正直このレベルのトンデモ&エンタメ展開は、国内ミステリーではなかなかお目にかかれない。捻りに捻ったプロットに何度もあごが外れかけましたよ、戻すのが大変。

    しかも心情を深堀って描くのが国内作品のように上手だし、文学的で表現も豊潤なの。そして肝心なことは書かずに、興味を引くような情報をチラ見せするテクニックが鬼なんです。何度も何度もフィーニーの釣り餌にひっかかっちゃう。

    今回も人物表がありません。海外ミステリーならあって当たり前なのに、あえて用意されてないでしょう。より一層楽しむために、ノートに人間関係図を書いていくことをオススメします。誰と誰が親子で、友人で、仲が悪くて…とか、線でつないだりメモに残しておきましょう。読んでいくうち関係性が見えてきて、理解もしやすくなります。

    さて本作は母親と娘の関係性がテーマです。登場人物はほとんど女性。序盤…というか、ほぼ全編にわたって、いがみ合いや利の奪い合いが繰り広げられる。親や子に対して、それは絶対言っちゃいかんだろってことすら軽く吐き出されるんです。もうヒドイの。

    本作の主なキャラは四人。老人介護施設に勤務する少女ペイシェンス、その施設に入居しているエディスとその娘クリオ、刑務所司書のフランキー。

    どんな関係性なのか、過去のどんな背景があったのか。過酷な渦に巻き込まれてしまった彼女のたちの運命に魂を掴まれます。

    親が悪いのか、娘が悪いのか、最低な女、不幸な女、卑劣な女とネガティブ満載で、読んでると言いたいことがいっぱいある。あまりの思いやりのなさに、何度も気分が悪くなったりもしました。でも…じっくり読み進めてください。実はどこにでもいる愛情に溢れる女性なんです。

    ちなみにもう一人、とある場所で登場するリバティという女性がいます。雰囲気は思いっきりギャル。でも最後にすんげぇ重みのあるセリフを言うのです、マジ泣きそうになったわ。

    騙し捻りのテクニックはもちろん、人の絆を肌で感じられる素敵な作品でした。もう7月になり次々と傑作が発売されますね、本作も今年を代表するサスペンスミステリーの一冊だと思いました。

    ■ぜっさん推しポイント
    現代の日本に生きている多くの女性たちも、懸命に仕事をしながら、妻としても母親としても役割を全うし、日々の家事もこなしていく。夢や希望を抱きながらも、自分らしく生きることの難しさを痛感しているのではないでしょうか。

    本作では随所で母親の叫び、娘の苦悩、女性の憤りが吐き出されます。男どもはしっかりと受け止めなければいけません(私も含め)。

    子どもの頃、母に言われた言葉を思い出してしまいました。

    人を幸せにしたいなら、まず自分が幸せになれ。辛いことを乗り越えるための努力は、自分のためではなく、人のためなのだと。

  • Book Review: Good Bad Girl by Alice Feeney. – Sarah Collins Bookworm
    https://sarahcollinsbookworm.wordpress.com/2023/09/25/book-review-good-bad-girl-by-alice-feeney/

    AliceFeeney.com
    https://www.alicefeeney.com/

    グッド・バッド・ガール - アリス・フィーニー/越智睦 訳|東京創元社
    https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488179090

  • 6ヶ月の赤ちゃんの誘拐事件が発端のミステリー。作者の過去作品ではドンデン返しで気持ち良く騙された記憶があるので期待も大きかったが。今回はミステリより家族とか人間関係に重きを置いたよう。とても切なく、哀しい作品だった。

  • アリス・フィーニーの翻訳4作目。一作は講談社文庫、それ以外は東京創元推理文庫から。

    今作は四人の視点から描かれる。
    ケアホームで働く少女、ケアホームに入院している老女、娘が誘拐された女、警察署の図書館で働く女。
    ケアホームで起こった殺人事件と、この四人がどう関わっているのか。。。

    相変わらず、どんな説明もできない作品笑
    正直ほぼ終盤までとっ散らかった感じで。登場人物たちが一癖も二癖もあるのはいつも通りだが、上手く纏まりきれていない感じがした。
    個人的には、仕掛け自体は過去一番衝撃だったが、ストーリーとしては東京創元推理文庫2作目の「彼は彼女の顔が見れない」の方が好み。ただ本当に今作の仕掛けは、衝撃的すぎて色々と二度見してしまうレベル。おすすめです。

  • 情報の出し方がとても巧妙で、えっどういうこと、とどんどん先を読みたくなった。
    でも偶然が重なりすぎているのと、色々警察大丈夫か?というのが気になってしまって、ちょいちょい本の外に引き戻されてしまったのが残念。

  • 安定の面白さのアリスフィーニー。今回は前作前々作とちょっと毛色が違って2組の母娘のお話。謎解きに関してはそもそもぼかして書いてるので分かるわけないw
    勘のいい人なら分かるオチなのかもだけど私は全く予想してませんでした。まあ確かに言われてみればヒントは所々にあったけど。
    どっちかと言うとメインは物語の方。ハッピーエンドで良かったですね。

  • いやー、素晴らしい。翻訳者の手腕もあるとは思いますが、惹きつけてやまないこの展開。行き着く先はありがちかもしれないけれど、この語り口に取り憑かれ、一気読みになだれ込まずにはいられませんでした。今回も大満足です。私も母であり娘でもあります。「世の母親と娘たちに」という冒頭に、自分の物語として読むことができました。またシニアに傾く世代でもあるので、エディスの言葉が沁みます。メモしちゃいました。

  • 【2024年読了ー51冊目】

    20年前の母の日、スーパーマーケットから赤ん坊が消えた…
    そして現在、ロンドンのケアホームの施設長が死体で見つかる
    さらにそのケアホームで暮らす80歳のエディが失踪…

    物語は
    ケアホームで働く18歳のペイシェンス
    失踪した80歳のエディス
    その娘でセラピストのクリオ
    刑務所の図書室長として働くフランキー
    この四人の女性の視点で語られる

    ところがだ!
    ケアホームの施設長の事件はこの作品においては重要ではない…(笑)
    というかあまり描かれてもいない
    そんなことよりも少しずつ繋がっていくこの四人の関係性なのだ!
    冒頭に書かれていた
    『世の母親と娘たちに…』
    これが全てだ…
    そしてこれがこの作品の魅力なのだ

  • ・あらすじ
    イギリス ロンドンが舞台。
    ケアホームで起こった殺人事件と入居者失踪事件。

    ケアホームに入所するエディス。エディスの娘でカウンセラーのクリオ。
    ケアホームの従業員のペイシェンス。ペイシェンスの母親のフランキー。
    4者の視点で綴られる母と娘の物語。

    ・感想
    「母と娘に…」と冒頭に書かれてあったし、プロローグから4人の関係性がすぐにぴんときたし大体予想通りだった。
    「いい子も悪いことをしなければならない」などと同様の文章が何回も登場するし、この作品のキーワードなんだろうとは思うけどイマイチよくわからなかったな…。
    キャラの設定も色んな要素がハマらずにバラけてた印象があった。

    ケアホームでの殺人事件もあんな雑な方法でよくバレなかったな?!

  • 冒頭の叙述トリックにはなるほど、とやはり関心させたられたし面白かった!が、「彼と彼女の衝撃の瞬間」と「ときどき私は嘘をつく」のテンポ感や驚きには勝らなかった。

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