毒を食らわば (創元推理文庫)

  • 東京創元社
3.59
  • (16)
  • (22)
  • (41)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 215
感想 : 33
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488183066

作品紹介・あらすじ

裁判官による説示。被告人ハリエット・ヴェインは恋人の態度に激昂、袂を分かった。最後の会見も不調に終わったが、直後、恋人が激しい嘔吐に見舞われ、帰らぬ人となる。医師の見立ては急性胃炎。だが解剖の結果、遺体からは砒素が検出された。被告人は偽名で砒素を購入しており、動機と機会の両面から起訴されるに至る……。ピーター卿が圧倒的な不利を覆さんと立ち上がる第五弾。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ピーター卿が恋に落ちる。冤罪を晴らそうと奮闘する彼の騒ぎっぷりにどうしたの?と興醒めだったが、おなじみバンターやクリンプスンさんの活躍や妹メアリの恋話、ハリエットの友達アイリーニドとシルヴィアの会話などでやっぱり夢中に。

    • あやごぜさん
      111108さん。コメント失礼します♪

      ピーター卿シリーズ、着々と進んでおられますね!
      おっ。この巻でも、クセツヨ女史・クリンプスン...
      111108さん。コメント失礼します♪

      ピーター卿シリーズ、着々と進んでおられますね!
      おっ。この巻でも、クセツヨ女史・クリンプスン嬢が登場するのですね!
      実は、私も丁度第三弾『不自然な死』を読んでいる最中なのです~。
      めっちゃシンクロ・・・ピーターサイクルがほぼ同じ~♪と、勝手に嬉しく思っております~(*´▽`*)
      2024/03/16
    • 111108さん
      あやごぜさん♪

      ピーターサイクル(≧∀≦)一緒で嬉しいです!
      この本でクリンプスン嬢のクセツヨ度=貢献度はUPしてると思いますよ♪
      『不自...
      あやごぜさん♪

      ピーターサイクル(≧∀≦)一緒で嬉しいです!
      この本でクリンプスン嬢のクセツヨ度=貢献度はUPしてると思いますよ♪
      『不自然な死』での、あやごぜさんの注目ポイントがどこか知りたいです!
      2024/03/16
  • ドロシー・L・セイヤーズの貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿シリーズ長編第5弾です。
    そして、ピーター卿の未来の花嫁ハリエット・ヴェイン初登場!

    今回は、法廷で傍聴中に突然被告席の女流推理作家ハリエットに恋をし、かつ無実を確信したピーター卿が、あまりにも状況証拠が揃い過ぎている被告を救うべく調査に乗り出すというお題です。
    しかしながら、まあ確かに状況証拠は揃い過ぎているものの、実は真犯人はあいつだと意外とすぐに目星はつくようにはなってはいますね。何といっても主要な関係者はあの人くらいなものですから・・・。(笑)
    また、推理過程の論理展開も論旨の逆転構造が少なからずあったような気もします。
    ということでミステリーよりもむしろ、まずはピーター卿の恋の相手であるハリエットが被告人として初登場するというところに面白味があった作品なのかと思います。
    特に美人でもないが、知的でバイタリティ溢れ、我を通す頑固者で、結婚よりも同棲を望む「いまどき」の女性として描かれています。
    こうしてみると、とてつもなく鮮烈な初登場なのですが、このような登場のさせ方はある意味セイヤーズのお得意の構想であり、今後のシリーズの流れとしての物語展開を大切にするセイヤーズの面目躍如たる本編だったように思います。
    ただ、このような女性にピーター卿が惚れたという流れなのですが、う~む、せめて美人の設定にしてほしかったなあ。(笑)
    そして、ピーター卿の家族、とりわけ妹のレディ・メアリと親友のパーカー主任警部との恋物語といい、物語後半のピーター卿配下のおばちゃん探偵団(!)の活躍といい、全く本編は様々な力強い女性像を提示したピーター卿「ファミリー」の物語だったともいえます。
    特に少年探偵団もどきのおばちゃん探偵団の活躍ぶりは、「名探偵」が乗り移ったと見紛うばかりの閃きと活動ぶりであり、スピンオフ作品が作れたのでは?と思えるほどに完璧な冒険譚でした。ほんとピーター卿、いらなくない?(笑)
    そんなわけであまり謎解きの方は重要視されていない作品という感じもあり、解決編の方は何かやっつけ感があるというか、後半は冒頭の緊張感のある法廷場面に比してスリリングな進行ではあるものの、推理物としては竜頭蛇尾感があって、まあやっぱり「ファミリー」を楽しむ回だったのではないですかね。(笑)
    しかし、これはこれでますます今後の「ファミリー」の展開に目が離せなくなりました。さらなる展開に期待しましょう。

    ところで本シリーズでは文章中にたまに訳者の注記が入ったりしているのですが、特に気になるのはセイヤーズ自身?の誤植です。こんな初歩的な辻褄の合わない誤りをするものなのかと驚きですが、誰も校正してあげていなかったのかなあ・・・。

  • 毎度の事ながら連休に差しかかった読書というのは運が悪く、本書も連休のせいで途中2日間の中断を経て読了した次第。だから真相は頭に入ったが、印象は薄い。
    ともあれ、本書がピーター卿シリーズの主要登場人物の1人、ハリエット・ヴェインの初登場作ということで、確かCWAかMWAの賞を貰っていたはず。つまり、ここからがセイヤーズの本領が発揮されることになるのだろう。
    しかし、今回の毒殺のトリックは現在に於いても画期的ではなかろうか?正に発想の大転換である。
    通常ならば“如何に被害者に毒を飲ませたか?”という命題は実はもっと正確に云えば“如何に被害者のみに毒を飲ませたか?”とかなり限定されることになる。そういった先入観を与える事を見越してのこの真相。
    実は加害者も一緒に毒を飲んでいたんですね~。しかも少しずつ毒を飲んで免疫をつけていたという驚くべきお話。
    先ほど印象が薄いと述べたが改めて振り返ってみるとしみじみその発想の凄さに感嘆する。

  • ピーター卿が、狡猾な犯人を追い詰めた方法が、かなり無茶というかヤバいというか。探偵vs犯人の痛快さという点では、セイヤーズの〈ピーター卿〉シリーズでは一番好きかもしれない。

  • 以前に読んだものの再読。アガサクリスティーに比べ、イマイチマイナーなセイヤーズ。でもほんとにおもしろい☆犯人はなんとなく覚えていたし、覚えていなくてもまぁこの人だろうな…とは思うんだけど、トリックというかやり方がわりとエグい。そこまでやりますか…という結末で、そういうところも好き☆なにより主人公ほかのキャラがめちゃ良い!ウィムジィ卿の探偵団「猫舎」の面々が大好き☆個人的には鍵師の娘に「あっちに行ってなさい、行かないと怖い顔するよ」ってとこが可愛くて好き☆

  • 本物の遺言書を探すために敵の懐に入るアドベンチャー要素(By猫舎メンバ)もあれば、大胆なトリック要素(オムレツ用卵にヒ素を混入。被害者と一緒に食べる。犯人はヒ素を常用、耐性をつけていたから大丈夫。忍者みたいだ)があり、面白い。

  • シリーズものは懐かしい人とか出てくるのが楽しい。

  • 恋するピーターは見ていて面白いのだけれど,事件の方はちょっとうーんという感じ.

  • 4
    シリーズ長編5作目にして、クリンプスンさん2度目の登場。今回はマーチスンさんの活躍が特に目立つものの、個人的には、やはり最大の見所はクリンプスンさんからの手紙。見た瞬間に「これこれ〜♪」と期待に胸を躍らせ、読んで笑いをこらえられず吹き出してしまう。いい味出してるなあ。

  • ピーター卿のシリーズ5作目です。
    カーがベスト10に選んでいる作品です。
    ハリエットは恋人の態度に激昂して袂を分かちます。
    直後、恋人が激しい嘔吐に見舞われて帰らぬ人となります。
    医師の見立ては急性胃炎なのですが、解剖の結果、遺体からは砒素が検出されます。
    ハリエットは偽名で砒素を購入しており、動機と機会の両面から起訴される事になります。
    ハリエットに一目惚れしたピーター卿が圧倒的な不利を覆さんと立ち上がります。
    ピーター卿がハリエットの無罪を証明する為に奔走する姿には感動します。
    ですが、私的にはピーター卿には一生、恋なんてしてほしくなかったです。
    一生、独身でいてほしかったのです。

全33件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ドロシー・L・セイヤーズ(Dorothy Leigh Sayers 1893–1957)
イギリスの小説家、劇作家、古典・現代言語学者、ディテクションクラブ第三代会長。オックスフォードに生まれる。オックスフォード大学サマーヴィル・コレッジにて現代言語学を学ぶ。長らく女性への学位授与を認めてこなかった同大学で学位を授与された女性の第一世代に属する。1922年から29年まで広告会社でコピーライターとして働く傍ら、Lord Peter Wimseyシリーズを執筆。アガサ・クリスティらと並び、探偵小説の黄金期を牽引する小説家の一人と目される。宗教劇の劇作家として、またダンテのThe Devine Comedyの訳者としても名を馳せた。

「2022年 『ストロング・ポイズン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ドロシー・L・セイヤーズの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ドロシー・L・セ...
ドロシー・L・セ...
ピーター・アント...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×