犯罪 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 750
レビュー : 90
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488186029

作品紹介・あらすじ

【本屋大賞翻訳小説部門第1位】一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の末っ子。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。──魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。弁護士の著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの真実を鮮やかに描き上げた珠玉の連作短篇集。2012年本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた傑作! 解説=松山巖

感想・レビュー・書評

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  • 2012年の本屋大賞、翻訳小説部門一位だったんですねー。
    自分の中では、現在シーラッハの波が来ていまして、新しい作品から原点回帰している最中です。

    ある人が「犯罪」に至る過程を辿る、のは勿論よくある構成なのだけど、その契機というのか、ターニングポイントのようなものに、重きが置かれている印象を受ける。
    「フェーナー氏」のような、妻からの度重なる罵倒の末、殺してしまった、というような「見える」筋の作品はまだ安心して読んでいられる(笑)

    ホテルで美女が殺されていた「サマータイム」と、統合失調症の羊殺しの「緑」については、これで解決かーと思いきや、ラスト一ページに、「ん?」と思わされる展開が含まれていて、しばらく考えたり、読み返すも、謎が解けなくてもどかしい……。

    個人的には「ハリネズミ」が好き。
    犯罪者一家に生まれた異色の弟が、機転を効かせて、捕まった兄を助けるお話。
    「サマータイム」にも通じるのだけど、先入観で「コイツは悪いことをしている」と読んでいる所を覆されるのは、恥ずかしいけれど、好き。

    一つの「犯罪」に対して、自分は勝手な物語を付け加えていることをきっと否定出来ない。
    小説を読んで、その読み方や解釈が分かれるのと同じことだと思う。
    何を当たり前のことを、と思われる方には当たり前の話で申し訳ないけれど、自分が想像する以上に、世の中で脚色された「物語」を読まされているんじゃないかと考えると、割と気持ち悪くなる。

  • 本屋大賞一位ということで、初めて読んだ。
    面白かった。

    刑事事件専門の弁護士の著者が語る「犯罪」。
    罪は、ときに救いようがなく、とんでもなく不可解で、あるいは何がいけなかったのかと、どこで間違えてしまったのかと思うような危うさの上に、淡々と揺るがずにのっかっているというか…
    大袈裟な表現もなく、ただ淡々と、嫌悪感も同情もすこし離れたところにおいたまま。
    不思議な読後感だった。
    味わったことのない、辛いとか甘いとかもはっきりしないような、うま味?のような満足。

    「序」にある、著者のおじがいう「物事は込み入っていることが多い。罪もそういうもののひとつだ」という言葉がストンと落ちてくる。


    11篇の短編の中では、「フェーナー氏」「幸運」「正当防衛」「エチオピアの男」が良かった。

  • タイトルからは想像できない、不思議な感覚。
    これは気になるなぁ。
    また読みたくなる一冊です。

  • ドイツの弁護士が描く「犯罪」の数々。
    ドイツも非常に治安が悪いことが伺える。しかし弁護士がここまでミステリー風に実際の様々な事件を描けるとは❗
    2012年本屋大賞翻訳小説部門第1位を受賞しただけある!

  • 読むのを悩んでいたけど、読んで良かった。
    『エチオピアの男』は噂通りいい話で、タイトルが『犯罪』なのに、心が温まった。
    全体的には、切ない話が多いし、きっと犯罪のきっかけは、こういうものなのかも。更に切ない。
    また、しばらくしたら読もう。

  • 今年、というより去年も含めて一番面白い短篇小説集でした。
    人が罪を犯すに至る過程、事件が起こった背景を、加害者の人生を辿ったりしながら、時に冷酷に、時にユーモラスに描いています。
    "私"という、作者を思わせる弁護士の述懐で11の事件がまとめられています。全体的にとても淡々とした落ち着いた文章です。
    それでいて中には本格ミステリのような話もあったり、ピカレスク小説のような話もあったり。バラエティに富んでいます。
    作者が実際に見聞きしたことが多く引用されていると思うのですが、娯楽として安心して読めるように書かれているのがすごいです。
    私が好きなのは「ハリネズミ」と「正当防衛」です。

  • 各編とも余韻の残る作品、読書の至福のひととき。

  • 短編なのに、読みごたえあるし、深い!

  • 私達は生涯は、薄氷の上で踊っているのです。 宣誓はとうの昔に信頼されていなかったからだ 圧力容器が弾け飛んだ 罰則が私達を威嚇する ポコルは仲間がポルノ映画で彼女を便器代わりにするのを見てから ガロテで首をしめられ命を落とした 尻から折れた箒の柄が突き立っていた 俺はオリーヴの木どザジキが大嫌いなんだよ タツノオトシゴ海馬は馬と竜の合いの子で 記銘障害と想起障害を併発していることを本人に説明した ルミナール 華麗なるギャツビー 「さあ、櫂を漕いで流れに逆らおう。だけどそれでもじわじわ押し流される。過去の方へと」 だが盗んだ教科書で、解答不能と思える難問に出合うと、脳味噌がぶんぶん唸るのを感じた。密かな幸福感に酔いしれる瞬間だった。 幅木まで壁から剥がした 狐とハリネズミ お針子 愛ゆえの死体損壊なのです 凶器はその客室に常備されていた鋳鉄製のスタンドだった 司法解剖の後、何一つ溢れ出ないように死体を縫合するのにどれほど技術がいるかがわかった 姦通はもう犯罪ではありません 神経筋接合部は最早信号を送らなかった プロの仕業です 倒錯が次第にエスカレートするというのは彼の持論だ 獣姦 統合失調症 答えに窮する質問ばかりするんだ 棘を抜く少年 肩胛骨 カニバリズムにも色々ある。飢えを満たす為のもの、儀式の為のもの。しかし多くは性的衝動に裏打ちされた重大な人格障害だ。ハンニバル・レクターはハリウッドの産物だ、とパトリックは思っているようだが、そういう人間は人類史がはじまって以来ずっと存在している。 サガワ・イッセイという日本人 今は東京でレストラン評論家 鮪の刺身のようだった 男の人生は残酷なメルヘンそのものだった アジスアベバ エチオピアの首都 コーヒー農園 ドイツ大使館 情状酌量 ドイツ人はもはやパトス情念を好まない 保護観察で仮釈放された 直ぐにシュルレアリスムの画家ルネ・マグリットの絵を思い起こす

  • すごかった…うまく言えないけどすごく引き込まれる短編集。二作目から読んだけれどストーリーにはなんの支障もなかった。今作の方がまだ、事件が読みやすいかも。(個人的には二作目のあのもやっとする感じもとても好きだけれど)
    どれもすごかったけれど、タナタ氏はなんか怖いけどすごく印象に残る。チェロのやるせなさもいい、棘と愛情も。なによりエチオピアはぐっときた。

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