罪悪 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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レビュー : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488186036

作品紹介・あらすじ

ふるさと祭りの最中に突発する、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社イルミナティにかぶれる男子寄宿学校生らの、“生け贄” の生徒へのいじめが引き起こす悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。何不自由ない暮らしを送る主婦が続ける窃盗。麻薬密売容疑で逮捕された老人が隠す真犯人。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。本屋大賞「翻訳小説部門」第1位『犯罪』を凌駕する第2短篇集、ついに文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 『犯罪』よりも更に短いお話の多い、短編集。

    「解剖学」なんか、たった3ページなのに、面白い。
    美しい娘を拷問するために、あらゆる器具を揃えた男が、さて娘を捕まえる寸前に、車に跳ねられて死んでしまう話。

    「欲求」は、夫に顧みられない妻が、裕福であるにも関わらず万引きを働く話。
    よく、ドキュメンタリーにある構図で、虚構なんだけど、やりきれない。

    ラストを飾る「秘密」が一番のお気に入り。
    妄言ばかり繰り返し、精神科に連れられてゆく男を見ていると、何が本当で何が嘘かが、その刹那ひっくり返るような感覚に囚われる。

    何から読もうと思っている人には、この量なら読みやすいように思う。オススメ。

  • 2020年9月11日読了。

    前作『犯罪』に次ぐ15編からなる短編集。

    『ふるさと祭り』
    『遺伝子』
    『イルミナティ』
    『子どもたち』
    『解剖学』
    『間男』
    『アタッシュケース』
    『欲求』
    『雪』
    『鍵』
    『寂しさ』
    『司法当局』
    『清算』
    『家族』
    『秘密』

    前作『犯罪』と同様に、弁護士である『私』の周りで起きた、犯罪に手を染めてしまった者・巻き込まれた者・関わった者達についての様々な話が収められている。

    読んで思った事は前作よりも重く、切ない内容の話が多い気がした。
    『ふるさと祭り』『イルミナティ』『寂しさ』『清算』など、女性や子供が恥辱や暴力を受ける作品は心を傷めずにはいられない。
    人権を尊重する為に被疑者の弁護をする弁護士という存在が必要なのは理解出来るが、明らかに加害者である者であっても検察側の証拠提示不十分・弁護次第によっては何の罪にも問われず、被害を受けた者やその家族の気持ちを想うと居た堪れず、制度の不条理さを感じてしまう。

    その反面、『解剖学』『鍵』『秘密』など、ユーモラスな作品もあり楽しませてくれる。
    『解剖学』はまさにショートショート。たったの3ページで起承転結が見事に成立している。
    『鍵』はエンタメ要素が強く他とは一線を画しているし、『秘密』のラストのオチは落語に通じるものを感じさえした。

    前作の『エチオピアの男』のような心が温まるような救いのある話が今作では見受けられなかったのが少し残念。
    強いて言えば『雪』がそれにあたりそうな気もするが、やはり切なさの方が勝るかな。

    全体的に重く暗めの読後感だっけど、前作に負けず劣らずバラエティ豊かな作品だった。

  • 短編集でどれももやっとしたり、おお、と思ったりとなんかしら後味を残されるものばかりで一気読み。
    ただ、前作の犯罪を先に読みたかった…!失敗した!
    また犯罪も読もう、そしてこの作家さんの他の作品も読みたいと思った。
    イルミナティ、子供たち、解剖学、司法当局がなんかよかった。鍵はエンタメチックでこれはこれで好き。

  • 第一作の「犯罪」に似た短編集です。どの短編も読了感は悪いのですが、読んでいる最中は先が全く予測できず、先を読みたくなる欲求を抜群に秘めた作品ばかりでした。

  • ふるさと祭りで突発した、ブラスバンドの男たちによる集団暴行事件。秘密結社にかぶれる男子寄宿学校生らによる、“生け贄”の生徒へのいじめが引き起こした悲劇。猟奇殺人をもくろむ男を襲う突然の不運。麻薬密売容疑で逮捕された老人が隠した真犯人。弁護士の「私」は、さまざまな罪のかたちを静かに語り出す。

    第二短篇集。飛ばし読みには向いていません。じっくり味わった。

  • 2020.5.16読了

    前作「犯罪」に劣らない完成度の高い作品群だった。

    弁護士である作者が経験を元に創作したと思われる刑事事件が並んでいる点で前作と構成は変わらないが、異なる点として、作品数(前作が11作であったのに比べ本作は15作。「解剖学」(3頁)等掌編が含まれるから)の他、文庫版の解説にもあるようにテーマの違いが挙げられるように思う。

    ただし、解説者の言う、前作は「憐憫」、本作は「嘲笑が基調」と言う見方は素直に受け入れ難い。

    前作はあくまで「犯罪」そのものにスポットが当てられ、事件の加害者になってしまった人々の背景、経緯、動機といったところに関心がおかれたが、本作はもう少し広く、人間がそもそも抱えている「原罪」とその周辺を照らしているように思う。

    感情を抑制し淡々と綴られる短い文章の連なりに、人生の悲哀とこの世界のやるせなさ、稀に顔を出す希望と言ったものが立ち現れ、深く印象を残す。

    平凡な日常というのがこの上なく幸福なことなのだと思い知らされる気がした。

  • 1作目同様、完成どの高さは、信頼に値する。
    またステキな時間でした

  • ★3.5
    全15編が収録された短編集。どこか同情の余地があった前作「犯罪」に比べると、容赦がないような気がする本書。特に、女性や子どもが暴力に晒される場面が多く、居た堪れない気持ちになった。しかも、加害者側が何の罪にも問われないことがチラホラと。中でも「ふるさと祭り」でそれが顕著で、弁護士も加害者と同罪としか思えず、憤りを感じるばかり。その反面、「解剖学」や「秘密」、「司法当局」のように、滑稽さが前面に出た作品も。私的には、純粋な残酷さを見せる「子どもたち」、彼女の幸せに安堵させられた「寂しさ」が印象的。

  • “青い”の反対はなんだろう?
    この前に読んだ『空気の名前』が青いなら、こちらは。。。黒い?

    高め安定。
    ミステリーファンならこれは読まなくては。
    いやミステリーじゃないか、現実に基づいた犯罪短篇集。
    人って。。。

  • 「犯罪」が衝撃的過ぎて、2作目って辛いなあ。あの何というか淡々として乾いててそれでいて「これ小説だよね?」って何度も裏表紙確かめたくなるような圧倒的な臨場感。ああいう前作の凄みが何というかより暗いけどぐっと小説的に作られてて、面白くなくは決してないんだけど、うん小説読んだ、って感じ。単にこっちが慣れただけだったら申し訳ないけど。

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