幽霊が多すぎる (創元推理文庫)

制作 : Paul Gallico  山田 蘭 
  • 東京創元社
3.38
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本棚登録 : 141
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488194024

作品紹介・あらすじ

パラダイン男爵家を脅かす怪現象の数々──ポルターガイスト、うろつく尼僧の亡霊、外から鍵をかけた部屋で夜ごとひとりでに曲を奏でるハープ。さらに悪いことに、客人が幽霊に襲われた! 騒動を鎮めるため駆けつけた心霊探偵ヒーロー氏の活躍やいかに? 『スノーグース』などで知られる心やさしきストーリーテラー、ギャリコ唯一の長編本格ミステリ、本邦初訳。解説=我孫子武丸

感想・レビュー・書評

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  • ギャリコの作品は今まで「ハリスおばさんパリへ行く」しか読んだことがなかった。ユーモラスで優しくはあるけれど、一方で驚くほど人生の皮肉と哀感を描く作家でもあるのだな、という印象だった(ご都合主義とも言えるような楽しい展開で油断していると、痛烈なパンチで胸をえぐってくるような)。
    この作品では、貴族の館で起こった幽霊騒動をおさめるために、心霊探偵アレグザンダー・ヒーローが捜査をするのであるが、巧みな性格描写で形作られた登場人物がいかにも!な感じ。
    友情出演か、ハリスおばさんが思いがけなく現れたのでちょっと嬉しかった。ヒーローくんは気が多すぎて身から出た錆。メグが一番魅力的なのに、困ったもんですね。

  •  なぜ、昔『××館殺人事件』『××館の秘密』あと『××館の謎』のようなお館ミステリが大量発生したのか? 自分なりに背景を考えてみたんだけれども、古き良き時代の英国には由緒正しき館が数多くあったことを示しているのでしょうね。

     そういうお館殺人というのは英国の時代劇なので、概ねパターンが決まっています。探偵役は館外から招かれてくるのが伝統。外部から来た者の視線で冷静に貫かれることで、その館の特色や登場人物の特徴が、作品にざくりざくりと彫りこまれるのです。
     ポール・ギャリコ唯一の本格長編推理小説は、このお館ミステリのお約束に、作者が自ら縛られて書かれた楽しい作品。

     客人泊まり合わせるパラダイン館で相次ぐ幽霊騒ぎ。ヒーローという名の探偵が館内を回って一人一人に聞きこみを行い、事件の糸を解きほぐしほぐし進んでいきます。
     若々しくて快活で見目麗しきヒーロー。幾度か美女の誘惑によろめきながらも、「いかんいかん★」と体勢を立て直し、探偵役を果たそうとします。
     その時、私はくすくす笑いを聞いたような気がした! 子どもの頃、海外ドラマを見ていると明らかに登場人物のものではない、謎の笑い声が入っていることがありました。ああいう声です。それもドッと笑ったりげらげら笑いだったりではなく、穏やかな「くすくす」。

     それを聞いて、「ああ、ギャリコさん」と嬉しくなりました。何を描いても温かいギャリコさん。ストライクゾーンが広く、推理、ファンタジー、冒険物といったジャンルの垣根を超えて、ギャリコだというそれだけのことで一分野を形成しているお方です。
     ギャリコ印は、この小説にもバーン! と濃いインクで押されています。ああ、描かれる人間ドラマのしっとり感、少女に注がれる視線の優しさ、この類いなき癒し効果。

     A・A・ミルンの赤い館がまふまふなら、こちらはぬくぬく。血なまぐさい事件ではなく、ぬくぬくと心温まるのです。

  • 東京創元社2019年復刊書目の1冊。
    ポール・ギャリコと言えばミステリのイメージは全く無いが、本書は著者が唯一残した、本格ミステリ長編とのこと。
    内容としてはかなりオーソドックスな本格もので、幽霊屋敷やポルターガイストといったオカルト的な要素が雰囲気とよく合っていた。
    ミステリとしてはこれ1冊しか無いというのが惜しい。主人公の活躍をもっと見たかった。

  • 【古本屋で購入】
    ミステリーか?確かに犯人探し、その動機とトリックを追うのだけど、あまりひねったところもなく、主人公ヒーロー氏(!)の大活躍というわけでもなく。
    色々な登場人物達がワイワイ駆けまわったり、騒いだり、恋愛模様も淡く・華やかに(?)、顔を青くしたり、白くした利、赤くしたり、深刻にならず騒動を傍観者として眺めている感じ。
    なお、原題のページが『Too Many Chosts』となっています。

  • これ一冊で終わるのが勿体ない、シリーズ化して欲しかったミステリでした。この時代から、ポルターガイストには子供が深い関わりがあることは知られていたのね。真犯人に一番同情した。恋愛模様が面倒くさすぎ。

  • 12歳の少女から他人の奥さんまで次々に好かれる(自覚的。ただしメインヒロインの義妹に対しては鈍感)男性探偵が主人公のハーレムミステリ。ってコレなんてラノベ?

  • ポール・ギャリコは「スノーグース」が大好きです。
    最初は「トマシーナ」「ジェニイ」「猫語の教科書」など、猫好きのため読み始めたのですが、「スノーグース」でそれまでとは違った感覚を得られました。
    そしてこの「幽霊が多すぎる」は推理小説なのでまたもや驚きました。
    そしてポール・ギャリコがまたもや好きになりました。

    貴族のお屋敷で起こったポルターガイスト現象を解明するために、心霊探偵が訪れて、次々とそのトリックを暴いていくのです。
    登場人物の背景や行動、それに心理を主人公と探る感覚がとても面白かったです。まさしく推理小説なのです。

    主人公の人物は頭脳明晰の好男子かと思いきや、女性に弱いという弱点があり、それもまた好ましいです。
    ポルターガイスト現象、心霊関係の記述も詳細で、現代ののインスタントな心霊的な話も一蹴できそうでもあり興味深いです。

    惜しむらくは、当然ですが人物の名前が全員、カタカナで長い。そして沢山。
    私には名前を覚えるのに時間がかかりました。(見返しに列記されているのでそれを時々見直していたけど)
    主人公のヒーロー(姓)もアレクザンダー(正式名)、愛称でサンドロ、アレックスと変化するし(これはまだわかりやすいけど)
    ~~夫人も、姓と名と時々によって名前が変るので、こういうのがサクっと頭に入らないので自分の頭が残念です・・・

    余談
    ギャリコは「ポセイドンアドベンチャー」の原作者でもあるし、「トンデモネズミの大冒険」も書いている。多彩な人なんだな~と思います。映画化されて成功したとwikiにかいてあるし。この話も映画やミュージカルにいいのでは?と思うな。視覚で登場人物を捕らえたほうが面白いし、ポルターガイスト現象を見るのも種明かしもいいのでは?と思う。でもこういう推理小説はもう使い古されたのかな?

  •  昔、とてもよく読んだ作者。夢中になって読んでいたのに、ある時からすっかり遠ざかってしまっていた。
     本屋で見かけて久しぶりに手にしたのだが、懐かしい香りがしてきた。どの人もみんな悪い人じゃなくて、何か一生懸命で不器用だ。ほほえましい気持ちになりながら読むことができた。
     ミステリ仕立てというよりも、ディクスン・カーばりの本格ミステリである。オカルトちっくな雰囲気が入ってくるあたりも、カーによく似ている。謎がそれなりに論理的に解決していく感じもなかなかいい。ただ、ミステリとして考えれば、謎解きのやり方も、解明する真相も、もうひとつすっきりいかないところがあるようだ。
     とっても楽しかったのは確かなのだが、なかなか入り込みにくく感じてしまったのも確かである。なぜだろう。こちらの心に、昔のようなゆとりがなくなってしまっているような感じがするのだ。

  • うーん。ちょっと小説のための小説って感じで、いつものサービス精神がすべっちゃったかな。

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