愛おしい骨 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488195120

作品紹介・あらすじ

十七歳の兄と十五歳の弟。ふたりは森へ行き、戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、時が止まったかのように保たれた家。誰かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつずつ置いてゆく。何が起きているのか。次第に明らかになる、町の人々の秘められた顔。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。『クリスマスに少女は還る』の著者渾身の大作。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカ西海岸の小さな観光都市で起こった殺人事件。

    20年前に弟は森で行方不明になり、20年後に自宅に弟の骨が夜な夜な送り届けられる。兄はやはり20年ぶりに訪れた街でその真相を探る……というのがこの作品のあらすじ。

    登場人物の誰もが謎めいて怪しい。
    頻繁に変わる視点と複雑なプロットに翻弄されて、
    途中で嫌気がさすほど。
    500ページの文庫で400ページを過ぎて、やっとページターナーのスピードが加速した。
    しかし、あまりに唐突な真犯人の告白に、「あ、そうなんだ……」と拍子抜けしてしまった。

    とはいえ、ちゃんと人間が深く描かれているのはさすが海外作品。海外作品と国内作品を比較すると、海外作品がおおむね一歩も二歩も上を行っているのが悔しい。

    素晴らしい作品だからこそ、海を越えてやってくる訳だけど。

  •  死んだ弟の骨がひとかけらずつ返ってくるという導入部がおもしろい! そしてバイ・プレーヤーが魅力的な小説。鉄の心臓をもった家政婦ハンナや、家の修繕をおこたらず、死んだ犬を剥製にして保存する主人公の父親が切なくてグッとくる。〈家を幸せだったころのままにしよう〉という執念かな。あと隠遁の元警官スワンがかっこよかったなあ。ブクログでの皆さんの反応は好き嫌いはっきり分かれてるけど、私は100%楽しめました~

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      キャシー・マロリー・シリーズは愛読していたのですが、評判の良かった「クリスマスに少女は還る」も本作も未読。
      読みたいけど、積読がベラボーに増...
      キャシー・マロリー・シリーズは愛読していたのですが、評判の良かった「クリスマスに少女は還る」も本作も未読。
      読みたいけど、積読がベラボーに増えてる今は我慢、、、でも尾崎さんのレビュー読んじゃったから、我慢出来ない?!
      2012/05/29
  • 2011年版このミス第一位(海外編)。
    緩やかに時が進む小さなまちで、引退した判事の下に、
    彼の失踪した息子の骨が、欠片になって帰ってくる・・・。
    いったい誰が、何の目的でいまさら骨を送るのか。
    そして、彼の失踪した原因は?兄(主人公)は真相解明に乗り出す。

    幻想的な森を印象深くストーリーに組み込ませ、
    小人のような家政婦ハンナが絶妙に物語の引き出し手となっています。
    技巧に走るミステリとは一線を画し、ストーリーそのものに引き込まれます。
    敢えて赤裸々に書くのではなく、曖昧さを効果的に使い、
    上質の物語へ引き上げていく書き方がすばらしい。
    自然ともう一度読み返したくなります。

  • アメリカの地方都市のかなりエキセントリックな人々のミステリーとして、物語として面白い。

  • 『クリ還』のような「わ~!」がなかった代わりに登場人物どの人をどう動かすのか?という楽しみもあり、むしろ「わ~」があちらこちらにちりばめられている。一字一句読みのがしのないようにじっくりと楽しめた。ミステリーというより人間ドラマの味わいが深くなんども反芻しながらの読書時間。時間がかかってしまったけれど損はしていない感。

  • この作品は壊れた人たちの壊れてしまった愛の物語なんだろう。現代を舞台にしながら全編静かにそしてセピア色に綴られていく物語がかなりの量がありながらもだれることなく一気に読めてしまうのは多彩な登場人物、特にハンナをはじめとする魅力的すぎる女性陣たちのお陰だと思う。どこか雨が降ったあとの青空を思わせるような爽やかさを持つラストシーンが印象的だった。

  • 賞味期限の切れたデコレーション・ケーキのような小説。
    つまり、あれやこれや飾りつけはあるが、パサパサに乾いていて味気ない文章。文庫本の背表紙には、「迫力のストーリー・テリングと卓越した人物造形」とあるが、自分的には「詐欺的宣伝文句」。

    降霊会だの舞踏会だのといった、およそ現代アメリカとは似つかわしくない設定に、有り得ないような性格の小娘(あり得ないだけでなく不愉快な存在感)。

    無駄な描写も多く、文庫本510ページは300ページにでもまとめられる内容。

    賞味期限の切れたケーキをこれでもかと強要された気分。読了するまでに相当な忍耐が必要だった。

  •  登場人物たちが、どの人も味があって魅力的でした。けど、結末はミステリーっぽくはないかな? 文章が難しかった…(゚Д゚;)コロンコロンと主語が変わるので、あれ、今は誰のことかな? となりがちでした。
     家政婦さんが一番魅力的ですね! 主人公は家政婦さんでもよかったかも〜(*´艸`*)笑

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「主人公は家政婦さんでも」
      私はそのつもりで読みました!ハンナの隠れファンです。。。
      「主人公は家政婦さんでも」
      私はそのつもりで読みました!ハンナの隠れファンです。。。
      2012/11/30
    • ᑦᑋªᐢLeaさん
      ハンナの隠れファンでしたか! いやぁ、ハンナはステキなキャラですよね。私もハンナみたいな、たくさんの人に言うことを聞かせられるような人間にな...
      ハンナの隠れファンでしたか! いやぁ、ハンナはステキなキャラですよね。私もハンナみたいな、たくさんの人に言うことを聞かせられるような人間になりたいです。笑
      2012/12/05
  • 2年越しぐらいでようやく読み終わった本。
    大まかなストーリーは忘れないのだが、
    登場人物の名前と相互関係は時間が経つたびに忘れ、
    何度か多少読み直して補完しながらほそぼそと読み進めた。
    物語が霧に包まれている前半は、とにかく読み難い。
    正直に言えば、読み難さは最後まで続いたが、
    終盤は一気に読んだことで、何とか理解できた。

    事件そのものの真相については、
    それほど驚愕や逆転のカタルシスを感じなかった。
    むしろ、各人物の裏に潜む顔や、奇妙な関係の方が、
    ミステリー然としている。特に主人公オーレンと、
    イザベルの関係は、俗に言えば「ツンデレ」「ヤンデレ」
    的であり、ある種ラブコメとして読めてしまった不思議。

    お世辞にも読みやすいミステリーではないので、
    万人にオススメはできないが、奇妙な世界観に
    没入できて、読み難い文章への耐性があるならば、
    海外文学の教養として読んでみるのも良いかもしれない。

  • まわりくどい、語りが。主人公と父親の「決まりきった質問はしない」というルールが物語全体を通して適用されているよう。登場人物たちのことも、その言葉だけで判断することはできない。彼らは本当の事はほとんど言わないし、何を考えているのか想像するにも一苦労。それがリアルな人間だと割りきるにも、最後の最後には善悪がきっぱり別れて、悪人がすべてを背負うことで解決、というから釈然としない。もやっとする一冊でした。

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