- Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488208035
作品紹介・あらすじ
ロボズ・ノッドの町で凄惨な殺人事件が発生。連続殺人犯を父にもつ高校生ジャズは、内なる怪物に苦悩しつつ犯人を捕まえようとする。全米で評判の異色の青春ミステリ開幕。
感想・レビュー・書評
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期間限定版。大好きな漫画家天野明先生の描き下ろしイラストが表紙です。金髪ではしばみ色の瞳を持つ少年、かっこいいもんね!本棚には表紙をババーンと前面にして並べるもんね!
帯には好きな作品として先生の推薦コメントまであります。
「殺しの才能に溢れていながら
それに呑み込まれまいと葛藤するジャズを
応援せずにはいられない!!」
まさにその通りでした。
このはしばみ色の瞳でこちら側を睨み付ける少年、ジャズはシリアルキラーの父親を持つ17才の高校生です。ジャズは、幼い頃から父親に殺人鬼としての英才教育を受け、殺人の素晴らしさを物語のように聴かされ育ってきました。包丁を手に持っている記憶さえあるのです。
父親のようには絶対なりたくない。
なのに折に触れ、ジャズの心の奥深くからは無意識に殺人への衝動や欲望が沸き上がってきます。そのことに傷つき嫌悪しながら、呑み込まれまいと抗い葛藤するジャズの姿はヒリヒリします。
そんな彼にも、黒人のガールフレンドであるキュートなコニーと、血友病A患者の親友ハウイーがいます。仲間がいてくれることはジャズにとっては救いでしょう。
自分が父親とは違うひとりの人間だと認めてくれる、父親が恐ろしい殺人者だという色眼鏡で見ることなく固い絆で結ばれている。この二人がいなかったら、ジャズはジャズでなくなっていたかもしれません。
思春期の頃は、自分とは何なのか、自分らしさとは何なのか。鬱々と悩む時期でもあります。自分はひとりの人間。なのに、親から受け継いだ部分、考え方や性格がふと現れる。そんなことに躊躇いや嫌悪感を抱くこともあるでしょう。
ジャズにとっては、そのことがとてつもなく恐ろしいことなのです。どんなに普通の高校生として生活していても、無意識に父親から教えてもらったことに支配されてしまいます。その度にジャズは苦しみながら、暴れそうになる欲望を押さえつけます。
それでも自分を辛い思いにさせ、他人には恐ろしい殺人者である男は、ジャズにとってはたったひとりの血の繋がりを持つ父親なのです。父親は大きな壁であり、そしてやっぱり偉大な存在なのです。
ジャズは、父親から学んだ殺人者の心理、視点に己を置くことで、町で起こる連続殺人の犯人を追い詰めていきます。事件は解決するものの、これではい、終わりとはなりません。
なにより、ジャズは危ういです。父親のようになりたくないと思いながら、やっぱり父親を、父親からの教えを望んでいます。この不安定さが、どう成長していくのでしょうか。
「家庭教師ヒットマンREBORN!」で、マフィアのボスとなる運命に反発しながらも仲間とともに成長していったツナくんを描いた天野先生だからこそ選ばれた作品だなぁって思いました。先生の描くコニーやハウイーも見てみたいなo(>∀<*)o詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シリアルキラーの息子ジャズ。殺人鬼になるよう教育された。自分自身の生い立ちを乗超えるため,指切り殺人犯を捕まえようと奮闘する。父の犯罪の模倣犯は誰か?闇落ちしそうな自分を支えてくれる存在は大切だと思う。
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わー!思った以上に猟奇的だ!でもまごうことなきYAだ!
主人公の高校生ジャズが、町で起こる殺人の犯人を追うミステリではあるのだけど、ジャズの設定が特異。
彼の父親は大量猟奇殺人犯で、幼い頃からジャズも殺人者の「心得」を教え込まれてきた…というもの。
でも、設定はなかなか現実にないものでも、親との関係に苦しむジャズの姿は、多くの若者に通じるところがあるはず。
ジャズを支える恋人、友人、町の保安官もとてもいい。
しかし一巻ずつ完結のシリーズかと思ったら思い切り続くのねー! わかった読むよ…!
YAとしてもミステリとしても面白いのだけど、なかなか描写がエグいのと、割合ジャズに近い人たちが殺されていくのがしんどいので、人に勧めるのはややためらう。
でも訳もいいし、やっぱりお勧め! -
アメリカの田舎町で起きた連続殺人事件を独自の立場で追う17才のジャズ。獄中の父親は全米を震撼とさせたシリアルキラー。
殺人の手ほどきを受けながら育ったジャズは父の血が流れている自分を常に恐れている。悩みを抱えながらも事件解明に突っ走る彼に寄り添う友人と恋人。3人の会話が生き生きしていてホッとする。父親を逮捕した保安官の視線も温かくて、見守れながら成長する彼らを応援したくなる。 -
アニメとかにすると面白そう
あ、でも、猟奇殺人なシーンを見る勇気がないかも。 -
『青春ミステリー』なんて言う生易しいもんじゃないなぁ。連続殺人犯の息子として生きるジャズ。それも、シリアルキラーとして洗脳されて。僕は殺さない……葛藤と苦悩のジャズを支える恋人と、親友。殺人鬼にならないように何度も何度も自分に問いかけるジャズ。父親ビリーとの対面の時は、ジャズがビリーに飲まれてしまう!てハラハラした。最後のタトゥーでジャズがグッと大人になったような気がした。三部作の序章。次が楽しみです。負けるな!ジャズ!
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シリアルキラーなんていう物騒な言葉にドキッとするのですが、それを柔らかく「さよなら」と打ち消している不思議なタイトルです。
恋人や親友と年相応の青春を謳歌している17歳の少年を主人公として、青春小説の色が濃いサスペンスミステリー。しかしユニークなのが、彼が連続殺人犯の父から犯罪のイロハを学んで育ったという特殊な事情です。
自身の中に眠る、父から教え受け継いだ殺人鬼の才能に怯え、正義感や贖罪の為ではなく自己保身の為に犯人を追というのが他とはちょっと違うおもしろいところです。
犯人を捕まえれば、自分が犯人でないことを証明できるという捜査理由がなんとも切ない。
彼は父の所業に苦悩する加害者側家族であり、異常な教育を受けて育った被害者なのですが、いつ何時ころりと加害者側へ堕ちてしまうか分からないという緊張感が常にあります。
そんな危うい彼に優しく、時には厳しく接する恋人と親友との絆が素晴らしい。
事件は衝撃的な展開の連続で幕を閉じますが、これは後の大きな事件へのはじまりに過ぎないようです。
父親へ、そして自分の内なるシリアルキラーへ力強くも悲しみを込めた「さよなら」だったと、最後にはタイトルを振り返ることとなりました。 -
面白かった。シリアルキラーの父に英才教育を施された主人公が、本当の自分とは?恐れおののきながら苦悩する様や、それを支えるガールフレンド、血友病の親友の揺るがない優しさに胸を打たれました。解説を読んで本書がYA小説であることを目にし、さもありなん。主人公と同じ年代の人達は、大いに楽しめるのでは?オッサンも目いっぱい楽しめた一気読み作品でした。
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ドラマの「デクスター」と「ハンニバル」足して2で割って、そこに青春小説と中二病の要素を加えたような感じ。
おもしろかった。 -
今世紀最悪と言われたシリアルキラーの息子。彼は小さい頃から、父親に殺人者としての「教育」をうけていた…。
そんなとき、同じ小さな町で再び殺人事件が起こる。
望まずに犯人としての思考が見えてしまい、それと戦いながら犯人を捜す、というのが斬新だった。
3部作なんだなー。続きが気になってしまう。
久しぶりに翻訳ものを読んだ。この翻訳特有の「原文の言い回しを日本語に訳しました」感がつっかかる。