殺人者の顔 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 449
レビュー : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488209025

感想・レビュー・書評

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  • 1990年代のスウェーデンが舞台の刑事ヴァランダーシリーズ第1作。
    一応ミステリー小説にカテゴライズされるのだろうけど、これミステリーじゃない!
    殺人事件の捜査が柱にありつつ、謎解きがメインじゃない人間ドラマ。
    登場人物たちの内面の葛藤や生活、そして事件捜査としての"自分の仕事"に対する姿勢がとても魅力的。
    ヨーロッパらしい自立した考えの大人が議論を交わす形で社会的背景と国家の問題を印象深く盛り込んでもいる。過激な思想の押し付けがなくスマートなので、余計に考えさせられる。
    翻って、アクションシーンはハリウッド映画も真っ青の大迫力!
    ミステリーの概念吹っ飛んだ。
    これまで読んできたミステリーはアメリカが舞台のものばかりだったので、北欧というのもとても新鮮だった。

  • 妻との不和、子供の独立、なりかけのアルコール中毒、これぐらいまでは、
    ハードボイルドや刑事ものにはありがちの主人公なので良いとしよう。
    しかし、これに、父親の老化、部下の病死まで、盛り込むのはちょっとやり過ぎでは。

    捜査が地味で、解決まで時間がかかるのも、リアリティなのかどうか、よくわからない。

    まあ、マルティン・ベック・シリーズと良い勝負の盛り上がりの無さ。

  •  小説それ自体の魅力もさることながら、翻訳の質が非常に高くて、大好きなシリーズです。中年刑事ヴァランダー警部のよれよれとした情けなさも魅力的。1作目を久しぶりに読み返してみると、まだ登場人物たちのキャラクターが定まってなくて荒削りなところもあるなあと思ったけど、そこがまた魅力に思えてしまうあたりヘニング・マンケルの中毒かもしれん……。っていうかヴァランダーがこんなにアクティブだったなんて……すぐコケて血出してるけど。
     捜査の進行状況を丹念に追う筋もさることながら、中年期にさしかかり、色々なものが手からこぼれていく人生の秋をけなげに生きるヴァランダー警部が好きです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「よれよれとした情けなさも」
      ヘニング・マンケルは知人に薦められて読んだます、人間が描けているし、ちゃんとレディ(って言って良いですよね)の...
      「よれよれとした情けなさも」
      ヘニング・マンケルは知人に薦められて読んだます、人間が描けているし、ちゃんとレディ(って言って良いですよね)のハートを射止めるところも好きです!
      2012/04/03
    • 尾崎さん
      ヴァランダーはやる時はやる人ですよね(^^)
      たしかにスウェーデン・ミステリの中でもマンケルの人間の描写力は傑出してますよねえ。あと、無理に...
      ヴァランダーはやる時はやる人ですよね(^^)
      たしかにスウェーデン・ミステリの中でもマンケルの人間の描写力は傑出してますよねえ。あと、無理に大団円にもっていかないところも好感度大かもしれません。
      2012/04/04
  • 人間味のある主人公です

  • 北欧のミステリー、クルト・ヴァランダーシリーズの第1作目。紹介されたので今後このシリーズは読むつもりです。

    さて、事件そのものは割とすんなりちょっとあれ?っと思ってしまうほど。
    クルト・ヴァランダーの情けない日常と対比するほどに鋭く冴えた刑事魂、そこら辺がこのシリーズの着眼点かな?それともこれからだんだん魅力を増してくるのかな。

  • 妻に出て行かれ、娘とは連絡が付かず、一人暮らしの父には老いの陰がみえ、自分は一人になってすっかり太ってしまった中年刑事と残忍な農家の老夫婦殺人事件。事件の方は奇天烈ではないオーソドックスな感じ。事件を追いながら、食事をし、家に帰り、自分の不運に涙ぐむ…という刑事の毎日のシーンのほうが面白かったです。

  • クルト・ヴァランダーシリーズ第1作。
    順を追わずにいくつか読んでいるこのシリーズだが、未読作品も読んでみたくなり手を取った。

    クルトの私生活描写が生々しい。奥さんに愛想をつかされ、娘には異国の恋人ができ(それを知らされず)、乱れた食生活で太り、酔っ払い運転で部下につかまり、酔った勢いで美人女性検事の腰を抱きかけてどつかれ…、なんという駄目っぷり。
    認知症気味の父親とのぎこちないやりとりや、その父親の今後を姉と相談するシーンなどは、駄目なわけではないが、高齢者福祉社会に住む中年男の悲哀感もたっぷりで、妙なところに親近感がわく。

    でも仕事になると、猛烈に働くねんなぁ。決して天才肌の名探偵ではないが、綿密にしつこく念入りに事件を捜査し、決して諦めない。行き詰ろうと、迷宮入りしそうになろうと、予測が外れようと、その場では落ち込んで苦しんでも、執拗に粘っこく解決への糸口を探す。

    そんなモーレツな業務をこなし、わずかなプライベート時間を家庭の諸事と酒と美人検事にちょっかいかけることで潰してしまうクルト。過労死するんちゃうかと心配になる。

    と、本筋から外れた楽しみもできる本作だが、もちろん警察小説としても読み応え十分。ミステリーという意味では、謎解きが弱く、どんでん返しも荒っぽいが、犯罪捜査に取り組む警察の描きっぷりは見事である。

    なるほど、これはシリーズ化するはずで、この後傑作も生まれるわけだ、と納得のシリーズ第1作だった。

  • 意外な展開を期待してたのでちょっと物足りない。。
    携帯がない時代の刑事は大変だな。
    何故残虐な殺され方をしたのかがスッキリしない。
    怨恨の線を匂わせてたけど結局お金のありかを拷問して吐かせたってことなのか。
    次作も読むかは迷う。

  • 刑事ヴァランダーシリーズ第一作目。北欧発の作品だけあって、移民政策に排斥運動といったデリケートな社会問題に鋭く切り込んでいるが、テーマが先行し過ぎて警察小説としては些か盛り上がりに欠け、作中での問題提起も突発的で散乱しており、まだどうにもこなれていない印象が強く残る。展開そのものはスピーディーで読み易いが、単巻でこの情報量だと上下巻のシリーズ後作は一体いかほどの密度だろうか。直情的なのに内省的なクルトのキャラクターは面白いし、イースタ署のチームワークも見所だが、このシリーズを追うべきか否か未だ目下思案中。

  • クルト・ヴァランダー刑事シリーズの第一作。もうこのシリーズは完結している。順番に読まなかったのはよくないかな、と思っていたが、ヴぁランダーを取り巻く人たちとは、初めて遭うのではなく既におなじみになっているのもちょっと嬉しかった。

    スウェーデンのイースタでは滅多に起きないような、残虐な殺人事件の通報があった。
    人里はなれた老人家族が住む二軒の家、そのうち一軒で老夫婦が襲われ夫は死に妻は重症だった。妻も助からない状況で「外国の…」と言い残す。

    隣人からみても、日ごろから地味て堅実そうに見えたというが、亡くなった夫には秘密があった。「外国の…」を手がかりにヴァランダーと長年の友人リードベリは捜査を開始する。

    「外国の…」を裏付けるように現場の綱の結び方にも特徴があった。そして事件はスコーネの、バルト海に面した湾岸にある難民の居留地につながる。政府は海外から来た人たちを受け入れられたものの、人々は職場にも恵まれず極貧生活を強いられていた。
    殺された夫婦も、外国から来て住み着いたらしい。そういった背景と、殺人事件を結ぶ糸から、犯人を割り出していく。

    車の音から車種を言い当てる特殊な能力を持った人を見つけだす。ヴァランダーが自分のプジョーも走らして当てさせてみる所など稚気があっていい。
    彼はごく普通の冴えない男である。別れた妻にいつまでも未練があり、それなのに気に入った女性を見かけるとついお茶にでも誘いたくなり、あれこれと想像する。娘にも会いたい、その上事件が起きてもうまく解決できるかというようなことでいつもうじうじと悩んでいる。
    だが彼のやる気は天啓のように謎を解く鍵に気づくことがある。そう言った直感とは別に変わったことではない、常に思いつめ、捜査に悩んでいることから我知らず導き出されたものなのだろう。
    その熱心さが、危険も顧みず犯人を追い詰め、半死半生の目にもあう、過激なアクションシーンを演じることもある。

    彼を取り巻く環境や人々も細かく描写され、今風でないタイプの警官だけれど、何か親しみがわく、警察内でも東洋的な人情など人との結びつきが優しく感じられるのも親しめる要因かもしれない。

    作者のヘニング・マンケルさんは昨年なくなったそうだ。感謝とお別れを

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