笑う男 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488209056

感想・レビュー・書評

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  • スウェーデンのミステリ。
    クルト・ヴァランダー警部のシリーズ4作目。
    「殺人者の顔」「リガの犬たち」「白い雌ライオン」に続く真ん中へんですが、順番めちゃくちゃに読んだので、これが最後になりました。
    (…あ、もう新作出てます!)

    前作で正当防衛ながら人を殺したことにショックを受け、1年も休職していたクルト。
    ついに仕事を辞めると決意したとき、友人の弁護士が保養先に訪れます。
    父が事故死したのだが、その様子に不審な点があるので、調べて欲しいと。
    クルトは断るのですが、その友人が殺されたと聞き…

    アン=ブリット・フールグンドがここで初登場していました。
    イースタ署では初めてだという紅一点の新米刑事なので、最初は同僚に評価されないでいます。
    でも子どもが二人いるしっかりした女性。
    クルトは素質を見抜き、新時代の警官になるだろうと思うのです。

    弁護士トーステンソンの父親は、取引先から帰る途中で事故にあった。
    取引先とは、ファーンホルム城に住む富豪のアルフレッド・ハーデルベリ。
    署長が気を遣うほどの名士で、世界を飛び回っているため、面会することすら難しい。
    強引に約束してクルトが聴取に出向いたハーデルベリは、笑顔を絶やさないカリスマ性のある男でした。

    クルトは子どもの頃に、画家の父親の絵を買っていた大金持ちのことを思い出します。
    絹の服を着て高価な車に乗っていた彼らはどこか、怖かった。
    父親が卑屈にふるまう顧客を、幼いクルトはシルクライダーと呼んでいたのです。

    城の様子を探るため、旧友にも協力を頼むクルト。
    弁護士の女性秘書までが狙われ、事態は急迫してきます。
    癖のある古手の警官達と付き合いながらの捜査。
    一番変わっているのはクルトかも知れないけど。
    休養の後なので、珍しく健康らしいけど、捜査に熱中して、ひげを剃らないまま事情聴取に行ったり。
    鑑識のニーベリは有能で、検事のオーケソンは冷静に協力し、フールグンドも期待通り活躍します。

    国際的な富豪が相手とは、小さな町の警官達で解決出来るのかと思いますが~ここは頑張るんです。
    それどころか、クルト一人でも解決しそうな勢い~単独行動が多いのでね。
    「クルトが元気になるには、ちゃんとした事件が必要なんだ」と同僚に評されます。
    アクションシーンをまじえて、さくさくと進む警察物で、このシリーズにしては標準的な読み応えかな。
    手紙を出していた美しい未亡人バイバには、会って貰えそう?

  • 久し振りのイ-スタ署のヴァランダー警部、冒頭から正当防衛で殺した事件で悩んでいる。転地しても効果がなくうつ状態は深まるばかり。
    そこに友人の弁護士が尋ねてくる、父親が交通事故で死んだが、腑に落ちないので調べて欲しいと言う。ヴァランダーは警官を辞めようかと思っているときであり、断ってしまった。

    帰宅して新聞でその友人が射殺された記事を見る。
    彼は負い目を感じ、やっと前向きに立ち上がれそうな予感がする。
    重い腰を上げて復帰、早速父親の事故から調べ始める。
    暫く空けていた署内は、新人のアン=ブリッド=フーグルンドが配属されていた。女刑事と言うのが気に入らなかったが、頭も切れ、その上美しい彼女は、戦力になりそうな有望株だと思えた。

    父親の秘書の庭に地雷が埋められ、自分の車に爆破装置を仕込まれたが生き延びる。県庁の会計捜査官が自殺をする。

    次々に起きる事件を繋いでるかのような、姿を見せない富豪の城主が何か気にかかる。彼は5年前に郊外の城を買って住み始めた。県内あちこちの施設の高額の寄付をし、研究費を補助し、尊敬されている人物だった。
    ヴァランダーは挨拶目的で彼に会う。城はがっちり固められたセキュリティーの中にあった

    非常に紳士的で隙のない男だったが、顔に笑みを張り付かせた様子はなにかひっかった。しかし事件の根拠がわからない。また思い惑う。ハーデルベリ(城主)に関する情報を確認する捜査に一週間かかった。その間、ヴァランダーもほかの者たちも、平均して5時間も眠らなかった、あとで彼らはその一週間を振り返って、必要とあらば自分たちも高度の捜査能力を発揮することが出来ると実感したのだった。
    オーケソン検事は言う「この捜査法は時が着たら、警察本庁と法務省がイースタモデルという名で一般に公開することになるだろう」(略)
    「私の云っているのは、警察本庁のお偉方の捜査会議のことだ。また政治家のまか不思議な世界のことだ。大勢が集まって
    御託をならべて<アリを篩にかけ、ラクダを飲み込む>ようなことばかりしているではないか。彼らは実際の仕事をしないで毎晩就寝時に明朝目が覚めたら水がワインに変わっていますようにと祈っているようなものだ」

    なすすべも無く、時間が過ぎた。
    署長のビュルクは相変わらず事なかれ主義で、城主に対しても弱腰である。しかし鑑識のニーベリやオーケソン検事に励まされ、同僚も休み返上で動く。ヴァランダーは少しずつ前進する。
    今回は、完璧に武装した城の中に潜入して調べたいという焦りと、若くして成功した世界的な事業主の闇を暴こうとする執念が、非力なヴァランダーの支えになっている。

    彼の家庭や親子のつながりなど、多くの紙数を費やして、彼の人柄を浮き彫りにしている。事件を負いつつ、同僚や上司の人物の描写も多い。

    いつもの「何かおかしい」というヴァランダーの天性の勘と経験に裏打ちされた警官の心が、物語を牽引する。
    格好のいい警官ではない、逆に悩みも多く、たまにはそれに負けて逃げようとする、そんな身近な人となりが、読者を捕らえている。

    11月初めに起きた事件は複雑な背景を持っていたが、クリスマス前にやっと目処がつき片付く。
    最後、ダイハードもどきのヴァランダーの活躍にはビックリした。

  • スウェーデンのヴァランダーシリーズ第4弾。

    あらすじ
    前作で正当防衛とはいえ人を殺してしまったヴァランダーは休職中。そこへ友人が訪ねてくる。田舎の弁護士だった父親には、国際的な企業が顧客であり、つい最近事故死したという。一旦捜査を断ったヴァランダーだが、後日友人が何者かに射殺されたことを知り、現場に復帰する。相手は、町外れの城に住む、大企業のトップ。自分の車を爆破されたりしながら相変わらず単独で向かっていく。

    突然の勘?感や思い込みで行動するヴァランダー。感情が激しすぎて警察組織ではついていけなさそう。今回からできる女性刑事が加入。世代の違いや社会の変化を感じながら協力する。臓器移植が出始めっていうのも面白い。タイトルの笑う男とは、黒幕のトップのこと。

  •  前作の事件で心身消耗して警官をやめようという寸前まで行ったクルト・ヴァランダーが友人の弁護士父子の思わぬ殺害事件をきっかけに立ち直って復職する。もともと内省的でうじうじ考え込むタイプなので職を投げ出してしまってもちっとも不思議ではないが、それでは人気シリーズが終わってしまうので無理やり復活させたと(笑)。そのあとはいつも通りの捜査方法で巨悪の正体に迫るというお話。同僚にフーグルンドという優秀な若い女性捜査官が加わったところが多少新展開だが、他のおなじみのメンバーは相変わらず。驚いたのは心の恋人バイバ・リエパとの関係が進展しそうなところか。ねちねちとしつこいアプローチが功を奏したかな。前作の「白い雌ライオン」もそうだけどタイトルがもうちょっと何とかならないものか。中身の魅力が表せていないと思う。

  • (後で書きます)

  • 最後のヴァランダーの活躍ぶりは出来過ぎでは?

  • 地方警察巨悪へ立ち向かう。ヴァランダーほぼ一人。後半は、一気読み。

  • 前作と全く異なり、一気に読んでしまいました。いきなり彼の歳が上乗せされていて驚きましたが…。迷いながら、怯えながら(人間の弱さを見せながら)それでも行動してしまうヴァランダーをちょっと見習わねば(笑) ただ、エンディングで一気に片付きすぎな感もあります(作者の癖か?) それと愛車の古いプジョーは1作目で...以下略w 新人の女性もいいですねぇ。あとがきにもびっくり! 次作が楽しみ。 一気読みだったので、明日にでももっとじっくりと読んで楽しもうっと。

  • クルト・ヴアランダーシリーズの4作目。
    一見、情けない中年男なのに芯の太い正義感の強い男。
    残り少ないページ数で不安になったが『笑う男』との対決の決着のつけ方は文字通り手に汗握るシーン。
    続きも楽しみ。

    六年後の今日、再読 読了。
    なぜか、ヴァランダーを再読したくなる。
    六年前は、字面を読むだけだったけれどずっと読んできている読者にとってあまりにも自身を投影出来る人物になってきている。それだけ自分自身もある意味到達したのか?否、年齢を重ねてきているというだけなのかもしれないが。
    小説の内容には触れずにおくけれどヘニングマンケルのいない今、ヴァランダーを再読するのは年齢を実感してまた、自分を見つめ直すことになると言うこと、強く感じている。

  • ヴァランダーのこのシリーズもお気に入りになりそう。

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