背後の足音 下 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
4.16
  • (28)
  • (49)
  • (12)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 296
感想 : 34
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (428ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488209131

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 映画にしよう

  • スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『背後の足音(原題:Steget efter)』を読みました。

    『目くらましの道』に続き「ヘニング・マンケル」作品です… 読み始めると北欧ミステリは続いちゃいますね。

    -----story-------------
    〈上〉
    夏至前夜、三人の若者が公園でパーティを開いていた。
    十八世紀の服装、料理、ワイン。
    彼らをうかがう目があるとも知らず……。
    イースタ警察署に娘を捜してくれという母親の訴えが出された。
    夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ。
    捜査会議を招集したが、刑事の一人が無断で欠席した。
    几帳面なはずの人物がなぜ? 
    不審に思ってアパートを訪ねた「ヴァランダー」の目の前に、信じられない光景が。
    シリーズ第七弾。

    〈下〉
    長年一緒に仕事をしてきた同僚の刑事が殺された。
    そのあまりに無惨な姿に、イースタ署の面々は言葉を失った。
    どうやら彼は、例の若者たちが失踪した事件をたった一人で調べていたらしい。
    二つの事件は同一犯の仕業なのか。
    調べ進むうちに明らかになる、殺された刑事の隠された素顔。
    自分はいったい彼の何を知っていたのか。
    「ヴァランダー」ら捜査陣の焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が……。
    現代社会の病巣をえぐる北欧の巨匠の傑作。
    訳者あとがき=「柳沢由実子」/解説=「小山正」

    *第1位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/総合部門
    *第1位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/翻訳家&評論家部門
    *第3位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/読者部門
    *第4位『このミステリーがすごい!2012年版』海外編
    *第4位『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇
    *第6位〈週刊文春〉2011ミステリーベスト10 海外部門
    -----------------------

    警察小説「クルト・ヴァランダー」シリーズの第7作… 第1作の『殺人者の顔』、第4作の『笑う男』、第5作の『目くらましの道』に続き、本シリーズを読むのは4作目です、、、

    本シリーズ、新しい作品が出る度に長くなる傾向があるようで、本作品は上下巻で850ページを超える大作になっています… 読み応えありましたね。


    夏至前夜、三人の若者が自然保護地区の公園でパーティを開いていた、、、

    十八世紀の服装、音楽、美味しい料理、ワイン… 物陰から彼らをうかがう目があるとも知らず。

    その三人の若者のうちの一人「アストリッド・ヒルストルム」の母親「エヴァ・ヒルストルム」から、イースタ警察署に娘を捜してくれという訴えがあった。

    夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ… 旅先から絵はがきが届いてはいるのだが、筆跡が偽物らしいというのだ、、、

    母親の熱意に動かされた「ヴァランダー」は捜査会議を招集したが、同僚の刑事のひとり「カール・エヴァート・スヴェードベリ」が無断で欠席した… 電話をしても応えるのは留守番電話ばかりで、いっこうに連絡がとれない。

    几帳面で遅刻などしたことのない「スヴェードベリ」が、なぜ? 不審に思ってアパートを訪ねた「ヴァランダー」の目の前に、信じられない光景がひろがっていた… 長年一緒に仕事をしてきた「スヴェードベリ」はライフル銃で頭を撃たれ殺されていた、、、

    そのあまりに無惨な殺人現場に、イースタ署の面々は言葉を失う… どうやら「スヴェードベリ」は休暇まで使って、例の若者たちが失踪した事件を一人で調べていたらしい。

    二つの事件は同一犯の仕業なのか? 調べ進むうちに、次第に明らかになる、「スヴェードベリ」の隠された素顔… 自分はいったい彼の何を知っていたというのだろう、、、

    そして、自然保護地区の公園で三人の遺体が発見される… 三人とも銃で頭を撃たれており、しかも、遺体は一度どこかに持ち去られたあと、再度、殺された場所に置かれていた。

    捜査陣の焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が… 三人の若者とのパーティーに参加する予定だったが、体調を崩して参加できなかった「イーサ・エーデングレン」が銃で撃たれて殺され、さらに結婚式を挙げた直後に記念撮影をしていた「トルビューン・ヴェルネル」と「マーリン・スカンデール」の新婚夫婦とカメラマンの「ロルフ・ハーグ」が銃で撃たれて殺される、、、

    次に狙われるのは誰か? そして、「ヴァランダー」にも魔の手が迫る… 糖尿病からくる身体の不調(本人は同僚たちにちょっと血糖値が高いだけ… と言って、糖尿病とは言いませんが)と闘いながら、「ヴァランダー」は同僚たちの協力を得ながら、事件の真相に迫る。

    相変わらずですが… 現代社会の病巣を見事に描いた快作でしたね、、、

    第6作の『五番目の女』を飛ばして読んだので、いつのまにか「ヴァランダー」の父親は亡くなり、「ヴァランダー」と「バイバ・リエパ」との関係も終わってしまったみたいです… やっぱ、順番に読むべきだったかなぁ。




    以下、主な登場人物です。

    「クルト・ヴァランダー」
     イースタ警察署の刑事

    「アン=ブリッド・フーグルンド」
     イースタ警察署の刑事

    「マーティンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「カール・エヴァート・スヴェードベリ」
     イースタ警察署の刑事

    「ハンソン」
     イースタ警察署の刑事

    「スヴェン・ニーベリ」
     イースタ警察署鑑識課の刑事

    「リーサ・ホルゲソン」
     イースタ警察署の警察署長

    「エッバ」
     イースタ警察署の交換手

    「ツーンベリ」
     代理の検事

    「クルト・ヴァランダーの父」
     画家

    「イェートルード」
     その妻

    「モナ」
     クルトの別れた妻

    「リンダ・ヴァランダー」
     クルトの娘

    「バイバ・リエパ」
     リガに住む未亡人

    「ステン・ヴィデーン」
     クルトの友人

    「イルヴァ・ブリンク」
     スヴェードベリのいとこ、助産師

    「スツーレ・ビュルクンド」
     スヴェードベリのいとこ、大学教授

    「ルイース」
     スヴェードベリの恋人?

    「ブロー・スンデリウス」
     元銀行理事

    「アストリッド・ヒルストルム」
     行方不明の若者

    「マーティン・ボイエ」
     行方不明の若者

    「レーナ・ノルマン」
     行方不明の若者

    「イーサ・エーデングレン」
     アストリッド、マーティン、レーナの友人

    「エヴァ・ヒルストルム」
     アストリッドの母

    「エリック・ルンドベリ」
     イーサの隣人

    「バルブロ」
     ルンドベリの妻

    「レナート・ヴェスティン」
     群島の郵便配達人

    「スティーグ・ストリズ」
     スヴェードベリを訴えた男

    「ニルス(ニッセ)」
     スティーグの弟、故人

    「ルート・ルンディ」
     ニルスの内妻

    「トルビューン・ヴェルネル」
     新郎

    「マーリン・スカンデール」
     新婦

    「ロルフ・ハーグ」
     カメラマン

    「マリア・ヨルトベリ」
     ロルフのアシスタント

    「ロネ・シェール」
     コペンハーゲン警察の刑事

    「シェル・アルビンソン」
     郵便物の集配責任者

    「オーケ・ラースタム」
     郵便配達人

  • BBC制作のヴァランダーシリーズを見始めたら面白くて、おまけにマンケルは未読だったので図書館にあるのを適当に借りてみた。上下巻とも400ページ超えの読み応えのある長編で大満足。90分のドラマでは到底描ききれない細部が実に面白かった。

  • シリーズ物とは知らず、本作から読んでしまったが楽しめた。手掛かりがないところから、ジワジワと犯人に迫っていく様が面白かった。
    また、最後にはスウェーデンが抱える問題についても触れてあり、その点は日本にも共通するなぁと思い、興味深かった。

  • 解説であったように、初期3作の「壁」を越えてからは、安定した面白さ。人に勧めるなら「笑う男」以降だろうか。

  • ヴァランダーシリーズ 7作め。
    同僚の殺害と、全ての、事件が、どのような形でつながるのか、読み始めてから、ページをめくる手が、止まらない。ヴァランダーが、犯人を、予想し始めてからも、ドキドキするほど。
    捕まえた犯罪者の、人となりは、現代社会の中にも、多々存在しうる怖いストーリーでした。

  • 一気に読了。
    写真が女装した男性や、スェードヴェリがゲイとか、犯人が
    郵便配達員というオチは意外と早く分かる。
    それでも少しずつそこに近づいていくヴァランダーたちの捜査手法が緻密なので飽きずに読めるし、それぞれのキャラも少しずつ成長していて楽しめる。

    今回はヴァランダーのプライベートは意外と描かれておらず、父親のエピソードも、リンダもバイパもほとんど名前くらい。エリカというそれっぽい女性が一瞬登場するのみで、ひたすら犯人に翻弄されて終わるが、最後、新たな友人?
    を訪ねる辺りはなかなか印象深い。

    早くも次作に期待。

  • ヘニング・マンケル『背後の足音 下』創元推理文庫。

    クルト・ヴァランダー・シリーズ第7弾。

    今から20年前の作品だというのに今の世の中とも通ずるような犯罪や人間の嗜好が描かれていることに驚かされた。まるで無差別的に無実の多くの人びとをいとも簡単に殺害する異常な犯人。このような異常な犯罪は、今の日本でも当たり前に起こるのだから恐い。

    殺害されたヴァランダーの同僚刑事が隠し続けてきた素顔。エスカレートする犯人の犯行は、ついに8人目の犠牲者を生み出す。明らかになる犯行の動機……ヴァランダーの運命は……

    本体価格1,200円
    ★★★★★

  • 面白かったぁ。新婚カップルが殺されたのは嫌だったけど。犯人を捕まえて署に戻った時のヴァランダーの姿を想像すると、可笑しかった。北欧ものはこういうちょっと笑える部分があってほっとする。
    エピローグも良かった。色々な事に区切りを付けて生きる気力を戻しに島へ行ったように思えた。スウェーデンに行ってみたい。
    自分の仕事に思い悩みながら進んでいく主人公にいつも共感し、励まされる。私も同じだから。
    そして身体的にも問題が出てきてるところも共感してしまう。
    それにしても、糖尿病に徹夜にとあんなに体を酷使してたのに、一人で逮捕しちゃうなんて。「リガの犬」の時も思ったけど、小説じゃないとあり得ないわ・・・

  • 決して派手ではない、地道な捜査が積み重なっていくだけ。かっこいい人がいない、みんな悩みを抱えている。だけれども一気に読めてしまう、さすがマンケル。しかしまさかフーグルンドが・・・とショック。早く次が読みたい。あとがきにもあったけれど、最初の3作で投げ出さなくて良かった!
    それにしても、文庫本の価格がもう少し安くならないものか。この厚さで千円はきつい。

全34件中 1 - 10件を表示

ヘニング・マンケルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×