ファイアーウォール 下 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (406ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488209155

作品紹介・あらすじ

タクシー運転手殺害で逮捕された少女が脱走、死体となって発見された。単純なはずの事件が一気に様相を変える。一方、病死だと思われたITコンサルタントの死体がモルグから盗まれ、代わりに少女との繋がりを疑わせるものが。調べ始めたヴァランダーは、コンピュータに侵入するため、天才ハッカー少年の手を借りる。新しい時代の犯罪に苦しむヴァランダー。人気シリーズ第八弾。

感想・レビュー・書評

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  • ヴァランダー・シリーズの邦訳8作目の下巻。上巻と比べてテンポは速くなり、一気に事件の真相へと突き進むストーリーには迫力を感じる。また、これが1998年の作品というから驚く。まるで現在のネット社会の到来を予想していたかのようなテーマをベースにスケールの大きなミステリーが描かれる。

  • クルト・ヴァランダーのシリーズ第8弾、後半。

    タクシー運転手から金を奪った少女が脱走した事件。
    別件に関連があるとわかり、しかもヴァランダーは苦手なコンピュータが重要な糸口を握っている。
    ヴァランダーは、ハッカーとして釈放されたばかりの少年ローベルト・モディーンを頼ることに。

    一方、孤独な生活が長くなったヴァランダーは、広告を出して交際相手を求め、魅力的な中年女性エルヴィアに巡り合う。
    (ほかのスウェーデン・ミステリにもこういう交際は登場していましたね)

    スウェーデンは犯罪増加に警察が対応しきれない状態である様子。
    イースタは小さな町なので人員も少なく、のめりこみ型のヴァランダーは一人で暴走することにもなりがち。
    部下の女性で信頼しているアン=ブリット・フーグルンドから思わぬ話を聞かされて、ショックを受けることに。

    署内での問題に内憂外患といった趣だけど、娘のリンダが将来を決めたと報告してくる喜びも。
    リンダ中心の作品も出るのかな?

  • ヴァランダー警部もこれまで頑固なまでにITとは無縁な仕事のしかたをしてきたけれど、今回の捜査ではいろいろと考えさせられることばかり。しかも信頼していた仲間のうらぎり行為もありピンチ!!そんな多忙な中、さびしき独り身の中年男ヴァランダーは彼女欲しさにマメな行動に出たもののとんだことに!?相変わらずカワイイ警部なのです。あと2作でこのヴァランダー・シリーズも終わり。なごりおしいな〜。

  • うーん。
    これが15年近く前に書かれたものだとは到底思えない。リアルタイムでも十分通用する話だ。
    新しい形の捜査についていけないヴァランダーの捻くれ具合に笑ってしまう。
    そして今まで信じて共に真相究明に突き進んできた同僚の裏切り。上司への不信。
    長いシリーズならではの読みどころ満載。
    ずっと読んできたから感じるヴァランダーの変化に心配したり苦笑したり呆れたり。
    そう。ヴァランダーはもう親戚のおっちゃんみたいな存在なんだよね。だからこそ気になって新刊を待ってしまう。
    残り二作。
    だけど先にノンシリーズを訳すということなので、またしばらく親戚のおっちゃんとは会えなくなってしまうのね。
    再会を首を長くして待ってます。

  • 数年前に逮捕した被疑者の葬儀に出席するシーンから始まる。そんな事件あったかしらと記憶を呼び起こし愕然とする。このシリーズにハマるきっかけとなった傑作なのに、犯人の名前すら忘れかけているとは。他にも過去事件の断片がちらちらと顔を出し、いよいよフィナーレが近いことをイヤでも認識させられる。

    今回の事件はコンピュータ犯罪。前作で犯罪の多様化にスポットを当ててみせたが、ますます複雑で、しかも高等なスキルを要する犯罪の本質に作者は警鐘を鳴らしている。だが読み終えてみると、メインは事件ではなくヴァランダーなのだという印象が強い。

    組織内で孤立し、友は去り、新しいタイプの犯罪に焦燥する彼の姿は、いつにも増して疲れているように見える。過去にとらわれるあまり、現在で足踏みしてしまっている諸々の状況が、悲しくもあり可笑しくもあり。フィナーレを迎えるのは必然なのかな。でもこれだけのキャラクターなのに、異常な肩入れをせずに、シリーズ内でちゃんと成熟させている作者のスタンスには毎回感心させられる。

    事件の解決と主人公の苦悩──作中でふたつのストーリーが同時進行しているように見えたが、結局はひとつの物語として終結するから不思議。キレイにまとまってないところが逆に現実っぽくて私は好きです。壁を撃ち破ったヴァランダーの決意が気になるところだが、あとがきを読むに、第九弾は数年先かな。

  • よい展開だったのに、ヴァランダーの常識外れの行動で醒めてしまった。捜査の重要人物を、知り合ったばかりの人に託すか? さらに年をとっていくとどうなっていくんだろう。

  • ヴァランダーシリーズ 8作め。
    この作品が、ヴァランダーシリーズ最後のつもりであったとの事。わかるなぁ!だって世の中が、ITの世界に凌駕され、右往左往する姿!そして世代交代は、紛れもない訳で、彼が、どんなに奮闘しても、一人では、抱えきれない事件が発生するのだから。
    勿論、ヴァランダーの、犯罪捜査の力量は、これからも絶対に必要だし、生きざまには、魅力ある訳で、素晴らしい作品は、もっと沢山世に出てほしい。

  • 高福祉国歌のスウェーデンが決して平等ではないと思い知らされた話。事件は解決しても、全ての謎や動機が明らかになった訳ではないというのが現実的。マーティンソンが怖い。獅子身中の虫。お父さんが亡くなって、ヴァランダーは変わったみたい。

  • コンピューター犯罪なのだが、どちらかというと足で稼ぐ記事の物語。タイトルで選ぶと失敗をする。

  • 「ファイヤーウォールがあるのはコンピューターの世界だけではなさそうだ。自分の中にもある。自分でもどうやって突き抜けたらいいかわからない防火壁が。」

    物語も後半、ほとんど過ぎていくのに解決策の見えないまま時間だけが過ぎてゆくばかり。大変恐ろしいIT世界。これはフィクションの中だけではないように思われました。世界は今、これからどうなってゆくのか。

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