お菓子の家 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488216030

感想・レビュー・書評

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  • 最初から最後まで飽きさせない展開。
    冒頭から犯行を描き、犯人を読者に明らかにした上で、ショーベリ警部率いる警察がどのように事件の解決にたどり着くかをスリリングに描く、「古畑任三郎」的手法のミステリー小説。


    ・・・と思いきや。


    ラストのどんでん返しに驚愕。
    え?いつから?最初から?
    どうやらはじめから作者の仕掛けた罠にまんまと引っかかっていたようです。
    読み返すと、その計算された語り口、伏線にあっけにとられてしまいます。

    ただし、翻訳の妙というか、男女の語り口が異なる日本語に訳すと、少し違和感が残ってしまうのも確か。
    きっと原著で読めた方が「やられた!」感はもっとあったのではないか。。。

    ともあれ、ミステリーの仕掛けはもちろん、描かれるそれぞれの人物像の魅力や、北欧の町並み、社会背景、などの綿密な描写に引き込まれた。

    理想の福祉国家スウェーデンの光と影・・・
    理性的な考え方の中にも暖かさを失わない、北欧を満喫できる一冊。

  • 入院から自宅に帰宅したイングリッド・オルソンが発見した男の遺体。ショーベリ警視の捜査。イングリッドと被害者ハンスとの関係が繋がらない。幼稚園の頃に虐められ人生を狂わされた犯人。次々と殺害される被害者達。繋がりがつかめない警察。ショーベリ警視の部下ペトラ刑事のレイプ事件捜査。DNA鑑定により明らかになる事件の真相。幼稚園の教師だったイングリッドの過去に気がついたショーベリ警視。

  • 12月26日読了。図書館。

  • 「カーリン・イェルハルドセン」の長篇ミステリー作品『お菓子の家(原題:Pepparkakshuset)』を読みました。

    ミステリ作品は「カミラ・レックバリ」、「ラーシュ・ケプレル」に続きスウェーデン作家の作品… 北欧ミステリの魅力にどっぷり浸かっていますね。

    -----story-------------
    数週間の入院生活を終え自宅に戻った老婦人が見つけたのは、見知らぬ男の死体だった。
    そのころ誰も知らぬある場所で、殺人者は高揚した気分で自らの行為を思い返していた。
    悔やんではいない。
    もっと苦しめてやれなかったのが残念だった。
    そう、これで終わりではない。
    「ショーベリ警視」率いる警察の調べはいっこうに進まず、そのあいだにも次の被害者が……。
    スウェーデン警察小説の鮮烈なデビュー作。
    「ショーベリ警視」シリーズ第一弾。
    -----------------------

    2008年に発表された「ショーベリ警視」シリーズの第1作目で、「カーリン・イェルハルドセン」のデビュー2作目の作品です。


    『お菓子の家』というタイトルは童話っぽい印象を受けますが、、、

    内容は寒々とした孤独な人生を過ごす人物の哀しくて陰惨な物語に仕上がっています… 読者が巧く騙される展開となっており、面白く読めました。


    事件の伏線となっている1968年カトリーネホルムの幼稚園における先生と6歳の少年少女たちの生活と、(2006年)大都会ストックホルムで普通の生活を夢見る44歳の男性「トーマス・カールソン」(幼稚園で虐めの対象となっていた二人のうちの一人)の物語、そして、要所要所で挿入される、誰が書いているかわからない≪殺人者の日記≫を軸に、「ショーベリ警視」等のハンマルビー署の面々の捜査・推理が中心に物語は展開します。

    事件の被害者となり殺害された4人の関係性や動機(幼稚園時代の虐め)については、予め読者に明かされているのですが、、、

    当初、無関係と思われた最初の事件で自宅が殺害現場となった老婦人「イングリッド・オルソン」と他の被害者との関係が徐々に明らかになる展開や、思わぬ人物が加害者だったというクライマックスの展開が愉しめる作品でした。


    子どもの頃(幼稚園)に無邪気に行われていた虐めが事件の発端になっていることや、無関心であること、(悪事を知っておきながら)傍観者でいることの罪が問われていること等、日本に置き換えても、違和感なく想像できる内容だったので、作品に入り込みやすかったです… 登場人物の名前や土地名は、なかなか馴染めないところが悩みですけどね。


    それから、本事件捜査中に発生する同僚の警官「ペトラ・ウェストマン」のレイプ事件、、、

    こちらは、もしかしたら殺人事件と何か関係してくるのかなぁ… と想像していたいのですが、こちらは「ペトラ」本人の機転と活躍(法的にはマズいんですけどね… )により犯人が逮捕されて、無事に解決しました。

    アルコールに酔った勢いで関係を持ってしまった… と被害者が誤解する手口は許せないですねぇ。


    「エリカ&パトリック事件簿」と同様に、本作品も主人公の家庭のことが詳しく描かれていて、スウェーデンでの夫婦関係や家庭生活が目に浮かぶように想像できました… なんか日本と似ている印象ですが、警官であっても仕事よりも家庭のことを重視している感じがします。

    この私生活が、どう変化して行くのかも、シリーズ物の愉しみのひとつですね、、、

    本作品では、子どもが任天堂DSに夢中になるシーンがありました… 「エリカ&パトリック事件簿」ではポケモンに夢中な子どもが登場したし、遊びの面では、日本の文化も浸透しているようです。


    スウェーデン作家の作品は、長ーーーーい作品が多いのですが、本作品は400ページ弱でボリューム的にも読みやすかったですね。

    「ショーベリ警視」シリーズは、当初三部作の予定だったようですが、現在は6作目まで出版されているようです… 翻訳されているなら読んでみたいな。



    以下、主な登場人物です。


    「コニー・ショーベリ」
     ハンマルビー署刑事課の警視

    「イェンス・サンデーン」
     ハンマルビー署刑事課の警部

    「エイナール・エリクソン」
     ハンマルビー署刑事課の警部

    「ジャマール・ハマド」
     ハンマルビー署刑事課の刑事

    「ペトラ・ウェストマン」
     ハンマルビー署刑事課の警視

    「ガブリエラ(ベラ)・ハンソン」
     ハンマルビー署刑事課の鑑識課員

    「ハダール・ロセーン」
     検事

    「オーサ」
     ショーベリの妻

    「ラッセ」
     オーサの兄

    「ミア」
     ラッセの妻

    「ホーカン・カールベリ」
     国立犯罪研究所の警察検査技師

    「イングリッド・オルソン」
     老婦人

    「マギット・オロフソン」
     看護師

    「トーマス・カールソン」
     電子機器会社の郵便集配係

    「ハンス・ヴァンナベリ」
     不動産業者

    「ピア」
     ハンスの妻

    「グン」
     ハンスの母

    「ヨルマ・モリン」
     ハンスの共同経営者

    「アン=クリスティン・ヴィーデル」
     娼婦

    「リーセ=ロット・ニルソン」
     清掃婦

    「カリーナ・アホネン・グスタフソン」
     主婦

    「カタリーナ・ハレニウス」
     無職の女性

    「ペーダー・フリューク」
     医師

  • 青臭い模倣。
    プロットも人物描写も、先輩たちの作品にならってがんばりました。
    でもいまひとつでしたー、てね。

    これ以上は書けないなぁ。
    訳もなんだか。

  •  スウェーデンのミステリ作家、イェルハルドセンのショーベリ警視シリーズ第一弾。
     犯人も動機も当初より示されていると見せかけて、終盤に至って真犯人が明らかにされる。
     いわゆる叙述トリックの類だが、今回、翻訳物であることがネックとなっているかもしれない。
     木村女史の訳は歯切れが良いのが特徴だが、それでも、日本語に変換する上での苦心が窺える。
     勘の良い読者なら、中途から“もしや?”と一抹の疑念を抱きかねないだろう。
     尤も、それが、主語と語尾に性別を持つ日本語故のやむを得ない弱点なのか、あるいは、段階を追いながら注意深く真相を匂わせる技術によるものかは判別に迷う。
     それでも、ラストまで充分読ませる力のある佳作と言えよう。
     北欧ミステリ界の新たな潮流として、続刊が楽しみなシリーズである。

  • 警視シリーズと同じだORZ・・・2冊買ったのに。仕事も出来て、私生活も順調で、家庭的な主人公。私は仕事はできるけど、その分私生活がうまくいってなかったり、どこか欠点があったり、性格に問題があったりする主人公の方が共感する。あー、それってひねくれてんのかなあ。

  • 4/2読む前に返却期限が来た。
    また借りる。
    4/20 また借りて読んだ。
    北欧ミステリーの暗さは嫌いでない。

  • 『特捜部』以外で珍しくシリーズ読みができそうな北欧ミステリ。
    事件そのものや動機の背景は北欧ミステリに多く見られる暴力性の高さがあるけれど、比較的読みやすい要因は、今の所、主人公を始めとする捜査陣の家族関係が崩壊していないから。追いかける事件が重いのに登場人物たちの人生までシリアスだと読むのが疲れる…。
    『無関心は罪なのか?』少なくとも教師があれ程徹底した無関心であることは、イジメを受ける子供にしてみたら地獄だと思う。5、6歳であんなイジメを受けたら、余程愛情深い環境に身を置かない限り傷が深すぎて立ち直りが難しいだろうし、逆に加害者は簡単に忘れてしまう年齢ではないだろうか。
    イジメももちろんだけれど、この徹底した『人生の孤独』があまりにも痛々しくやるせない。

  • 必ず2回は読まれたし

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