幼き子らよ、我がもとへ〈下〉 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ト 6-4)

  • 東京創元社
3.67
  • (5)
  • (19)
  • (19)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 137
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488218102

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 上巻、下巻と一気読み。どんだけハマってるかという感じですね。4日間でフィデルマのシリーズを5冊も読んでしまいました。

    下巻も酷い事件が続きます。その悪辣ぶりは読んでいても怒りがわくレベル。
    さらに謎は深まるばかりで、コレはどうやって収拾つくんだろうと気になって、いつもなら寝てる時間だけど読み切ってしまいました。

    ブレホン法にのっとりつつ、一見関係なさそうな事件と本筋を同時に解いて行くクライマックスは圧巻。

    海辺の大修道院がメイン舞台なので、海や舟の知識が語られるのも興味深い。出てくる伝説についても、だいたいは知っているけれど、古代ケルトの時代で認識されていたリアリティみたいなものが、すごく新鮮でした。

    このシリーズ本当に面白いので、どんどん邦訳で出して欲しいな。

  • 秘密に関わった者ばかりか、なにも知らない子供達までただ殺される非情に、憤りのあまり突っ走ってしまうフィデルマが……きっと心ある人間であればとっさの当たり前の感情だろうと思えるだけに、その結果が悲しくて。エイダルフ恋しがるのは、いろんな意味で欠くべからざる存在だからなんだと切実に。

    ところどころで、これはどこに嵌る欠片なのだろう…と、拾うばかりだった記述が、フィデルマによって整然と整えられるさまはいつも素晴らしい。

  • 法廷で真実を解き明かしていくフィデルマの語りに引き込まれ、まるで自分もそこで傍聴しているかのような気持ちで読み進めることができた。ただ、覇権争いの影であまりにもたくさんの犠牲が出たことが、いつもより深く胸に突き刺さり、任務を遂行した彼の運命にも、悲しみを感じずにはいられなかった。やはり飛び飛びではなく、全巻翻訳してほしい。それにしても、エイダルフがそばにいないことがどれだけフィデルマの精神に影響を及ぼすかが実によく伝わってきて、微笑ましいやらじれったいやら(笑)。

  • 図書館で。
    フィデルマさんと国家間の統治問題が関わった争い。個人的には殺害された老学者さん、人望ないんだな…と読んでいて思いました。そして、村ごと虐殺って…そこまでする?という感じですが、時代背景的にないとも言えないのかもしれない…というのが怖い。

    個人的にはフィデルマさん、頭は良いんだろうけど考え無だよなと思うところが結構ありちょっとビックリ。それほど彼女の立場は偉いんだろうか。えらいんだろうけど。とは言え、身分証明もない中で身なりと口頭での肩書のやり取りでそれ相応に敬えというのは難しくないのかな、しかも女性で…とちょっと思いました。孤児院虐殺の後の暴走はちょっと、ちょっとですよね…

    最後はなるほどこういう納め方になるのか、と思いました。長子がいたのか!もっとこう…と思わなくもないですがまぁそれもお話の筋立ての内ですしね。

  • 664年、隣国ラーハンから来た尊者ダカーンがモアン王国内のロス・アラハー修道院で何者かに殺された。その報せを受けるや否や隣国のドーリィがキャシェルを訪れ、〈名誉の代償〉として今はモアンに属しているオスリガ小王国の土地を要求するという。ダカーン殺害事件のモアン側弁護人となったフィデルマはロス・アラハーへ向かうことになったが、途中で疫病を理由に焼かれた村を発見し、生き残った修道女と子どもたちを連れていくことにする。だが、ダカーン殺害と村の焼き討ちはどちらもオスリガ小王国の統治権争いに関係しているようで……。〈修道女フィデルマシリーズ〉長篇邦訳第2作(原書では3作目)。


    導入は国同士の衝突だが、既読の長篇より前の初期作なためか、ミステリー要素が濃いめでフィデルマによる修道院内の聞き取り調査中心に進む。こうした会話中心の構成を退屈という声もあり、のちの作品はアクションなどの要素が取り入れられていったようだが、私は会話の繰り返しのなかでどれが重要な質問なのかを考えたりするのがわりと好きだ。
    今回は時系列的にフィデルマが大陸からアイルランドに戻ってきたばかりということでエイダルフは不在!代わりにカースという戦士がフィデルマのお供を務める。助手かつボディガードとしてはエイダルフより全然優秀なのだが、フィデルマはやっぱりエイダルフがいいらしい。でもエイダルフにだって推理の筋道は説明しないじゃん?(笑) 私はカースもけっこう好きだったので退場の仕方はショックだったし、救いがあってもよかったと思う。
    本作では村や孤児院が燃やされ、罪なき人びとがいつになく大勢殺されていく。このままでは戦争になるのも仕方がない、と宿命論を口にしたカースに、「これはあってはならないことだと言いつづけることによって。次いで、変化をもたらそうと働きかけつづけることによって」未来を変えていくことはできる、と反論するフィデルマの言葉には勇気づけられる。

  • 七世紀のアイルランドを舞台に、法廷弁護士でもあるフィデルマ修道女の活躍を描くシリーズの第二巻。彼女の故郷であるモアン王国に危機がやってきた。ロス・アラハーの修道院に滞在していたラーハン王国の高名な聖職者であるダカーンが死体で発見されたのだ。その死の責任の代償としてオスリガ小王国をラーハン王国に返還するよう要求された。それを拒めはラーハン王国と戦争となるだろう。その解決はフィデルマの肩にかかっている。

  • フィデルマの生真面目さや能力の高さ、時代的な背景や知識の面白さなどなど、読んでて飽きないシリーズ。
    今回も悲劇はあったものの、最後にフィデルマに退治してもらった感があって、やっぱり胸がすっとした。

    どれだけ時代が違っても、人間というものは。
    そういう当たり前のつぶやきが口をついて出てしまう。
    20作近くも刊行されているシリーズだけど、翻訳はまだまだ。
    次も待ち遠しい。

  • 今回はギリギリまで色々なことが判明しなくて、 ハラハラ。グレラの名前が意外なところで出てきた時には目を丸くしてしまった。そうつながるのか!
    カースだけが残念……。フィデルマを逃がした彼に感謝するしかない。

  • 修道女フィデルマ・シリーズ第3作です。
    今回は多くの死者が出たり、政治的な駆け引き、王位継承者をめぐる謎があったり、いろいろと盛りだくさんで、読み応えがありました。
    また、これまで完璧超人として描かれていたフィデルマが、涙を流す場面があったのが印象的でした。この場面のおかげで、今まで近寄りがたい雰囲気だったフィデルマが、ようやく身近に感じられました。

  • (上巻から続く)

    護衛の戦士が殺されてしまったのも残念だったし。

    最後に大王の<大集会>の様子が描写されていて、
    良かった。
    まさに、法廷ものと言っても良いと思う。

全18件中 1 - 10件を表示

ピーター・トレメインの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×