死者を起こせ (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ウ 12-1)
- 東京創元社 (2002年6月14日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488236021
作品紹介・あらすじ
愛称マルコ、マタイ、ルカの、それぞれ専門の異なる若く個性的な歴史学者と元刑事が、ともに暮らすパリのボロ館。その隣家に住む引退したオペラ歌手の婦人が怯えていた。ある朝突然、見知らぬ木が庭に植えられていたというのだ。ボロ館の四人がその木の下を掘るが何も出ない。そして婦人は失踪した。いったい何が起こったのか?気鋭の女流が贈る仏ミステリ批評家賞、ル・マン市ミステリ大賞受賞の傑作。
感想・レビュー・書評
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フレッド・ヴァルガスを読むのは2作目ですが、何だかヴァルガスのファンになってしまいました。 (笑)理屈っぽいがユーモアな会話と個性溢れる登場人物描写、そして意表をつくストーリー展開が良いです。
三聖人シリーズの第1弾。中世史研究のマルコ、先史時代研究のマタイ、第一次大戦研究のルカの3人の研究者が、マルコの伯父ヴァンドスレール元警視とともにボロ館に引っ越してきて事件に遭遇するという話で、隣の家の庭に突然ブナの木が出現したという出だしは本格推理小説としては王道を行く予感があってこれだけでもぞくぞくします。(笑)
主人公のそれぞれが魅力的人物ですが、シニカルな笑いを誘う会話がまた面白いんですね。本格推理と気合いを入れて読んでいたので、3分の1くらいからこういうプロットで犯人はこの人かなと思って読んでいたのですが、さらに一捻りあってすっかり外してしまった。(笑)終わってみれば構成も見事でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「クソに足を突っ込んだ」貧乏学者の三人が『ボロ館』をシェアして暮らし始める。そこにお隣さんから奇妙な依頼が。
「三千フランで庭のブナの木の根元を掘ってくれないか」
三聖人の名前を愛称にもつ主人公たちがいい。
黒ずくめの服装に銀の指輪、優雅で繊細な没落貴族。中世専門の歴史学者、マルク(マルコ)
モジャモジャの金髪、半裸にサンダル履きの心優しき大男。先史時代専門の歴史学者、マティアス(マタイ)
童顔にでっかいネクタイ、エキセントリックな変人。第一次大戦専門の歴史学者、リュシアン(ルカ)
そこにマルクの伯父さん、元刑事のヴァンドスレールが加わって、事件はどこへ向かうのか。
単なる『キャラもの』に終わらず、それぞれの特性が絡んでミステリとしての驚きを醸し出しているのが嬉しいです。
続編が楽しみなシリーズです。-
kwosaさん、こんにちわ。
ちょうど今、このシリーズの第2弾『論理は右手に』を読んでいるところです。(^o^)キャラ立ちする登場人物に不...kwosaさん、こんにちわ。
ちょうど今、このシリーズの第2弾『論理は右手に』を読んでいるところです。(^o^)キャラ立ちする登場人物に不可解な出来事、理屈っぽい会話と飽きさせずに進行する物語に、すっかりヴァルガスのファンになってしまいました。(笑)
フォローいただきありがとうございました。
kwosaさんの様々な魅力的なレビューをみて、今後の読書の参考させていただこうと思いました。どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m2013/02/28 -
mkt99さん
コメントありがとうございます。
このシリーズ、面白いですよね。
三聖人たちが、世間からみれば「変人」の部類に入るのでしょ...mkt99さん
コメントありがとうございます。
このシリーズ、面白いですよね。
三聖人たちが、世間からみれば「変人」の部類に入るのでしょうが、とてもかわいらしくチャーミング。
1作目を読んだだけで滞っているので、そろそろ2作目を手に取ってみましょうか。
『青チョークの男』に始まるそちらのシリーズも気になっています。
こちらこそ mkt99さんを参考にさせて頂いて、新たな分野を開拓していきたいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。2013/03/01
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引退したオペラ歌手の夫人の庭に、ある朝突然1本の木が植えられていた。
不安がる婦人はその後失踪し、隣に住む3人の歴史学者と元刑事がその謎に挑むことに…。
主人公となる4人がしっかりキャラ立ちしていて、掛け合いシーンなど非常に楽しい。
オチはそれほど凝ったものではなく、ミステリを読み慣れていたら想像がついてしまう。
しかしそこに行き着くまでの伏線の回収が見事で、最後の畳み込むような真相解明のシーンまで楽しめた。 -
フレッド・ヴァルガス(Fred Vargas)作、原題はDebout les morts (1995年)、藤田真利子訳。フランス・ミステリ批評家賞受賞。
ソプラノ歌手の女性の家の庭に突然一本のブナの若木が植えられていたことから物語は始まる。ソプラノ歌手は失踪、ホテルで起きた殺人事件との関連は……。
若い3人の学者と警察を引退した元刑事の推理が冴える。
終盤はどんでん返しの連続、文句なく面白い。 -
コージーぽい。
コージーというと女性が主人公でお茶でも飲んで、というイメージがあるが、本作の登場人物はほぼ男性。
でもやっぱりコージーぽい。
フランスだからね。
ここを経てアダムスベルグシリーズへと発展するのね。 -
お気に入りの聖人はリュシアン。
謎解きのロジックは意外と本格的でよかった。 -
読み始めて感じたのが・・・、あ~失敗したかも(笑)、でした。まったく知らない翻訳モノを読む時、時々あるんですね~。
私は特にフランスミステリでこういうことにぶつかることがあります。
イギリスやアメリカのミステリには慣れているからかもしれません。
お国違えばジョークや言い回しも違いますから。
ボロ館をシェアして住んでいるかなり風変わりな若い歴史学者3人の個性がこれまた強烈です。
学者ってこうなんだろうなぁ~なんてクスっと笑える場面がたくさん登場します。
そういう意味ではユーモアミステリなの?と最初、思ってしまいます。おまけにお隣の家に見知らぬ木がいきなり植えられているなんてことから始まるし。
もしかして中途放棄するかも、と思いましたが、読み進めていくうちに目が離せなくなりました。
だんだんシリアスになりテンポもよくなっていくからなんです。
それにそう厚くない本ですし(苦笑)。
犯行を暴く科白がちょっと大げさなような気もしますけどね。
これからもいろいろな国のミステリに挑戦していこうと思っています。
中々、翻訳されないんですけどね~。 -
シリーズ物(らしい)1作目。フレンチミステリーはほぼ初めてでした。
主役はたぶん歴史学者のマルクで、一応探偵役かな。
同居する伯父さんが元刑事で、
途中まで牽引役を担っているように見えるので確信がもてません。
マルコ、マタイ、ルカは、
窓辺に佇む3人を見て伯父さんが勝手につけたあだ名です。
本名はマルク、マティアス、リュシアン。
明るい窓を背景に黒い3つのシルエットの映像が目に浮かぶようでした。
この3人、同世代で同じ歴史学者ながら、
専門の時代が違うという相容れない溝がありましたが、
貧乏ゆえにボロ館をシェアすることになります。
ついでに書くと、それぞれに割り当てられた部屋は専門の時代順で、
2階がマティアス(先史時代)、3階がマルク(中世)、
4階がリュシアン(第一次大戦)で現代を生きる伯父さんが屋根裏。
それでなんとか折り合いをつけたようです。ちょっと笑えました。
元刑事の伯父さんも暗い過去があって一癖あり、
ボロ館の愉快な仲間達が、
それぞれの特性を活かして(?)事件を解決に導く、という話です。
事件の発端も印象的でした。
一夜の内に庭に現れたブナの木。誰が何故?
マルコ達同様、先ず最初に疑うのは、
「この木の下に何が埋まっているのか?」
そこから、過去の事件や新たな登場人物が挿入されていきます。
最後には・・・。
それからようやくタイトルに納得。
無口の裸族だったり反対におしゃべりだったり、
3聖人はそれぞれエキセントリックで魅力的でしたが、
私的には1つ難点が。
主役のマルクがめちゃめちゃ怒りっぽい。
すぐカッとなって会話を乱すので、感情移入して読むと疲れました。 -
最初は現代より少し時代が遡った設定なのかと勝手に受け取っていた。主人公らの出で立ちやら建物の描写やらですっかり時代がかった印象を受けていた。肝になるのは三人の登場人物のキャラクターをいかに魅力的に書き分け、且つ書き込んでいくかというところだろう。第一作目ということもあり、今のところ大々的に成功しているとは言い難いが、それでも中々面白く描けているのではないか。二作目からは更にこなれているものと期待させるに充分だ。
推理そのものは、及第点。大詰めになってからは、筋だてが中々に大胆に転がっていき読ませる。だが、如何せん全ての条件が読者に明らかにされているわけではないので(しかしアンフェアというほどではなく一応は提示されているか)本格ファンの方には物足りないだろう。数箇所、映像化してしまうとネタばれしてしまうかな?という所もあったかな。ミスリードしているわけではないのでセーフ。 -
内容(「BOOK」データベースより)
愛称マルコ、マタイ、ルカの、それぞれ専門の異なる若く個性的な歴史学者と元刑事が、ともに暮らすパリのボロ館。その隣家に住む引退したオペラ歌手の婦人が怯えていた。ある朝突然、見知らぬ木が庭に植えられていたというのだ。ボロ館の四人がその木の下を掘るが何も出ない。そして婦人は失踪した。いったい何が起こったのか?気鋭の女流が贈る仏ミステリ批評家賞、ル・マン市ミステリ大賞受賞の傑作。
くどい。例えも表現もくどい。そこに何行も使うからなかなか話が進まない。とにかくつまらない。