ウォリス家の殺人 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M テ 7-2)
- 東京創元社 (2008年8月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488240042
感想・レビュー・書評
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これぞミステリーな感じ。
犯人、全然わからなかった。
ほとんど全員あやしく思えたのに。
でもちゃんとヒントはちりばめてあったんですね!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
D・M・ディヴァインの『ウォリス家の殺人』を読了。
本作を読む前「ディヴァインの作品は初めてだ」とツイートしたら、フォロワーさんから「ディヴァインは安定した面白さがある」という風なリプライが。読んでみて、なるほど、お手本的な作品だったと思う。
至って本格ミステリ。驚愕するようなトリックなどは使われていないのだが、ミスリードが上手い。ごく自然な会話の中に、罠が仕掛けられている。
さらに、犯人がかなり意外だった。推理小説などで最初に疑われる人物はだいたいは犯人ではない、というのがほぼ通例だと思うが、本作も例に漏れずだった。そうとは言え、犯人は登場人物中でもかなり意外だった。もしやと考えなかったわけではないが、それにしては動機が全く思い当たらなかったからである。最後まで読んでよく分かった。
読みやすさもある。これに関しては翻訳者次第だが、本作を手がけた中村有希という方はいい訳をされていると思った。本編とは関係のないことではあるが、この点も評価したい。 -
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謎解き、あらすじよりも、世界観「カーボンコピーを持っていかれました」とか、主人公含め、超人的な人物が登場しなくて、みんな何かどっか脛に傷を持っていて共感させられるし、シリーズとして惹きつけられる作者なんだよなあ。普段何気ない顔をして生きているが、遺産という魔物の出没により、理性きれいごとカバーが剥がされ、出てくるー、欲望ー。うーん、でも生きてくならお金かかるし、しょうがないよね人間だもの。
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それぞれ思惑を持った怪しい人物たちが、好き勝手に行動するため事件の構図が捉えづらくなっているあたり、ディヴァインの巧さが伺えます。
話の展開が遅く、焦れったい感はあるものの、それが事件をよりいっそう捉え処のないものにしています。
ディヴァインは探偵を使わないため、主人公にその任を負わせることが多いのですが、本書は被害者の伝記を書くということでその辺りの違和感が解消されているのも流石。
真相は作者お得意の意外な犯人というよりは、犯人が犯人足り得た理由が光るもので、まさに府に落ちるといった感じです。 -
ぼちぼち読んでいるディヴァインの中で、個人的に一番好きな作品。犯人と対決するシーンは躍動感があってスリリング。
反面、『訳者あとがき』にもある通り、バリエーションの少なさは感じる。 -
続けてディヴァイン。解説にもありましたがこの作家、相性が合う人なら外れなく面白いけれど、割と設定などのバリエーションが狭く、似たようなというか得意のパターンがあるので、訳出するにあたっては読者が飽きないよう、順番などを工夫したそうです。確かに少ない登場人物で確執のある親子関係に意外な犯人と、概略だけにしてしまうとまたこれか、という話ながら、人物の書き分け描写が丁寧で謎解きが無くても楽しめるほど。犯人は意外な人物なので、読みながら「この人だったら残念、でもまさかね」という人が犯人だったりするので、推理ではなくて心情的に予想がついてしまうという難点はあれど、それでも十分面白いです。今回は親子間、夫婦間、兄弟間の確執が入り乱れるなか、探偵役の大学教授が一人称で起こったことを回想するという書き方なのでサスペンスの雰囲気を漂わせつつお話が展開して読みやすかったです。
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犯人が誰かの謎は面白かったけれど、もっと深く心理状態とか掘り下げて欲しかった。