災厄の紳士 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M テ 7-3)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488240059

作品紹介・あらすじ

根っからの怠け者で、現在ではジゴロ稼業で糊口を凌いでいるネヴィル・リチャードソンは、一攫千金の儲け話に乗り、婚約者に捨てられた美人令嬢のアルマに近づく。気の強いアルマにネヴィルは手を焼くが、計画を仕切る"共犯者"の指示により、着実にアルマを籠絡していく。しかしその先には思わぬ災厄が待ち受けていた…。名手が策を巡らす、精巧かつ大胆な本格ミステリの快作。

感想・レビュー・書評

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  • パリではネヴィルの本性を最初から見抜いていたようなアルマが帰国してからネヴィルにべったりなのがおかしいなと思っていたのがそう言うことか。基本的にサラを筆頭に女は賢い。男どもが愚かでクズばかり。
    ボグ警部の夫婦問題、必要だったかな?

  • これはとても良かった。ゆっくり丁寧に書かれていて、道中記述がわからなくなることがなく、少しずつ話が動いていく。こういう人間ドラマはいいねえ。泥臭くて。映像としても見てみたい。力強くシンプルで、横溝正史的な力量を感じた。やっぱり昔の作品の方が自分には合ってる。最近の若い作者はフィーリングとあえうのか、波長が合わない。この作家もっと読みたい。

  • 満足いく読後感。

  • 面白かった 犯人か分かりそうでわからなくて、一気読み

    サラが活躍するのと対照的に無能なボグ警部 仕事も中途半端で家庭内もグダグダ 
    元妻がアル中になろうが、もう離婚したならそんなこじれ女、スパッと切れ!と言いたい 
    離婚してから「しょった責任がある」とか言いだし、元妻の家に「ただいまー」って、マジか!? もう、意味不明 
    ぼんくらのボグ警部が、やっとこさ離婚して(少~し)男を上げたかのように思えたのに… あんた何をしたいんだと聞きたい 
    本筋とは離れるがボグ夫妻にイラついた

  • 1970年頃発行のイギリスミステリー作品。主人公の男性は結婚しているのだが、ジゴロで生計を立てており、妻に愛想つかされている。主人公は共犯者から誘われるままジゴロを請け負い、有名作家の娘をターゲットにする。大金が転がり込むことを期待して娘をだまし、成功したと思った矢先に、主人公に災難がふりかかる。。。という話。最初は主人公の視点で語る形で進むが、途中から娘の姉が語る形に変わる。終盤は一気に展開がよくなり謎もとけるが、想像していなかった結末で、意外性十分。だましていたと思っていたら逆にだまされていた、、みたいな感じ。ディヴァインの作品の中では「期待はずれ」の評価もぽろぽろあったりするが、私は十分に楽しんで読めた。

  • 仕組まれた出逢いから、一見するとロマンチックな展開が続き、コンゲーム的な流れを経て、本格ミステリそのものへとストーリーを運ぶ手腕は並外れたものを感じました。
    どの部分をとっても面白いんですよね。
    まるで、英国映画を観ているかの様に情景が浮かんできます。
    そして、なにより凄いのが、ここまで「物語」に力を注いでいながら、真っ向から小細工なしの犯人当てとして成立していること。
    それもかなり意外な犯人で。
    読者の盲点を突く真相を、とある違和から単純だけれどもインパクトのあるロジックであっさりと証明してくれます。
    ミステリにも「物語性」を求めてしまうダメ読者の僕でもこれには唸らされました。
    オススメです。

  • 大好物の作家。

  • 今まで読んだディヴァイン作の中で1番退屈。あまり推理する気も起きなかった。真犯人の意外性がないわけでは無いけれど、ちょっと強引さを感じる。

    傲慢でプライドの高さばかりが鼻につく登場人物たち…。あれに耐えられるサラは驚異的。

  • 前半は恋愛絡みのサスペンス、後半は謎解きミステリ……と、がらりとテイストが変わるのだが、これがまるで違和感なく繋がっている。
    後半に入り、視点人物が交代してからの展開は二転三転して誰が犯人かはなかなか解らない。最後まで犯人が解らなかったミステリは久々かも……。

  • 読み始めた時、この作家さんは女性なのかと思っていた。読み進めていくうちに、これは女性だろう、と私はてっきり思い込んでしまった。
    私はこの作品のミステリー的な仕掛けにはすっかり騙されたクチで、そういう意味でもとても質の高い作品だと思う。けれど、それよりも私は登場人物たちの造形にとてもリアルなものを感じたのだ。

    その登場人物の造形でやはり際立っているのは、サラだと思う。
    彼女の細かいところまで気が付くからこその憂鬱、いらだち、諦め、そういったものがとてもリアルだった。繊細で危なっかしい妹・アルマに対する保護者的な視線だったり、虚栄にまみれたプライドの高い父親に対する諦念だったり、冷酷な夫に対して彼はサディストだと思うところだったり……
    彼女の他人への対応の仕方が、なんだか男性作家が書いたものとは思えなかったのだ。

    一方で私は、そんな彼女を含む周りのどろどろした関係に、読んでいてちょっとうんざりしてしまったのも事実だ。それらがリアルであるだけに、もっとマシな人はいないのかしらん? これではあんまりにサラが可哀そうだわ……と思ってしまったのだ。

    そんなわけで、自分の好みからあまり楽しく読めたとは言えず、☆は2つ。

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