兄の殺人者 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M テ 7-4)

  • 東京創元社
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感想 : 28
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488240066

感想・レビュー・書評

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  • イギリス本格ミステリーの醍醐味を味わえるディヴァイン処女作。兄を殺害した犯人を追う素人探偵ものの面白みが存分に詰まっている。展開の切れがとてもよく、素人探偵である主人公の視点で次々と謎を追いかけていけるので、飽きさせることがなく最後まで突っ走ることができた。
    実は様々な思わせぶりな記述から自分が当初からにらんでいた犯人がいたのだが(笑)、すっかり外してしまった。途中で提示された証拠から怪しいと思っていた人は共犯かなと思っていたのだが、実はこの人こそ主犯であった。(笑)そんなこんなで、なかなかに楽しめた一冊であった。

  • “クリスティー称賛”とあったので、手に取った本書。

    弁護士事務所の共同経営者で兄のオリバーから、霧の夜にオフィスに呼び出されたサイモンは、そこで兄の射殺死体を発見します。兄の死の真相を探るうちに生前のオリバーの“強請疑惑”が浮上してきて・・・。
    著者のデビュー作という事もあってか、話の展開がこなれていない感じはありますが、伏線の張り方やトリックなど、正統派ミステリを堪能できる要素はそろっているかと思います。
    ただ、犯人は謎解き苦手で単純な私でも途中で分かりました(苦笑)。
    なので、後半でサイモンのあからさまなミスリードに、「ちょっと!ちょっと!ちょっと!(byザ・たっち)」という気持ちで読みました。
    文体や話の運び方が好みではないので、この著者の他の作品を読むかは微妙なところですが、気が向いたらまた・・っていうところですかねー。

  • ディヴァイン二作目。どうやらこれが氏のデビュー作らしい。
    これは、……いい。いや、これもだ。面白かった!
    クリスティが最後までどきどきして楽しめたというが納得。とはいえ、途中で犯人はわかったけど、え、そっちそっちとミスリードが上手くていやこの人でしょとは思いながらももう一人死者が出る少し前までかなり揺れ動いてしまったし、ラストまでちゃんと面白かった。
    なので今度はシリーズ物をと思ったが、それはないらしい。でも解説を読んで諦めがついた。シリーズ探偵物も好きだがディヴァイン作品はこれでいい。またそのうち再読しよう。

    ちなみに、登場人物のファーガスンの名前の表現で“Sが二つ”と強調するところがあったのだがそれがどこかで同様の表現を用いていたような気がして気になっている。どこで読んだんだったっけ?

    • ニコルさん
      ディバイン良いですよね~。
      ストーリーがおもしろいので、謎解きとしてのレベルは高くなくてもミスリードに惑わされます!
      ディバイン良いですよね~。
      ストーリーがおもしろいので、謎解きとしてのレベルは高くなくてもミスリードに惑わされます!
      2012/09/19
    • りいこさん
      ミスリード、されちゃいますよね。それにちゃんと物語として読めるところがやっぱり好きです! ほんとに良いです、ディヴァイン。はまりました!
      ミスリード、されちゃいますよね。それにちゃんと物語として読めるところがやっぱり好きです! ほんとに良いです、ディヴァイン。はまりました!
      2012/09/19
  • クリスティーがほめたという、ディヴァインのデビュー作。父の跡を継ぎ、兄とともに事務所を切り盛りする弁護士のサイモンは、夜遅く兄から呼び出され濃霧の中を出かけていくと、撃たれて死んでいる兄を発見する。サイモンを探偵役にお話は進むのですが、サイドストーリーのサイモンと女性たちの関係も面白かったです。デビュー作なので荒削りに感じる部分も少しありましたが、やはり人物描写が丁寧で、突飛な行動に思えることも性格付けが伴っているのですんなり読めます。犯人だけが心理でなくアリバイなどの客観的な事柄で導かれるようになっているので、心理ドラマに集中して読んでいると、もれなく驚くことに。安定して面白いです。

  • 古典的な叙述で、最期に探偵が関係者を集めて謎解き。
    このごろはこうゆうスタイルのミステリーはちょっと終わりまで読むのがしんどくなってきて、途中で挫折。
    原作の文体はともかく、訳文がどうなのでしょう・・・?

  • とても読みやすかったです。

    兄の死の真相を追い求める弟ですが、調べるほどに周囲の人々の秘密や嘘が出てきて、切ない大人たちの人間関係が見ものでした。
    噂に惑わされ、明るみになっていく真相に戸惑い傷つきながらも、兄を信じる弟の健気な姿も印象的です。

    トリックは小粒ですが正統派なミステリー。
    しとしとと小雨が降る夜のような、悲しくもどこかやさしいとても雰囲気の良い小説でした。

    • りいこさん
      兄を信じる弟、まさにその気持ちの部分がツボでした。オリバーは殺人に発展するような脅迫は決してしていないとサイモンが信じる以上、ほかに結論があ...
      兄を信じる弟、まさにその気持ちの部分がツボでした。オリバーは殺人に発展するような脅迫は決してしていないとサイモンが信じる以上、ほかに結論があるはずがないと共感しながら読みました。本格ミステリの読み方としては邪道かもしれませんが。。
      面白いですね、ディヴァイン!
      2012/09/17
  • クラシカルで正統派のミステリ。連想されるのはやっぱりクリスティで、謎解きの論理性より意外な結末で読者を驚かすことに重点があるように感じた。

  • 珍しくクリスティーが褒めたというディヴァインのデビュー作品で1961年発表作。本格推理作家として、現在も高い評価を受けているらしいが、終始退屈な代物だった。英国の推理作家は大概が地味な作風で、ケレン味に欠けるきらいがある。本筋はアリバイ崩しだが、登場人物の俗物ぶりが疎ましく、中盤からはフーダニットとしての興味も薄れていた。トリックも今ではテレビドラマさえ使わないお粗末なもの。形骸化した「本格物」の薄い物語性しか印象にない。

  • 作者のデビュー作だけあって力作だ。ディヴァインはいつも探偵役を警察官や私立探偵にはせず、事件の関係者にする。今回も被害者の弟が犯人は誰なのか調査し推理する。彼が見るもの聞くことはすべて読者に提示されるので、彼と同じように考えられれば同じように犯人を当てられるはず。とてもフェアな構成。人物がそれぞれ細かな部分まで描写されてて、キャラがたっている点も魅力の一つだと思う。

  • アガサ・クリスティから「最後まで私が読んで楽しめた、極めて面白い犯罪小説」と絶賛された作品。
    殺人事件は一件のみでアリバイトリックも古典的。キャラの濃い探偵役も不在で派手さはありませんが、魅力的な人物描写、容疑が二転三転する展開、ミスディレクションが巧妙で読者を飽きさせません。評判に違わぬ良作だと思います。

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