まるで天使のような (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488247096

作品紹介・あらすじ

山中で交通手段を無くした青年クインは、〈塔〉と呼ばれる新興宗教の施設に助けを求めた。そこで彼は一人の修道女に頼まれ、オゴーマンという人物を捜すことになる。だが彼は五年前、謎の死を遂げていた。平凡で善良な男に何が起きたのか。なぜ外界と隔絶した修道女が彼を捜すのか。私立探偵小説と心理ミステリをかつてない手法で繋ぎ、著者の最高傑作と称される名品が新訳で復活。解説=我孫子武丸

感想・レビュー・書評

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  • 面白い‼︎前情報入れず読んで。『ミランダ殺し』同様軽薄な雰囲気の探偵が事件に巻き込まれる様子と登場人物達の会話が楽しい。60年代初めのカリフォルニアの小さな町の暑く気怠い空気感と宗教施設の様子が目に浮かぶ。映像化観たい。

    • たださん
      111108さん、こんにちは(^^)

      おっ、初っ端に『面白い!!』は中々出ないですよね。
      111108さんの面白いは見逃せないので、読んで...
      111108さん、こんにちは(^^)

      おっ、初っ端に『面白い!!』は中々出ないですよね。
      111108さんの面白いは見逃せないので、読んでみたくなりました。これで何冊目だろうとは思いますが(^^;)
      『ミランダ殺し』とシリーズは異なるのですか?
      2023/05/04
    • 111108さん
      たださん、コメントありがとうございます!

      本当に面白かったんですよ〜衝撃受けました。今どきありがちなのかもしれないけど、私的には掘り出し物...
      たださん、コメントありがとうございます!

      本当に面白かったんですよ〜衝撃受けました。今どきありがちなのかもしれないけど、私的には掘り出し物見つけたよって言ってまわりたい気分。あれこれ知らずに読んでほしいと思い、このレビューも最初書いたのから3,4回書き直してこんな書き出しになってしまいました。
      『ミランダ殺し』のシリーズではないです。でも何となく探偵の雰囲気が似てて、物語の空気感も似てます。訳も会話とか上手で読みやすいです。たださんも見つけたらぜひ♪
      2023/05/04
    • たださん
      111108さん、お返事をありがとうございます♪

      掘り出し物見つけた嬉しさ、分かるような気がしまして、確かに、言って回りたくなりますよね。...
      111108さん、お返事をありがとうございます♪

      掘り出し物見つけた嬉しさ、分かるような気がしまして、確かに、言って回りたくなりますよね。衝撃を受けたというのが、また興味深いです。
      詳細に教えて下さり、ありがとうございます(^^)
      2023/05/04
  • 賭博で無一文になり、知人の車に乗せてもらっていたが、途中で降ろされ近くの宗教施設に助けを求めたクイン。
    そこで修道女から人探しを頼まれ…。

    普通なら適当に探して、わからなければ終わりとなるはずが、妙に気になる。
    それは、謎の死を遂げていたからなのか、何故だか誰も追求せずにいたせいか…。

    気になる人が次々と…。
    読んでいる方もどうなるのか気になって仕方がない。
    宗教施設に取り込まれると複雑さが増すと感じるのは私だけなのかもしれないが…。

    …でラストが強烈なのである。
    大声で叫びたくなる。



    • 111108さん
      湖永さんはじめまして、こんばんは♪

      ネタバレ無しのレビューさすがですね。私もこのラストに大声で叫びたくなりました!
      湖永さんはじめまして、こんばんは♪

      ネタバレ無しのレビューさすがですね。私もこのラストに大声で叫びたくなりました!
      2023/05/27
    • 湖永さん
      111108さん こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      ラストは、衝撃すぎました。
      予想もできず驚きだけです。
      ネタバレせずに…と思...
      111108さん こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      ラストは、衝撃すぎました。
      予想もできず驚きだけです。
      ネタバレせずに…と思うと気持ちを文字にするのに難しいですね。
      2023/05/27
  • どんでん返しがすごい!と前評判があったので心して読んだ。犯人が分かってからは、確かに意外な犯人であったけれど、そこまで絶賛されるほどかなと思っていたのだが、ほんとの最後(ラスト3行)で見事などんでん返しを喰らった。全く予想しなかった展開かといえば嘘になるが、ラスト3行を読んだ直後は混乱して、どういうこと!?となった。しかし読み直してみると筋がきれいに通っていることに気づく。
    ハードボイルド調だが、一見ドライなクインの、祝福の修道女への思慕や、集団に対して理解しようとする姿勢が好ましく、主人公に感情が感じられ、読んでいて苦ではなかった。

  • えっ?と立ち止まって、後から衝撃が広がってくる。そのくらい重いパンチを食らった気分。人物像を追うミステリーが好きなので退屈はしなかったけど、あらすじは地味だし、終盤まで新たな殺人も起こらないし、主人公はぬるめのハッピーエンドに向かってるしで、ドキドキワクワクする派手さはない。だからあんな最後が待ってるとは思いもせず、その分衝撃が大きい。国内ミステリーのどんでん返しといえば、で必ず名前が挙がるあの作品に影響を与えたと知るとますます興奮。絶対に読んで損はない。

  • クィンの会話の皮肉を交えた切り返し方が面白かった。ミステリとしては当時は斬新だったのかも。ただ中盤、必要以上に説明が長かったように思った。

  • 昔書かれたとは思えない完成度。どんでん返しに次ぐどんでん返しで、細部もかなり詰められており、久しぶりに出会う精度の物語に唸った。
    正直、ラストの衝撃のあとはじわじわと遡って、あの時こうだったの?それってこういうこと?と読者自身に推理させて物語を補完させようとする作用があった。
    改めてそうして推論してみると、いろいろ力技に感じるところもあるけれど、現実の人間とはそういう辻褄の合わないものかも...と思わせる人物表現の力がある。

    猛暑のカリフォルニアを、街全体が綿毛に包まれたようという表現や
    P.81
    わざと音程を外して面白がるような女..という描写は冴えてるなあ。
    こういう情景描写や人物描写の表現や比喩がいちいち面白くて印象に残る。
    思いも意味よらない言葉で表現してくる人って魅力的だよねー。

    カリフォルニアという、開放的そうな場所を選んでいながら、それを逆説的にとても窮屈に描いているアイディアにも目を見張った。裏テーマは、「自分の病んだ手足を切り落としながら、なぜ気分が悪いのかと思っている社会の心性に胸が悪くなった」という部分がよく物語っている。
    新興宗教施設、凡庸で社会でのこれといった希望がない絶望...
    新興宗教の描き方も通り一遍でないのがうまい。こういう施設が登場すると出オチになることや興味本位の野次馬のような牡蠣口になることも多い中、基本的には抑制されていて慎重ではあるが、そこで居場所を見つけた人の心も否定していない。ここでも、ピンクのスリッパという比喩が視覚的にも象徴的にも効いている。
    言葉の表現同様、こういうシンボリズムも上手い作者。ウェーブの髪とか、小鳥とか..そして、人の人格への観察が鋭いがくどくど書かないのもいい。そこは細部にこだわりすぎず、物語全体の中での調和を優先しているというか。なんとなくオリーブ・キタリッジの叙述を思い出させる。両者とも語りや人物造形がすごく好きな作品。的確でシンプル、だがひと匙のユーモア。
    そういえば、そういう人物造形のよさ...特に女性人物...で作者は女性かなと思った。逆に主人公・クィンは、なんというか...女性の描いた男という感じ。エゴが少ない、というのか。実際に、この作品の登場人物の中で最もどういう人間かわからないのがクィンな訳だけど、ラストなんか特にいきなり彼自身が裏切られて、その裏切りも一瞬の幕切れで、ここまでの主人公がそこへ来て一気に後傾化してジャンッ‼︎と終わる。
    そして女をソフトに理解する。いいよね。これはアトキンソンの描いたJackson Brodie を思い出した。あちらは、物語の性質上ももっとヒロイックだけど..

    パトリックが生きているのはなんとなく察しがついたけど、まさかの形..
    パトリックとジョージの妹の関係とは?
    ジョージと妹の関係とは?
    パトリックはいつから記憶がないの?
    パトリックってどんな人だったの??

  • 著者最高傑作!!ってなアオリがあって、借りてみたんです。
    普通にサクサク読めるし、面白いけど、これが最高??って疑問に思いながら。
    乱暴にくくると、人探しミステリーなんですが、見つからなくてなんか、もうよくね??ってな雰囲気になって、探偵役が容疑者っぽい女とイイ感じになってしまい、ある意味ハッピーエンドか??と思いきや、ですよ。

    イヤ、最高傑作の名に恥じない作品でした。オーマイガッ!!ですよ。
    このジャンルの代表作というか嚆矢となるような作品だったらしく、知らずに読んで幸運でした。

  • 携帯電話が登場する前の近代アメリカを舞台に、無一文になった主人公がカルト教団施設に訪れるところから、殺人事件の調査をする話。
    中盤までは不誠実な主人公がいつ投げ出すのかな? と思ったいたんですが、中盤以降ヒューマンドラマの色が濃くなるとぐっと面白くなりました。
    登場人物が多いので読者の自分が事件を追いかけきれるか不安ではありましたが、何とか人物表を見返しながら完走。
    ミステリーなので事件が主ですが、土埃のする描写が没入感を高めてくれる一作でした。

  • まったくストーリーを知らず読みだす。そして見事その読み方が楽しかった。
    冒頭からの話の流れで、宗教集団内でのサイコ殺人事件かと思えば、田舎町の複雑な人間関係の中で起きた不正会計と事故死を巡るハードボイルト調になっていく。
    しかしラストで話が大きくうねり予想外の真相が現れる。これはフィニッシング・ストロークと言うらしいが、見事にやられた。こういう快感は久々。

    しかし、そこだけでなくそれまでの話の経過も十分面白い。良く練られているし、50年前に書かれた小説なのに全く古臭さが無い。会話もユーモラスでエッジが効いているし、テンポも良い。これは新訳というのもあるかもしれない。こんな面白い小説を今まで知らなかったとは。マーガレット・ミラーの名前は聞いていたけど、こんなに面白いのなら他の作品も読まないと。

  • 最後、予想通りにパズルのピースがはまってすっきり。
    そこに至るまでにきちんとした作りになっていて面白かった。さすがミラー。

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