まるで天使のような (創元推理文庫)

制作 : 黒原 敏行 
  • 東京創元社
3.83
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本棚登録 : 219
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488247096

感想・レビュー・書評

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  • 最後、予想通りにパズルのピースがはまってすっきり。
    そこに至るまでにきちんとした作りになっていて面白かった。さすがミラー。

  • 確かに面白かったのだが、訳の古めかしさがかなり読みづらくしていた。ブクログ内の評価が高かったので読み続けられたが、そうでなければ投げたすところだった。新訳で読んだらもっと高評価になるかな。ラストがすばらしい。

  • CL 2017.5.11-5.18

  • ミラーはあまり得意ではなかったがこれは面白かった。数年前に謎の失踪を遂げた男を探す探偵物としても充分面白い。何故宗教団体の隔絶された地で暮らす女性が、無関係の男を捜すのか。失踪した男と横領で捕まった女の事件は関係があるのか。いくつもの謎が徐々に明らかになる過程が、ゾッとさせられる。登場人物の誰もが多面的でリアルな存在だ。長所だけ短所だけなんて人間はいないし、誰かの全てを心底理解できることは決してない。そんなことをしみじみ感じさせる話だ。

  • 山中で交通手段を無くした主人公は、新興宗教に助けを求めるが、そこで一人の修道女にオゴーマンという人物を捜すよう依頼される。しかし、行きがかり上、調べてみると、彼は五年前に死亡しているという。
    その事実を修道女へ伝えるだけで依頼は完了するのだが、町の人に話を聞いていくと、その死が謎めいていた。
    平凡で善良な男の身に何が起こったのか。なぜ外界と隔絶した修道女が彼を捜すのか。
    主人公は関係者から話を集め、真相を探って行くのだが…。

    と、言うのが物語の粗筋です。

    この作家さんを今まで知らず、本屋で見かけて読んでみようと思ったのですが、そのきっかけとなったオビに書かれた言葉をここでは伏せておきます。

    この本の売りでもあるからオビに書かれているわけで、ここで伏せてもあまり意味はないかもしれません。でも、できればこれからこの本を読もうとしている人には、このオビを見ずに読んでほしいです。

    お話としては心理ミステリ、とでも言うのでしょうか。パズルめいたトリックというものはなく、あくまで関係者の話を集めてオゴーマンに起こったことを知るというものなんですが、気になる謎はチラホラと出てくるのものの切羽詰まった感じはなく、割とのんびりしています。また、何となく焦点を絞りにくく、起伏もあまりない話なので、普段小説を読まないという方にとっては少しダレたお話と映るかもしれません。

    ただ、終盤から解決にかけて一気にミステリが加速します。

    私はオビに書かれた言葉とこれに似た作品を過去に読んだことがあったので、衝撃を受けるほどではなかったのですが、それでも読了後暫く呆然としました。そして、読んでいる最中は曖昧に感じていた色々な証言が上手く収まった物語であることを知ったわけです。

    何も知らずに読み始め、読了後に感じる衝撃は、私が過去に読んだ似ている本で感じたものと同様なのだろうと想像してお薦めとしたいのだけど、それがなかったとしても、全てを知った上で読む二回目がこんなに面白い本も稀じゃないかな、なんて思います。

    ちょっとしたジレンマですね。

    オビに書いてあるPRを読まずに手に取ってほしいけど、そのPRがないと薦められない。おまけに解説にもあるとおり、お話自体も一見地味。

    難儀ですけど、小説を読むのが好きな方には是非真っ新でお薦めしたい。普段ミステリを読まない人の方が驚くかもね。

  • ミラー1962年発表作。

    辺境で自給自足の生活を送り、俗世間との接触を閉ざした新興宗教団体「天国の塔」。私立探偵クインは尼僧の一人から依頼を受け、オゴーマンという名の男の行方を調べるが、5年前の嵐の夜、川に転落したオゴーマンの車が発見され、たまたま拾ったヒッチハイカーに殺されたと伝えられていた。クインは関係者を当たるが、狂気染みた人物たちの織りなす愛憎が真相を闇深くへと潜り込ませていた。
    心理サスペンスを得意とするミラーの作風は本作では抑え気味で、シニカルな私立探偵クインの行動を中心にハードボイルド・タッチで謎解きが展開する。描写には、夫・ロス・マクドナルドの影響が少なからず垣間見ることが出来、微笑ましい。ただ、狂気の有り様を内面ばかりではなく、客観描写でゾッとさせる手法は熟練の極みで流石である。
    ラスト1ページで明らかとなる「衝撃の真相」は、中途に張り巡らされた伏線で弱めらてはいるが、悲劇的な情景としては充分効果的である。

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