ローズ・アンダーファイア (創元推理文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488252052

作品紹介・あらすじ

1944年9月。英国補助航空部隊の女性飛行士ローズは、戦闘機を輸送する途中でナチスに捕まり、ラーフェンスブリュック強制収容所に送られてしまう。飢えや寒さに苦しみながら過酷な労働に従事するローズが、収容所で出会った仲間と生き延び、地獄を脱出するための意外な方策とは――。数々の日記や手紙で構成された先の見えない展開と結末が胸を抉る。少女たちの友情と闘いを描く、『コードネーム・ヴェリティ』を超える傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 闘う少女たちの物語、、、早く「コードネーム・ヴェリティ」読み終えなきゃ。。。

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    ナチスに捕まり強制収容所に送られた飛行士のローズ。仲間と生き延び、脱出するための意外な方策とは。少女たちの闘いを描く、『コードネーム・ヴェリティ』を超える傑作!
    http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488252052

  • 第二次世界大戦末期、米国人女性のローズは英国で戦闘機を輸送すする業務についていた。同じ飛行士の恋人もいたが、ドイツ軍に捕まり強制収容所に送られる。過酷な状況を様々な国の女性たちと生き延び、収容所を脱出する。想像を絶する体験と、戦後の戦争裁判での証言の様子。生態実験の対象であった仲間たちと、その体験を記す。

    「コードネーム・ヴェリティ」の続編又はスピンオフ的な作品かと思いきや、全く別の作品だった。ローズの力強さと仲間たちとの絆に感動します。

  • 久々に小説を読んだ。
    最後まで圧倒的な筆力で、しっかりと読ませる小説だった。
    お勧めです。

  • エリザベス・ウェイン2作目。1作目の「コードネーム・ヴェリティ」とも関連を持ったWW2女性飛行士の物語。

    前作でも戦争の悲惨さを徹底的に描いた作者だったが、本作ではミステリー要素等を少なくして、収容所内で描写と友情とサバイバル、そしてその後のPSTDの苦しみにクローズアップした小説に仕上げている。

    戦場や無差別攻撃を受けた各国諸都市の悲惨さに唖然とする小説、映画、演劇等の諸作品はたくさんあって、それぞれにおいて「こんな愚かなことは二度と繰り返してはならない」という主張を聞き取れるのだが、アウシュビッツや政治犯収容所が舞台のそれは、また違った意味の戦争の愚かさを教えてくれる。

    主人公たちが受ける虐待、実験、処刑の数々は「人間とはここまで残酷なことができるようになるのか」という思いに至り、壮絶さに心身がマヒ状態になってしまう。虐待を受ける側には当然絶対なりたくないが、虐待する側にだって絶対なりたくない。健康な女性の脚に銃創を模した穴をあけてそこに汚泥を塗り込んで、化膿、壊死回復状況を確認する実験をするようなこと、誰がしたいものか!

    でも、そこに「正義のために」という気持ちがこもるとくるってしまうのが人間でもある。その兆候は部活での後輩虐待、教師の生徒虐待、職場でのハラスメント…いたるところに表れているのである。程度の差があるだけで根っこは一緒なのだ。

    「正義」という言葉を信じないこと。その言葉は特撮やアニメなどフィクション世界にのみあると理解すること。政治の力を理解しつつ、政治家なる人たちを根底から信じないこと…。ローズたちのような思いをする人をなくすために、俺にできることからやっていこうと思う。

    とにかく、戦争は絶対アカン!

  • 『ローズ・アンダーファイア』(エリザベス・ウェイン著)を読了。

    強制収容所で共に闘い、生きる女性たちの物語。過酷な生活を乗り越えての友情、そしてそれぞれの強さに胸を打たれました。単なる悲しい戦争小説ではなく、未来への希望を繋ぐ青春小説でした。

    『コードネーム・ヴェリティ』をもう一度読み返したくなりました。

  • 英国補助航空部隊に所属する飛行士のローズが主人公。舞台は第二次世界大戦中の欧州。ローズは飛行機を移送する仕事についていたが、ドイツ軍に捕まり、ラーフェンスブリュック強制収容所に送られる。収容所での生活は酸鼻を極めるもので、ローズには何度も絶体絶命の危機が訪れる。そんな中、医学的人体実験のために手術された囚人と仲間になり、ともに生き延びようとする。文字通り命を懸けた仲間との生活の中で、女性として人間としての尊厳を保ちつつ、いかに収容所から脱出するか画策する。仲間と収容所を脱出した後に、いったんは離れ離れになるものの、後で再会する。その再会シーンも涙物で、素直に喜ぶのだと思うが、ぎこちない感じである。PTSDといってしまえばそれまでだが、PTSDという言葉では生ぬるい状況が彼女たちを襲っていたのである。

    舞台となったラーフェンスブリュック強制収容所は現実に存在していたもので、人体実験も事実である。この事実をどう受け止めるか、本書を読みながら考えていきたい。

  • 第二次世界大戦中、イギリスの婦人輸送部隊で戦闘機を輸送する任務についていたアメリカ人女性ローズ。彼女はフランスからイギリスへ戦闘機を輸送中ドイツ占領地に不時着し捕虜となって強制収容所へ送られる。最終的にそこを脱走するまでの8ヶ月間、死の瀬戸際でどのように生き延びたのかが綴られている。女性たちが極限の状況でも、互いに助け合い少しでもユーモアを持ち続けようとする様子が胸に迫る。戦後も収容所の体験に苦しめられるローズや生存者たちが、生きる支えを見つけていく様に安堵した。ただ、何故アメリカ人のローズがイギリスまで来て戦争に加わったのかよく分からない。そこだけ少しもやっとした。

  • 強制収容所での過酷で残酷な日々。毎日厳しい労働と人が殺される。辛いなかどうにか生きよう、抜け出そうと闘う女性たち。そこには一人じゃなく、隣に誰かがいるということの意味が感じられる。一人では折れてしまいそうな心も誰かがいることでなんとか保っていられる。その強さが悲惨な出来事をくぐり抜けながらどんどん大きくなっていく。人の持つ希望、希望の持つ力。そういうものが描かれていてどんな状況でも生きていくという意志を捨てなかった女性たちの物語。

  • 圧倒的なのは、想像を絶する収容所内の様子

    フランス人、ポーランド人、ドイツ人、ロシア人たち
    実在したラーフェンスブリュック収容所にいた女性たちに起こったこと……。
    主人公ローズの使命は、実験台にされたポーランド女性74名の「ウサギ」たちの名前を数え歌にしてすべて暗記して、彼女たちの存在を世に知らしめる。そのために周りに助けられながら生き残ること。

    普通であれば、救出され、解放され終戦、事実が明るみになりエンディングとなるところ、その後に訪れるPTSD的な精神状態まで描くことで、より起こってしまったことの「残酷さ」が際立つ。

    事実を明らかに「しなければならない」と「したくない」のはざまで苦悩する。少女たちの戦いは、おそらく最後のページの後も続く。

    作者はリサーチで知ってしまったことについて「書かなければいけない」自身の思いが形になったのだろう。
    「あとがき」には前作同様、自分の創作箇所を示し「それ以外は全て事実」と言いきる。
    無心に手記を書き綴るローズの姿は、作者自身ではなかったか。

    最終ページのあとには、医学実験台とされた人たちの名前がうっすらと消えかかって……
    忘れてはいけない。現実に、今起こっている戦争があること……平和は理屈ではない。

  • 本屋のポップに惹かれたもので…

    描写がとても細かい
    目を背けたくなるような辛さがあった
    後半は追い込むように読んでしまった

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