半身 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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感想 : 122
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488254025

作品紹介・あらすじ

独房からは信じがたい静寂が漂ってきた。獄内の静けさを残らず集めたより深い静謐が。それを破ったのは溜息。わたしは思わず、中を覗いた。娘は眼を閉じ…祈っている!指の間には、鮮やかな紫-うなだれた菫の花。1874年秋、倫敦の監獄を慰問に訪れた上流婦人が、不思議な女囚と出逢う。娘は霊媒。幾多の謎をはらむ物語は魔術的な筆さばきで、読む者をいずこへ連れ去るのか?サマセット・モーム賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • ブクログを始める前に読んだのか?アップしていなかったのに気づいたので…

    サラ・ウォーターズのデビュー作。
    歴史ミステリ大好きなので、いい作家が出たと喜びました!

    内容的には長編にのばしてあるけど、短編みたいな作りなので。ちょっと読み終わるとガクッと来るのが難点で☆4つ。
    このミス1位になったのにはやや驚きましたが。
    色んな人が1位でなくとも必ず上位にはあげていたんでしょうね。


  • 18世記のロンドンにあったミルバンク監獄。そこに慰問に訪れた貴婦人マーガレットは劣悪な環境と過剰な労働の中で亡霊のように生きる女囚たちを目の当たりにする。そしてその中で異彩を放つシライナに出会う。マーガレットは霊媒師だったというシライナの魅力に惹かれ彼女にのめり込んでいき…。地獄に咲いた美しき愛の花。霊的世界との交信といった怪しさとなまめかしさ。縛られ苦しめられた世界から抜け、天国が待っていると信じた高揚感。そして全てを裏切られた絶望と悲しみ。ミステリーだけでは収まらない感情を揺さぶられるドラマが存分にあった。

  • 途中から薄々気づいていた通りのオチで、切なかった。
    あたしは現代に生まれてよかったナーと思う。

  • 真相の残酷さにもんどりうつ。
    過酷な状況でも、霊媒師の女の決して手折れない美しさが印象的。
    そしてその強さがどこからきたのかを知ると、「ヒィ!」と息を呑んでしまう……

    確かに長いけれど、途中から止められなくなった。
    ラストのあの人物のセリフ、恐ろしいけど、シビレル。

  • 静かな牢の描写が素敵でした。
    あの時代のイギリスの重っ苦しさがたまらない。

  • 19世紀イギリス。良家の子女であるヒロインは、奉仕活動として監獄を訪問する。そこで出会ったのは、妖しくも魅力的な霊媒の少女だった。
    父の研究を支え続けた結果、婚期を逃した良家の令嬢が出会う霊媒との語らい。彼女の魅力に取り付かれたヒロインは彼女を救い出そうとするが、思いもしない結末が待っていた。ビクトリア朝時代の憂鬱で退廃的な空気を味わえる作品。だけど、私にとってはものすごく後味の悪い結末でした。鮮やかといえば鮮やかだけど……、それはないだろう、という何とも言えないもやもやとした感触。その感触こそが作者の狙いなのだと思うと少し悔しい。
    ゲーム「BAROQUE」のプロデューサー、米光一成氏がBAROQUEの世界観や空気に似ていると評していたので読んでみました。確かに、あのどんよりとした重苦しい鉛のような空気感がそこにあります。

  • なんという……半端なさ。
    サラ・ウォーターズは「茨の城」から入ったので、
    てっきりああいう落ちだと思ってたんですよ。

    なのに今回ミステリー要素が少なくて……なんていうか……
    怪しげなスピリチュアルの匂いがぷんぷん。
    正直「霊媒にハマりすぎた典型的なヤバイ人」な感じ。
    それでも「茨の城」を先に読んでいたから、
    どこか信じていたのかもしれません。あの結果だと。


    ところがどっこい。
    すさまじい結果でした。もう、本当にお見事。
    普段なら投げ捨てているところですが、
    見事に騙されすぎてそれすら出来ない。

    しっかしこの作者、本当に精神的に「痛い」の大好きだよなあ。
    あとこの人が騙すのに使うパターンも把握した。

    しかしほんと……納得することとスッキリすることとは別なんですね。

  • ダフネ・デュ・モーリアの「レベッカ」に勝るとも劣らないミステリアスな物語を読んだ。

    19世紀の霧渦巻くロンドンのテムズ川河畔の監獄に収監されているうら若き女性の霊媒。そこを慰問に訪れる貴婦人は老嬢(といっても20代だろうが、今なら普通)、美しくないがゆえに、個性がありすぎるゆえに愛に飢えている。

    美しい霊媒の女囚「シラナイ」に傾斜していく。いや、ゆがんだ愛ゆえに嫉妬に狂い、正気を失うヒロイン「マーガレット・ブライア」。

    ミルバンク監獄の不気味さに(史実という)ぞっとし、霊媒というまがまがしさに迷わされ、ヒロインと女囚の交互に書かれる日記形式の構成の巧みさに、いよいよ謎が濃くなってくる。

    後半すっかり夢中になって一気に読んだ。人間の性質の不思議さ。他人の行動を感知してしまう鋭い人が必ずいるのだ。

    だましがこの世から無くならず(現実のあとを絶たない詐欺被害事件など)、だます人が多いなら、だまされる人ももっと多いのにかねがね不思議に思ってきたが、サラ・ウォーターズに完璧脱帽。

    そくそくと迫るミステリが好きなら、おすすめ。

    ミステリばかりではなく女性なら関心のあるもどかしいばかりの自己確立の物語でもある。何層にも意味が取れる内容に筆者の非凡さをみる。また、伏線がいたるところにあったということが後でわかり読み返したくもなる。

    次作『荊の城』期待してしまう。

  • 見事なストーリー運び。奇術師が幕を取ったときのように、あっと言わせられた。

  • 主人公の人生酷すぎない?書いてる部分はまだ先を考えてるけど、時間が経って現実を受け止めたらもう耐えられないでしょ。一回未遂もしてる訳だし。
    と思いながらも、最終章もあまりショックをうけないまま読み終えてしまった。この手のストーリーでハッピーエンドはそうないわな。

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