- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488254087
感想・レビュー・書評
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陰鬱になってしまう。だってタイトルからしてエアーズ家は没落することは約束されているんだもの。
出てくる登場人物たちが美男美女ではなく、世間的な意味でのラブロマンスではないのに、どんんどんロマンスになるのは……なんでしょうね。見事としか言えない。
読み終えるのが怖かったー。はい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホラーとしてもミステリとしても読める作品で解釈は読者に委ねられる。
視点を変えて読み返したら違う楽しみ方が出来そう。
謎解きを期待すると不完全燃焼。
段々と「語り手」である主人公がおかしくなっていく様が不気味。
ゴシック・ホラー作品をもっと読んでみたくなった。
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上巻はタイトル通り王道のゴシック小説でしたが、最後まで読むと印象が変わりますね。タイトル的に多くの方はそういうのを期待して読むんでしょうけど、一口にゴシックだ、と言える小説ではないかな?まーでもフツーに面白かったです。映画の方も見てみようかなと思いました。
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読み終わったとき、全ての文章が怖くなる。家に対してのストーカーやん。ファラデー医師の視点から語られているが、その全てが嘘くさい。キャロラインへの執念とかまんまストーカーすぎて怖い。
雨に浸食され、装飾品は色あせ、火事で煤けた部屋、荒廃したハンドレッズ館だが、ファラデー医師には、6歳のころに母親に忍ばせてもらった黄金期のハンドレッズ館が見えているんだろうなーと思った。もう誰も寄りつくことのない朽ちた屋敷に恍惚として座っている彼の姿が怖すぎる。
歴史ある名家だったから、ベティがいうようにいたずらをする幽霊はいたと思う。(仮病するきっかけになってた)ファラデーの無意識の下にあった、ハンドレッズ館、上流階級へのコンプレックスが悪い方へ増幅したんやろな。今思えば、エアーズ家におきた不幸の数々は、彼が不愉快を感じた場面でのことが多かったしな。ジリアンのときは、彼らの家族が屋敷に対して野蛮なふるまいをしたから。ロディに対しては、当主の器ではないと下したから。母親に対しては、キャロラインの相手にはふさわしくないと思ってたと言われたから。いつまでも昔を懐かしんで現実をみてないエアーズ家にいらついてた時もあったな。 -
結局何だったのか。
あの女中?? -
図書館で。何作か読んだことのある作家さんですがコレは合わなかったな。
没落、というタイトル通り旧家の没落なのですがそれよりも語り手である「私」が好きになれず苦労しました。一番家に固執していたのは「私」ではあるまいか?彼の取った行動はどれもこれもエアーズ家の為のようなそうでないような行為なのでこれをお為ごかしとか言うのかなあなんて思いました。
羽振りの良かった一家がそんなつもりは無くても周囲を傷つけていくというのはそういうモノなのかな、などと思いました。 -
若き領主、ロデリックのいなくなったハンドレッズ領主館はますます財政困難となり寂れていく。
さらに、ロデリックがいなくなった事で収まるかと思われた奇怪な現象もますますひどくなっていく。
一方、主人公であるファラデー医師はキャロラインに対する恋心を募らせ、キャロラインも一旦は彼を受け入れたかのように見えたが-。
読み終えて色んな事を考えさせられる話でした。
物語の筋だけを読めばどうって事ない話ですが、その奥に描かれているものが深い。
多分、読む人によって様々な印象や感想をもつ話だと思います。
私がこの本を読み終えて思ったのは、人間には個々にふさわしい「器」があるということ。
その器以上のものを手に入れようとすると多分、色んなものが溢れ出してしまうのだと思う。
それは人によって狂気だったり、幻想だったり・・・とにかく色んな形で表れるのだと思います。
エアーズ家の人々にとってハンドレッズ領主館こそがそれであり、そこにあるのは過去の栄光とかプライドといったものだったのかも知れない。
主人公にとっては少年の頃、この館に抱いた憧憬こそがそうだった。
そして彼らはそれに呑み込まれてしまった-。
・・・と私はこんな見方をしましたが、この本のあとがきを読むと、そうか!そういう見方もあったか・・・と気づかされました。
そう言われてみれば・・・と、ザザッと読み返して納得。
多分、理知的な考え方をされる方は読んでいる内に何となく気づくのではないかな?と思いますが、先入観をもってしまうので、あとがきは先に読まれない方がいいと思います。
この下巻では主人公の印象が上巻とは変わりました。
上巻では親切で善良な人というイメージだったのが、下巻では所々に精神分裂症のような・・・不安定な精神状態を感じます。
上巻を読み終えた時に書いたレポで、私だったら一度でも相手に拒否されたら二度とその人間には近づかないと書きましたが、彼がそうしない所にもこの物語の核があるように思います。
物語の後半に出てくるメイド、ベティの健やかな様子が印象的でした。
私も彼女のように地に足をつけて生きていきたい。
ストーリーから漂う絶望と暗さだけでなく、私にとっては一条の光も感じる話でした。