あなたならどうしますか (創元推理文庫 M ア 6-2)

  • 東京創元社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (589ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488263027

感想・レビュー・書評

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  • 表題作と「死刑執行人とのドライブ」が良かった。
    ホームズ的な迷推理を披露する話や、冷たく残酷な結末など様々あるが「どうやってこれを思いついたのか?」と考えてしまうくらい生活と事件との繋ぎ方のバリエーションがある。

  • どうしてこんな物語を思いつくのか見当もつかない。
    そんな小説だそうです。
    本書は絶妙の発端から異色の物語が展開する表題作「あなたならどうしますか?」の他、間然するところのないサスペンス「笑っている場合ではない」、残酷な結末が強烈な「ミス・マーフィ」、「敵」、謎解きの趣向が潜むラッセル弁護士の3編等、名手の繰り出すあの手この手が驚きを誘う短編集です。

  • おもしろかったです!短編集ですがどのお話も、スーッと入っていけます。
    ちょっと毒もあって、最初は鼻じらむ感じなんですが、だんだんそれがクセになる☆
    最初のあほうどり、似たようなドラマを見たんだけど…
    2話目の、敵。この最後はゾッとしました。解決に導く先生もステキ☆
    3話目の、笑っている場合ではない。狼少年ならぬ狼少女のウソを信じてしまったために思わぬ殺人を犯してしまう男性の話。ゾッとしました。
    4話目の、あなたならどうしますか。悪気はないんでしょうけど、自分の周りを思い通りに動かせる可愛い女性と、初恋の男性を奪われ、それを僻む女性。僻み根性がイライラしたなぁ。
    5話目の、オールザットウェイホーム。無実の罪で警察に苛まれた男性が、事故を起こしてしまったが怖くて逃亡。こちらも無実なのに…ちゃんと説明しようよーとヤキモキしながら読みました。
    6話目の、宵の一刻。このお話もなかなか良かった☆死の間際に話した供述がまさかのウソだとは。その証明方法もなかなか独特☆
    7話目の、生垣を隔てて。最初は小生意気な女の子が途中しおらしくなつていく様子がイマイチわからなかった。トリック事体はなぁんだ…って感じで、犯人も、だろうね…つめ感じ。前のお話に出ていた弁護士が引き続き登場。
    8話目の、ポーキングホーン氏の十の手がかり。こういう偉そうなこと言っちゃう探偵気取りの作家さん、いそう!笑い話として、ちょっとおもしろかったです☆
    9話目の、ミスマーフィ。これはちょっと薄ら寒くなったお話。人間の内面を深く探るというか…結局はなにも手を差し伸べないことで、腐った高校生に復讐したというか…考えられたお話だと思いました。
    最後の、死刑執行人とドライブ。犯人の父親もバカで腹立つけど、その犯人に拉致された先生が必死で手掛かりを残してるのに気づかない恋人もバカ。刑事さんと新しい恋愛が始まる予感♬
    ゾッとしたり、スッキリしたり、おもしろかった!

  • どうしてこの本を詠むことになったのか 分からないのですが・・
    短編集で読みやすく そして 読む進むうち 自分に突きつけられるような展開で 思わず うっ っとなることも しばしばでした。

  • 「敵」「死刑執行人とドライヴ」が特に良い。

  •  バラエティに富む短編集! かなり趣味です。一冊で思いきり楽しめて、「お得感」とはこういう感覚を言うのか(笑)と思いました★

     善意のサスペンス作家(?)シャーロット・アームストロング。これまで読んだなかで最も面白かったのが本書です☆
     収録作品から優しさがにじみ出ていて、犯罪を書いても人情派! 美容師さんのシャンプーみたいに、痒いところがなくなっちゃうような掻きかたをする、とても神経の行き届いた作品ぞろいです。

    ★あほうどり
     夫婦生活にしのびいる上品な悪意。被害者のツラをして侵入してくる、心底厄介な相手との戦いです。
     一発殴りつけてきたり、一発ぶっ放したりする相手なら排除もできましょうが、こうなると手荒に扱うこともできません。穏やかにやわやわとしめつけてくるほうが、始末におえないのだなぁ☆

    ★敵
     殺人事件は数あれど、こちらは殺犬事件。「仲間」のため、にわか少年探偵団が結成されて、いじらしくも優秀なはたらきを見せます。児童文学タッチで温かみがあります♪

    ★あなたならどうしますか?
     都会から舞い戻ってきた従姉妹は、語り手が想いを寄せていた彼のハートを射止めてしまいます。ところがある日、亡くなったはずの従姉妹の夫を目撃してしまった彼女。周りはこの話を信じてくれなかったけれどーー!?
     マーシャはNYの似合うスタイリッシュ美人なのでしょうけど、この語り口から言って、妹キャラのナンも、思考や言動がなかなかチャーミングな子だなと思えます☆
     人の良さそうなナンにとっては、真実を話すことも、目をつぶっていることも、どちらも苦しいのでしょうね。彼女がいい娘ゆえに成立する、「究極の選択」です。

    ★オール・ザ・ウェイ・ホーム
     女性誌でとりあげるなら、「行きつけのヘアサロンもミステリの舞台に」的切り口でしょうか。この筆者は本当に、日常的な空間からも小説を引き出す達人です!

    ★生垣を隔てて
     この話が私は大好きです。作家志望で人間観察を怠らない、ひとりの少女が事件を解決…した……のかな!? 大人をシニカルに見つめる彼女のノートは傑作。それによると、「わたしはつねに人間性を研究しているから、退屈するということがない」のだそうですよ。生意気な~! でも可愛いな。少女万歳☆

    ★宵の一刻
     ママに殺人の容疑がかけられて、パニックを起こしかけた子どもたちは、つい、助けをママに求めそうになってしまうのでした。ほほましいご家庭です。

    ★ポーキングホーン氏の十の手がかり
     どんな些細なことでも手がかりになる、とは申しますが、何でもかんでも意味を求めすぎても…………ですね。

    ★死刑執行人とドライヴ
     これから自分を殺しに行く男と、車中で一緒に過ごしてみたら何が起きるか。むしろ彼の味方になってしまうものかもしれませんよ!

     ほか。
     短編集の良さを伝えるということに特殊な難しさを感じるのだけど……、私はこの作家との出会いを、自分の読書生活のなかでも大大大収穫だと認識してるよ★ と、ここに記しておきます。
     数多ある翻訳ミステリのなかで、とりわけシャーロット・アームストロングの小説を選びたくなる理由は、「人間力」を感じるから、です☆
     血なまぐさい事件で人をどぎまぎさせたり、探偵が来るまで解けないような大いなる難問を提示するだけが推理物ではないのですね。殺しや誘拐などが起きれば窮地に陥る作中人物に、アームストロングは物語の外から励ましの視線を送るのです。根底に流れるあたたかさに惹かれます。かと言って、コージーミステリという感じでもないのだけどね。

     なお、この作品集では、女性と子どもがかなり活躍します。日ごろ、女・子どもを一括りにして馬鹿にしておいでの方々は、一生読まなくても結構ですよ! どうぞ、これほどの楽しみを知ることもなく、お過ごしくださいませ★

  •  読了。短編十編が収録。うち、印象に残ったものをいくつか。

    『あほうどり』 あるホテルで男が死んだ。それは夫トムが殴った男だった。間違って入ってきた上に妻であるエスターを襲ったように見えたという理由での行動だったが、死因が頭部の打撲であったことから、トムは残された遺族である姉妹の力になろうと決める。はじめは遠慮がちだった姉妹がどんどんとトムとエスターの生活に入り込んでくる。

    『オール・ザ・ウエィ・ホーム』 夜間、走行中にエレンは人を轢いてしまう。救急車を呼ぼうと付近の家を訪れるが、家から女性が出てきた瞬間、同乗していた夫トムが強引にエレンを連れ去る。実は轢いた人間には銃殺されており、道路に放置されていたらしいとのこと。冤罪に陥れられそうになった過去から警察不信に陥ったトムに「係わり合いになるのは面倒だ」と説得され、従うも、先ほどの女性に顔を見られているのでは? と恐れるエレン。何事も無く事件が下火になり始めたある日、よりにもよって自分の勤める美容院にあの女性がお客としてやってきて・・・・・・。

    『生垣を隔てて』 隣の家の女性の夫は七年前、不可解な死を遂げていた。当時八歳だったメレディスは、事件当夜、事件現場のごく近くに作った隠れ家にいたのだった。全くその様子を覚えていないメレディスは事件を解決するため、記憶が戻ったフリで女性にカマをかけようとするが?

    『死刑執行人とドライブ』 ある保育園で児童が家から持ち出したピストルを暴発させ死亡した。怒った父親は自分の妻を殴りつけ、現場にいた保育士イヴを殺そうと女性を人質に探し出そうとするが、その人質こそイヴその人であった。

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