カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)

制作 : 山田 蘭 
  • 東京創元社
3.96
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本棚登録 : 960
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488265076

作品紹介・あらすじ

現代ミステリの最高峰が贈る、すべてのミステリファンへの最高のプレゼント!
1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは……。その死は小さな村の人々へ徐々に波紋を広げていく。燃やされた肖像画、消えた毒薬、謎の訪問者、そして第二の死。病を抱えた名探偵アティカス・ピュントの推理は――。現代ミステリのトップ・ランナーによる、巨匠クリスティへの愛に満ちた完璧なオマージュ作品!

感想・レビュー・書評

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  • 別の本を買いに行ったのだが置いてなく、代わりに朝日の書評で『今年のミステリーのベスト1を争う秀作』とベタ誉めされていたこちらにする。
    税込み1080円って、どれだけ分厚い本かと慄いていたが、なんだ、これだけ?って感じで、持ち運びには差し支えなくなったけど、360頁でこの値段は高いなぁ…、中身に期待するぞ。

    さて、この本、帯に『アガサ・クリスティへの完璧なオマージュ…』と記載されているが、学生の頃、エラリー・クイーンはよく読みながら、クリスティは何故か殆ど読まなかった。
    あの頃は「オリエント急行殺人事件」や「ナイル殺人事件」などクリスティものがよく映画化されていて、それに触れただけで読んだ気になっていたのかもな。

    冒頭、鍵が掛かった屋敷の中でその家の家政婦が死んでいるのが見つかり、続いて、葬儀に参列しようとする人々の描写が続くが、全ての人に何らか家政婦に纏わる秘密がありそうなことが仄めかされ、端からどっぷりその世界に引きずり込まれる。
    曰くがある登場人物が多数登場し、その大人数を捌かねばならないところがこの種の話の読者に求められるところだが、そうした人物が順番に登場するこの本の進め方はいくぶん助かる。
    とは言いながら、物語が進んでも、どこがキーポイントで誰が犯人かはさっぱり分からず、そして、帯の編集部HS氏が言うように『ここで終わるか!?』ってなことで、これにはビックリ。。。
    兎にも角にも下巻へ急ぐ。

  • 読んではいけない。



    レビューも、評価も、お薦め文も読んではいけない。
    見てはいけない。
    目にするなら、赤と青の表紙だけ。
    読むなら、冒頭数ページである。

    それにぐっと引き込まれたら・・・・・・その衝動に従えばいい。


    本屋なら、レジに行こう。(POPも見てはならない。)
    誰かが貸してくれるなら、遠慮無く両手を突き出そう。

    そのとき、必ず、上下ともに手にすること!
    「まずは上巻だけで」などと思ってはならない。
    必ずや後悔する。


    読んだ人は必ず面白いという。
    出版社がこの年一番に力を入れた本とも聞く。それも無理はない。

    面白い。

    面白いから、言いたくなる。
    読んだ人、読んだ人、読んだ人、出した人、関わった人がなんかしら語りたくなるのだ。

    でも耳を貸してはならない。

    私がこの本を読んで、まず感じたのは、衝撃だった。
    私はなにを読んでいるのだろう? 私はどこに置かれたのだろう??

    この衝撃は、再読では、感じることができない。
    何かしら見聞きした後では感じられないものだ。

    なんともったいない!

    以前にも、なにかの本で書いたことと思うが、これもその類いの一冊だ。
    感想や評判を聞きすぎて、せいぜいすれっからした状態で読むには、実にもったいない本である。
    人生の損と言っていい。

    ぜひ、あなたにとって新鮮なうちに、冒頭を読んでみるべきだ。

    かくいう私にも、大いに後悔していることがある。
    出版社の抽選企画で、ゲラ刷で、出版前に、この本を読めるというのがあった。
    私はその機会を逃した。
    抽選に落ちたのではない。うっかり応募を忘れたのだ。
    なんという不覚。

    これをゲラ刷で読めた人がうらやましい。
    物語に、さらに臨場感が加わったことだろうに!!

    後悔とは、したくないものだ。
    あなたに後悔はしてほしくない。

    なにも見ず、冒頭を数ページ。ぜひ。

  • <上下巻併せての評です>

    1955年、田舎町に住む家政婦が鍵のかかった家の中で階段から落ちて死んでいるところが庭師によって発見される。不慮の事故のようだったが、その三日前、死者は息子に「死ねばいい」という意味の言葉を浴びせられていた。近くのパブで、その喧嘩を聞いた客は息子の仕業ではないかと疑う。息子の婚約者は名探偵アティカス・ピュントに捜査を依頼するが、ピュントは断る。実は脳腫瘍であと三月の命と宣告されていたのだ。

    ところが、それからしばらくして階段から落ちた女性が家政婦をしていたパイ屋敷の主人である準男爵が首を斬り落とされるという事件が起きる。小さな村で関係者が連続して死ぬのは異例だ。捜査を担当するのが顔見知りの警部補であることを知り、ピュントは助手のジェイムズを供に捜査に乗り出すことに。

    もとは修道院であった建物には翼棟の端に八角形の塔がついた屋敷。その奥には鬱蒼とした森と湖という典型的な英国風ミステリの舞台。死んだ家政婦のメアリは村人のゴシップを蒐集しては手帳に書き記していた。この「お節介屋」が死んだことで胸をなでおろした人物が少なからずいる。また殺された準男爵は村中の嫌われ者で、限嗣相続という制度のせいで双子であるのに兄に家を追い出された妹を筆頭に殺人の動機を抱く人物が引きも切らない。

    「一粒で二度おいしい」というのはキャラメルの宣伝文句。一粒でキャラメルの味とアーモンドの風味を楽しめることをいうらしい。その伝で行けば「一作で二作分面白い」ミステリと言えるだろう。注意深い読者なら、この本の仕掛けにすぐ気がつくにちがいない。うかつなことに扉が二種類使われていることに気づいていながら、上巻の最後まで読んでうっちゃりを食ってしまった。

    冒頭部五ページ分を除けば『カササギ殺人事件』上巻は、アラン・コンウェイ作『カササギ殺人事件』で構成されている。しかし、探偵が関係者を集めて、自身の推理を語る結末部分が抜けているのだ。アティカス・ピュントという探偵は最後の最後まで真犯人については明らかにしない。だから、結末部分の抜けた上巻だけ読んでも誰が犯人か分からないわけだ。まあ、普通上下巻に分かれた本を読む人は上下とも買うだろうから、文句を言う人はいないだろう。

    では、なぜ結末部分が抜けているのか。そこには、ひとりの人間が殺人を犯すに足る理由が隠されている。冒頭でこの作品をキャラメルに喩えたが、宣伝文句という点ではそうだが、本質としたら、サンドイッチの方が正しい。上巻の冒頭部分で「わたし」と称する人物には彼氏がいて、アンドレアスという名も出ているのに「登場人物」の中に名が出ていない。しかし、下巻にはちゃんと出ている。というか、下巻の登場人物と上巻のそれはまったく異なっている。

    つまり、『カササギ殺人事件』は二つあって、一つは表紙に書かれている通り、アンソニー・ホロヴィッツ作『カササギ殺人事件』。もう一つが「作中作」であるアラン・コンウェイ作『カササギ殺人事件』だ。アンソニー・ホロヴィッツが探偵役として使っているのは出版社の編集者であるスーザン・ライランド。彼女が上司から手渡されたテクストがアラン・コンウェイの最新作『カササギ殺人事件』である。

    パンにあたるのが現代のイギリスで起きた殺人事件。これを冒頭と結末に置き、中に1955年に起きた殺人事件を描く「作中作」という具をはさんでいる。サンドイッチという所以である。殺されたのは「作中作」の作者アラン・コンウェイである。殺人事件の舞台となるパイ屋敷はアラン自身の屋敷をモデルにしているだけでなく、探偵のピュントにはジェイムズという助手がおり、アランにはジェイムズ・テイラーという若い恋人がいる、というように二つの『カササギ殺人事件』は多くの点で重なっている。

    作中作の『カササギ殺人事件』にはアランが好むアナグラムが仕込まれていて、それがアラン自身の死の謎を解くカギになっている。スーザンはアランが暮らしていた町を訪ね、実の姉や別れた妻と会って話を聞く。アランという作家は実に無雑作に身の回りの人物をモデルにしたり、その名前を借りたりして作品に登場させていることが分かってくる。それとともに、そのあまり愉快でない人となりや文学的な野望も。

    なかなか面白い趣向で、最後まで引っ張ってくれる。アルファベットのアナグラムが鍵となる小説を日本語で取り扱う困難を考えると訳者の苦労がしのばれるが、括弧を使用して原語併記を採用するか、片仮名のルビを多用してくれたらもっと楽しめたような気がする。趣向を凝らした作品ながら、荒唐無稽な理由で人を殺す犯人やサイコパスの出てくるミステリが多い中、殺人の手段や殺人を犯す理由に納得のいく点が一番の推しポイント。年末年始で休みが取れる時期、じっくり読むにふさわしい力作である。

  • 原書が図書館に入ってた。『Magpie Murders』

  • 下巻を読んでから、改めて。

  • 原書名:MAGPIE MURDERS

    著者:アンソニー・ホロヴィッツ(Horowitz, Anthony, 1955-、イングランド・ロンドン、小説家)
    訳者:山田蘭(1964-、翻訳家)

  • このミス1位!売れてる!感が凄すぎて購入をためらったが、やっぱり面白い!読んで良かった。ミステリそのものはもちろん、翻訳も本の作りもよく考えられているのが伝わった。

  • 2019/01/12
    このミステリーがすごい で海外部門1位
    斬新な劇中劇だし、犯人が最後までわからないところも、なるほどと思ったが、あんまり好きじゃない。
    ポワロやホームズ、ミスマープルなどたくさん出すぎ。
    こっちはそれほど知らないから!

  • 詳しくは下巻にて

  • 読みやすいが、これまでは、田舎の事件というだけで、あまりクリスティぽさは感じないかな。

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著者プロフィール

1955年生まれ。イギリスの作家、脚本家。世界で1900万部の人気を誇る「アレックス・ライダー」シリーズや、コナン・ドイル財団公認のシャーロック・ホームズ・パスティーシュ『シャーロック・ホームズ 絹の家』『モリアーティ』を執筆するなど、多数の著書がある一方、「刑事フォイル」など脚本家として数多くのテレビ・ドラマ作品を手がける。近著にイアン・フレミング財団公認の『007 逆襲のトリガー』がある。

「2018年 『モリアーティ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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