- Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
- / ISBN・EAN: 9784488266035
作品紹介・あらすじ
北の湿地の建物で老人の死体が発見された。現場に残された謎のメッセージ。被害者の隠された過去。衝撃の犯人、肺腑をえぐる真相。いま最も注目される北欧の巨人の傑作、待望の文庫化!
感想・レビュー・書評
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読みやすい!
海外ミステリーにしては珍しくスラスラ読めた。
無駄のないつくりがとても気に入った。
犯人が意外!という展開ではなく、そうくるか!そう繋がるか!という感想。
悲しい遺伝は嫌だね。
主人公の刑事さんが事件のことを娘さんに話すというのは意外だった。
次の本ではおじいちゃんになってるのかな?
なんだかんだと仲良くやっていけそうね、二人。
息子もでてきてほしかった!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アイスランドを舞台にしたミステリー。
非常に渋く、興味深いミステリーだった。
本書を読む前は、アイスランドと聞いても首都が「レイキャビク」ということくらいしか知らなかったが、この本を読んで非常に興味をそそられる国であることが分かった。
人口は約35万人。国土は北海道と四国を足した程度の広さ。歴史的にノルウェーやデンマークの支配下に置かれていたが、1944年に共和国として独立。
世界でも数少ない「軍隊」を持たない国の一つである。
そんな小国でミステリーであるが、人間味あふれた物語で読み応えがあった。ミステリーというよりも
上質な人間ドラマ
として完成されている。
次は『緑衣の女』を読んでみたい。 -
アイスランドの首都、レイキャビクのアパートの一室で、老年男性の撲殺死体が発見される。突発的で証拠を隠そうともしない、典型的なアイスランドの殺人のようにも思われたが、死体の傍らには意味不明なメッセージが残されていた。
不審に思ったエーレンデュル捜査官は、被害者の所持品の中にあった一枚の写真を頼りに、真相を明らかにすべく捜査を行う。
本書は、老人の殺人事件を主軸に、エーレンデュルの別れた元妻経由で個人的に依頼された花嫁失踪事件、エーレンデュルと麻薬中毒の娘との関係を絡めながらストーリーが展開する。
当初はそれほど複雑そうに見えなかった事件が、真相が少しずつ明らかになっていくに従い陰惨さを増していく。最後は目も耳もふさいで情報を遮断したくなるようないたましさで、読んだ後もしばらく気分が落ち込みつらかった。著者は、最後にエーレンデュルと娘の関係が改善される様子を描くことで、この救いようのない話のバランスを取ろうとしたのだと思われるが、その程度では私の気持ちのバランスはとれなかった。
あとがきによると、アイスランドは人口約33万人、北海道と四国を合わせたほどの小さな国土に9世紀ごろノルウェー人らが住み着いて以来、ほぼ外界との交流もなく現在に至っているそうだ。
本書はそのようなアイスランドの特殊性を生かしたミステリであり、北極圏に近い島国という地域性も、本書の持つどんよりとした灰色のイメージをさらに強調しているように感じる。
本書を再読するエネルギーは当分持てそうもないが、これまでまったくといっていいほど知らなかったアイスランドという国のことを少しだけ知ることができた、という意味では、読んでよかったと思う。 -
読書友達がすすめてくれていたのだけどずっと読んでいなかった小説。
ラストまで一気読み!おもしろかった!!
もっと早くに読んでおけばよかった~
アイスランド・レイキャヴィクのアパートで殺害された老人。そして残されていた奇妙なメッセージ。杜撰な手口から犯人はすぐに捕まると思われたのだが…
明らかになる被害者の過去、そして事件の真相とは…
読んでたら生々しいバイオレンスな表現に思わず顔をしかめてしまった
いやもう、ホルベルクもサイアクな人間だけど
ルーナルもサイアク!
いやいや、でも日本でもこんな人いるよね。
被害にあったのに「女が誘ったんだろ」って決めつける人
あ~いやだいやだ。
読んでたらなんかもう色々ムカムカしてきた~
って、読者をここまでムカムカさせる著者の描写力…すごいわあ~
って、なんかもう私の中では北欧といえば珈琲とミステリーというすり込みが…
決して、北欧=おしゃれとかムーミンとかのイメージにならないかも
なんせミレニアムシリーズがインパクト大だったし、
この小説もなかなかインパクトあったし
北欧ものといえば…
スティーグ・ラーソンのミレニアムシリーズぐらいしか読んだことなかったのだけど
北欧のミステリー小説ってじめじめした湿度があって好きだわ~
アーナルデュル・インドリダソン、他のシリーズもぜひ読んでみたい! -
全編に陰鬱な陰を感じる重厚なミステリー。近年、次々と傑作ミステリーを輩出している北欧ミステリー界であるが、本作も噂に違わぬ傑作だった。確かにこの作家は只者ではない。
アイスランドのレイキャヴィクのアパートで起きた独り暮らしの老人が被害者となった殺人事件。杜撰な典型的なアイスランドの殺人と思われたが…事件を捜査する警察犯罪捜査官のエーレンデュルは被害者の過去を遡り、予想を超える事件の真相に辿り着く。クラシカルなスタイルのミステリーと思いきや…
そして、この重厚なミステリーをさらに味わい深いものにしているのは、作品の中に描かれる複数の家族の姿であろう。過去の事件に翻弄され、苦悩し続ける家族の姿と迷いや苦悩から脱却し、再生していく家族の姿が見事なスパイスとなっている。 -
悪意は後に誰かに災いを引き起こす。
悪い人間はそんなことは1ミリも感じないからどうにもならない。持って生まれたものか…その一族の因果なのか…どこかでおとしまえをつけないとね。
正義はどこまで光を信じぬけるかだ!
ぜひ〜 -
主人公の刑事と一緒に、複雑に張り巡らされた人間関係を紐解いて行き、真相に1ページずつ近づいて行く感覚が最高に良かった。
この感覚こそ日本でもアイスランドでも面白いミステリー小説と言われる要素なのかも。
この本の帯にも書いてあった通り「(国境も人種も関係なく、)警察小説の普遍性を証明した作品」であった。
アイスランドの、ジメジメと暗い気候が「性暴力」という今作のテーマ合わさり作品通してとても重苦しい印象だった。
ただし重苦しさ以上に真相に近づいて行く爽快感の方に手がとまらず、半日で一気に読み終えられた。
次作の「緑衣の女」も是非読もうと思う。 -
「その国を知りたければ、その国のミステリ小説を読め」と誰かが言っていた(「あとがき」かな…)。
“アイスランド”
その国の正確な位置を知っている日本人はどれだけいるだろう。
よく見る世界地図ではスカンジナビア半島とは遠く離れているように思えるが、北極点を中心とした地図を見ると、この島から南南東にあるイングランドとほぼ同距離で、東にノルウェーがあることが分かる。
と、同時に「小さく」感じる。
離婚した中年刑事と娘、昔ながらの捜査、性差別・蔑視とレイプ事件、麻薬中毒、これらは北欧と言わず欧米ミステリ小説にはよく見られるが、この物語ではさらに「血」が強調されている。
「住民は遡れば皆どこかで血縁関係にある」という独特の風土が色濃いのだろう。
なんだか横溝正史的で、日本人の何かに共鳴するところかも。
物語はダイナミックな展開でスピード感もあるため、飽きることなく読める。
そして、結末は悲しい、ひたすら悲しい……。
「重い」と「悲しい」は、少し違うんだなぁ。 -
友人に勧められました
晴日が少ないアイスランドらしく、暗く重い物語が展開されます
真実の追及に遺伝子がかかわってくるところはこの国ならでわです -
差し込むような、あるいは叫びたいような、もしくはそれを抑えるような苦しさ。
当初、タイトルやイメージからテンポの遅い退屈な作品かもと覚悟していたけれど、そんな心配は無用だった。
捜査の狙いを探るのもおもしろかった。
この捜査はどこへ向かい何を求めているのか。
作中にもそんなセリフがあって、自分の鈍さのせいだけではなかったとほっとする。
どんどん知りたくなる。
なるほど、そうつながるのか。
他の作品も読みたくなって、さっそくほしいものリストに追加。
それにしても覚えにくい名前だな(笑)