緑衣の女 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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本棚登録 : 241
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488266042

作品紹介・あらすじ

男の子が拾った人間の骨は、どう見ても最近埋められたものではなかった。現場近くにはかつてサマーハウスがあり、付近には英米の軍のバラックもあったらしい。サマーハウス関係者のものか。それとも軍の関係か。付近の住人の証言に現れる緑のコートの女。封印されていた哀しい事件が長いときを経て捜査官エーレンデュルの手で明らかに。CWAゴールドダガー賞・ガラスの鍵賞を受賞。世界中が戦慄し涙した。究極の北欧ミステリ登場。

感想・レビュー・書評

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  • 男の子の拾った骨がいったい誰の骨なのか。最近のものではないということしかわからず、古代のものの可能性もあり考古学者が時間をかけてゆっくり掘り出す間、エーレンデュルたちが過去をすべて掘り起こしていく手法は見事でかなり読みごたえがありました。絶対この人だと思ったひとだったかどうか、最後までぐいぐい引っ張られて読めました!
    さて、次は読書会課題の『声』に真剣に取りかかるぞ!!

  • 「緑衣の女」、ミステリというよりは文芸作品といった趣き
    トリックを明らかにしていくというよりは、人間の心のひだを探ってく感じでしょうか
    ひたひたと人間の深部に分け入っていく
    そうした社会や人間の暗さ・よどみを、淡々と語る怖さがあります

    衝撃的な出来事も(ミステリの事件としては地味ですが)、表面的な説明に終わらないのが、類書と画するところ
    第三者からしたらどうでもないことが、当事者にとっては、いびつに強烈に印象に残ったりする
    そんな感性的な描写もあって、惹きつけられました


    個人的に残念に感じたのは、モチーフとして「緑衣の女」の印象が薄かった点
    「緑衣」にも、何かしらの意味があるとよかったですし
    せっかく神秘的なタイトルなので、「緑衣の女」が出たり消えたり、この人かと思ったらあの人だったり、みたいな揺らぎがあるとよかったな、、、北欧、アイスランド、幽玄の国・・・といったイメージで


    実際には、作品で揺らいでいたのは、「緑衣の女」ではなく「家族」でしたね
    いろんな形の家族、過去を生きていた家族・これからなるかもしれない家族、様々な家族が交錯する中で、もろく壊れてしまったり、悲惨な中にも気高い強さを見せたり
    人間のダメさ、弱さ、美しさ、尊さが、揺らいでは陰り、輝き、、、

    志の高い作品でした

  • 初読
    アイスランドミステリ。

    北欧ミステリはDV、女性への憎しみ・暴力を描いたものが多いなぁ
    その背景も含め気になる
    私自身は「こんな事が出来るなんて信じられない」側では決してない。
    一歩間違ったらそう、加害者側に立ってしまう事もあると思う
    だからこその何故?が知りたいのだと思う

    湿地より先にこちらを読んで、キャラクターの設定を知らないことに
    差し障りがある程ではないけど、やっぱり一作目から読みたいかな?
    と思っても湿地がシリーズ3作目、緑衣の女で4作目なのね

    古い白骨死体、行方不明の婚約者、エーレンデュレの娘
    女性に纏わる不穏な空気、を濃密に感じながら
    作者の何か物凄く描きたいであろうものに引き込まれていく。

    血の継承、シモンとトマスを分けたもの、答えは出ていない事。
    湿度というか、独特の空気を纏った作品。
    居心地が良いわけではないのに、不思議に落ち着くような何か。

    あとがきのアイスランド人は夢の話をするのが好き。
    というのも凄く興味深くて面白かった。

  • なぜ憎い夫と赤ん坊を同じ穴に埋めたのか。そこだけ違和感。
    まあ母親はろくに動けなかっただろうし子供達で穴を二つ掘るのは無理だっただけかも。

  • 物語の始まりから衝撃だった。人はどこまで残酷に人間としての尊厳を打ち砕き何度も生きながらにして殺してしまえるのか。身震いがする程の恐怖。『湿地』でも感じたひたひた近付き、まとわりつく圧迫感がすごいです。どんでんどんでん、何処に辿り着くのか最後の最後まで翻弄されました! ぐは!

    エーレンデュルとエヴァ=リンドの関係が僅かながら動き出した今回。こちらも期待したいです。しかしあれかい、アイスランド気質ってのは辛気くさ、、、いや重厚なんですかね。

  • 壮絶なドメスティックバイオレンス

  • 安定のアーナルデュル。
    造成現場で発見された古い白骨をめぐる捜査に、昔のDV被害女性のパート、さらにエーレンデュルと娘の緊張した父子関係が並行して進んでいく。登場人物たちが幾重にも綾なす糸のように絡み合っていくさまは、普通の国なら「ありえないご都合主義」となるのだろうが、なんせ人口30万人。自国の特性を逆手に取った、すばらしい舞台立てである。
    不器用なおっさん刑事があっちへ行ったりこっちへ行ったり、コツコツと足で捜査していく展開は地味と言えば地味なのだが、白骨の正体に代表されるように、ミスディレクションをうまく使って盛り上げている(ただし、白骨のあの状態には納得がいかない…あの人たちが、あれをよしとするだろうか?)。
    サブストーリーのエーレンデュルの家庭事情も、なかなかに救いがない。衝撃の展開にも「湖の男」を先に読んだのでハラハラ感はなかったが、逆にこの先を知っておいてよかったと思った。ただでさえメインストーリーが陰惨なのに、このうえ娘の心配までしていたら心臓がもたないw
    次はついに現時点での邦訳フルコンプとなる「声」。ちょっとレビューを見てみたら、「『湿地』『緑衣の女』と比べると地味な話だが」とあり、エッこれ以上ですか? と驚いたがw、ともかくも楽しみである。

    2019/1/8〜1/10読了

  • 事件を追う刑事たちと、その刑事たちが抱える私生活上の葛藤を並行して描く手法は近年よく使われるが、本書では物語に厚みを加えることに成功している。

    登場人物それぞれに奥行きがあり、時代背景の描写も渋く、魅力的。

    読了時の余韻も深く、いい本を読んだと感じられる。

  • ★4.5
    前作と同じく、女性に対する暴力が容赦なく、物語と分かっていても胸が締め付けられる。と同時に、それほどの暴力と苦痛を家族に与える、グリムルの生い立ちと精神状態が無性に知りたくなる。ただ、どんな理由があったとしても、彼の言動が酌量されることはないけれど。緑衣の女の正体、もうひとつの失踪事件の結末は途中から読めるものの、ストレスなく現在と過去を行き来し、複雑な人間関係を描き切った筆力にただただ脱帽。ラストで母親の名前が明かされた時、ようやく何もかもから解放されたと感じた。あとはエヴァの回復を待つのみ!

  • なんだこの苦しさ…。前作同様の雰囲気。なのにページを捲ってしまう。本当にやるせない…なんでこんな人たちのせいで傷つく人が出来てしまうのか。幸せになれるはずの、とても優しくて強い人たちなのに。

    今この時代も同じ思いをしている人がいるだろう。そう思うととてもやるせない。

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