ウサギ料理は殺しの味 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488284022

作品紹介・あらすじ

レストランのメニューにウサギ料理が載ると若い女が殺される! 女占い師と彼女にほどこしを受けるホームレス、ウサギ料理が好きな男、金ではなく高級商店の新入荷品で上客を取る娼婦。絡み合う人間関係。ある日、「ウサギ料理をメニューに載せるな」という脅迫状がレストランに届く。この町に何が起きているのか? とてつもないブラック・ユーモアが横溢する仏ミステリの傑作。訳者あとがき=藤田宜永/解説=川出正樹「木曜日はダメよ――ウサギはGo!を掛ける」

感想・レビュー・書評

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  •  木曜日の晩に狩人風うさぎ料理が出されると、必ず人が殺される。

     そんなフランスの田舎町へやってきた元警察官のジャンフィエ。
     本当は探偵事務所の調査中、車が故障したために寄っただけのはずなのに、修理に時間がかかるために仕事はクビになってしまう。

     いろんな人の思惑が複雑に絡み合った事件の結果があまりにブラックユーモアで笑ってしまった。

     これこそフレンチミステリですね(*^^*)

  • えぐい。
    ミステリーという感覚は無かったが、最後の展開は狂っているような感じだ。警官の台詞も頷けるほどの狂いっぷりであった。
    正直登場人物が多すぎるし、町そのものが舞台となるし、性的描写とブラックジョークを交えているしで理解するのが大変な本作、翻訳が結構わかりにくいので苦労してしまった。

  • 『米澤屋書店』で紹介されていて、その魅力的なあらすじに惹かれた。
    ただそのトリック実現のためには、ブラックユーモアと、性欲に溺れた多くの登場人物たちと、ある程度の単調なページ数が必要であり、そのあたりで好みがわかれそうではあるが、読む価値はある珍本だと思った。
    フランスの人名には不慣れなので、冒頭の登場人物一覧表には非常にお世話になった(全然、覚えられない)。

  • 癖の強いフランス文学感、登場人物の名前の慣れなさ、そんなことあります??な展開。普段日本の書籍に慣れてると違和感アリアリだったけど、面白く読めた。

  • 復刊されるべき唯一無二のトリックを持つミステリだった!正直、馴染みのないフレンチミステリで、登場人物も多いので、読みにくいところはあるのだが、それを差し引いても異彩を放っている。ウサギ料理をメニューに載せなければ殺人は起こらないという謎のメッセージ。犯人も意外性があるが、何よりもホワイダニットが光る。
    一見関係のないような町の人たちのルーティンの描写に辟易しながらも、徐々にまさか…と読者は真相に気づくだろう。
    犯人が捕まって終わるのではなく、それをきっかけにさらに町は迷走していくのもブラックな展開だ。
    ミステリに慣れ親しんでいる方、また翻訳ものを読むのに抵抗のない方にはぜひおすすめしたい。

  • 翻訳された文章はただでさえ苦手なのに、こちらはとにかく読みにくい!言い回しが合わないのかな。そして人物名が覚えられない(笑)カタカナは苦手だ。あまり読んだことのない(初めて?)フランスの小説だったから、馴染みがなくて余計に大変だった。
    その辺りを一旦脇に置いておくとして。ストーリーは面白かった。論理も何もなく、人々の欲望が連鎖していくだけで、こんなにも大きな話になっていくとは。そして最後にもう一展開あるのも良かった。

  • 「なにを読まされたんだ…」と途方に暮れるミステリ。なんだこれ。。町で「こうするしかない!」と決められる事も(えっそれで良いのかい??)しかない。
    ブラックユーモア…難しい。
    町の秩序に「木曜日に起こる殺人事件」が組み込まれてて、しかも殺人事件が起こる条件が入り組んでる上にピタリと嵌っているのでどこから手を付けたらいいやら…となっている“町そのもの”の名士の方々。条件が狂って殺人事件が起こらなくなると町が無秩序になるため、秩序を守るために木曜日に殺人を続けなければならなくなるのブラックジョークがきつい。
    殺し始めた人は逮捕された上に死亡したけど、秩序のためにはまだ殺さなきゃ…ってなるのも狂気。殺し屋雇うからお金が足りない、ってなってるけどそりゃそう。
    結局、条件を構築してる何人かを消すことで解決したみたいだけれど…本当になんだこれ、でした。
    登場人物が多すぎて名前をなかなか覚えられなかったけれど(仕事に頼ってなんとか見分けた)、怒濤の展開でした。シャンフィエもそのうち消されるんじゃないかなこれ。他所者なのに深入りして知りすぎた、とかって。
    藤田宜永さんの訳、初めて読んだと思うのですが軽妙洒脱で面白かったです。

  • レストランで毎週木曜日《狩人風ウサギ料理》←超絶美味!が出されると若い女性が殺される事件が起こっているフランスの片田舎。車の故障で足止めを食った元刑事の提案で、ウサギ料理を出さなかったその時から、町は混乱の渦に陥る…。町の住人達の日常が書かれた前半は、人数の多さと慣れないフランス人の名前とでかなり苦戦したが、後半は犯人が解明した後の、予想もしなかった一歩も二歩も先行く奇妙な展開に一気読み。最後の最後に、三たびニヤリとさせられました。良い意味で何度も裏切られた!2021年、創元推理文庫復刊フェア対象本。

  • 不条理なブラックユーモアあふれるミステリー(?)。
    個人的にはあんまり合わなかったです。読み進めづらかったのと、納得はできない感じかな。
    回り回る街の人々みたいな、そんな作り方は悪くないと思いました

  • とあるレストランでウサギ料理を出す木曜の夜。
    住民たちのお約束のルーティンが重なるその夜に連続殺人鬼も仕事をする。
    この街でいったい何が起こってるのか
    ”ウサギ料理が出るから“という意味不明な動機にどんなオチがつくのかと思ったら
    なんと完璧な絵空事!世迷言!

    まるで箱庭のようだと思った。殺人鬼すらも構成物の一つに過ぎない徹底ぶり。
    週に一度の楽しみの為だけの同じ一週間の繰り返し。突き抜けるとこんなナンセンスなミステリになるのか。
    麻耶雄嵩の『木製の王子』が少し近いところにある印象を受けたけど、規模が違うのでまた印象も違う。作り物であることを前面に押し出すとなんかすごくある種のロマンが生まれるよなあってのは少数意見だろうか...。

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著者プロフィール

Pierre Siniac

「2010年 『リュジュ・アンフェルマンとラ・クロデュック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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