ウォータースライドをのぼれ (創元推理文庫)

  • 東京創元社 (2005年7月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (390ページ) / ISBN・EAN: 9784488288044

みんなの感想まとめ

複雑な人間関係と予測不可能な展開が織りなす物語が魅力の作品で、主人公ニール・ケアリーが新たに直面する試練が描かれています。恋人カレンとの穏やかな生活が一変し、師匠のグレアムから与えられた「英語を教える...

感想・レビュー・書評

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  • 中国四川省やネヴァダの草原を舞台にした前二作と比べると、ずいぶんスケール・ダウンしたものだ。カレンの部屋や、ホテルの一室、キャンディの家といった狭苦しいところに、女性三人が閉じこもって、ガールズ・トークに精を出し、酒を飲んで大騒ぎするところは、まるで昔懐かしい『ルーシー・ショー』。今回のニールは、ルーシーの相手役を務める銀行の副頭取「ムーニーさん」の役どころ。

    というわけで、ニール・ケアリー・シリーズ第四作は、シチュエーション・コメディ・タッチ。もちろん、タイトルにあるように、ヤマ場ではウォータースライドをのぼらなくちゃいけないので、野外のアクション・シーンも用意されてはいるんだけど、高いといってもプールに設けた滑り台なわけで、三千メートル級の峨眉山に挑んだニールにしてみればいかにもショボい。つまり、今回のニールの冒険は意図的に矮小化されているのだ。

    なぜ、そんなことになってしまったかというと、断じて、そうすべきではなかったのに、性懲りもなくニールがコーヒーの匂いを嗅ぎ、あまつさえ飲んでしまったからだ。「断じて……するべきでなかった」という決まり文句で始まる、このシリーズ。ニールに簡単(?)な仕事を持ってくる養父のジョーの登場で始まるのがお約束。繰り返しには少しずつ変化があり、今回ニールはどこにも出かけない。対象の方がやってくる。

    前作『高く孤独な道を行け』で殺人に手を染めたニールは、官憲の目を恐れ、長髪に髭という偽装までしてカレンの家に引き籠っていた。ジョーが手土産に「簡単な仕事」をぶら下げてやってきたのは、やっと金で解決がついたという知らせだ。ニールはジョーに、そろそろ引退したいと弱音を吐くが、家にジャグジーつきのテラスがほしいカレンは儲け話に乗り気になる。結婚前から主導権を握られているニールは、渋々ヒギンズ教授役を引き受ける。

    ケーブル・テレビ・ネットワークの創設者で社長のジャック・ランディスが、事務所のタイピストをレイプするというスキャンダルが発生。その相手がポリー・バジェット。朋友会はランディスの会社の株主で、社長の追い落としをはかるハサウェイの依頼を受け、ポリーの弁護を引き受ける。しかし、裁判で証言させるにはひとつ問題が。ブルックリン育ちのポリーは発音も文法も無茶苦茶。それを矯正するのがニールに課された使命。流暢に話せるようになるまでマスコミから隠しておくにはネヴァダ州オースティンは絶好の場所だった。

    外に出ることができない三人は、カレンの家でひたすら『マイ・フェア・レディ』のまねごとを延々と演じ続けるしかないわけだ。そこで、シチュエーション・コメディ風の設定が生きてくる。このイライザ役のポリーのセリフの日本語訳が、さすが東江一紀。噴飯物のセリフが次から次へと繰り出され、まさに抱腹絶倒。ところが、頭隠して尻隠さず。上手の手から水が漏れ、隠れ家の在り処がばれてしまう。

    ポリーを探していたのは、ランディスの妻のキャンディ。レイプ事件が夫の言うように嘘なのかどうか、本当のところを知りたいのだ。次にランディスと組んで、テーマ・パーク「キャンディランド」を建設中のマフィア、ジョーイ・フォーリオ。ポリーの証言で視聴率が落ちると資金繰りの目途が立たず、工事中止ともなれば中抜きの旨い汁が吸えなくなる。その他に、借金返済のため功を焦る落ち目の私立探偵ウォルター・ウィザーズ。更には得体の知れない殺し屋まで、危ない連中が先を争ってネヴァダにやってくるから、さあ大変。

    もっとも、かつてジョーの憧れだった名探偵は今はアル中で、酒を見ると手を出さずにいられない最悪の状態。かたや、完璧な仕事をすることで知られている殺し屋は、バー<ブローガン>の番犬ブレジネフに手首を噛まれ、カレンに金属バットで背骨を叩かれ、這う這うの体で逃げ出す始末。威勢のいい女性陣と打って変わって、男性陣の登場シーンは、こてこてのスラップスティック仕立て。レギュラー陣以外の男たちは全員笑いのネタにされている。

    そんな中、人妻キャンディに恋慕するモルモン教徒の元FBI捜査官チャック・ホワイティングが大活躍。麻薬課から引き抜いた部下の働きで盗聴は大成功。チャックの連絡を受けたキャンディがポリーの前に現れるから修羅場になるのは必至。ところが、初めこそ険悪だった二人の仲は急速に雪解けムードになり、いつの間にやら互いの立場を理解し合い、自分たちの置かれた境遇を憂える同士となってしまう。敵の敵は味方、というやつだ。

    今回は、徹底して女性が主役。フェミニズムの旗幟鮮明で、ニールも手を焼くほど。もっとも、今のニールはカレンに夢中。朋友会はランディスの一件にマフィアが一枚噛んでいることを知り、ニールに手を引けといってくるが、金で手打ちにすることにポリーが応じず、カレンがそれを後押ししていては、ニールも後に引けない。策を講じて、ジョーに一役買ってもらい、ホワイティングがジョーイに盗聴器を仕掛け、一世一代の大博打を打つことに。

    下っ端連中がドタバタ喜劇を演じている間、イーサン・キタリッジは服役中のマフィアの首魁に会って、事態の幕引きを図る。このマフィアのボスと朋友会会長の一対一の話し合いの場面が作中最もシリアス。一緒に仕事をしていても、イタリア系の人間を人並みに扱おうとしないアングロサクソンに対するイタリア系の恨みつらみの深さも凄いが、話がぶち壊しになるのも恐れず、犯罪に易々と手を染める相手を侮蔑するアングロサクソンの銀行家の腹の据わり具合も見事。だが、キタリッジは汚れ仕事に嫌気が差し、引退を考えはじめる。

    主人公の成長に絡めてアメリカ社会を批判的に描くという構想で、二十世紀のピカレスクを目指したのが、ニール・ケアリー・シリーズ。ピカレスクは「悪者小説」とも呼ばれるが、「悪者」には括弧がつく。生まれのせいで、そうとしか生きられなかったからピカロ(悪者)になるのだ。娼婦の子というニールの設定が、まさにそれ。ニールがトバイアス・スモレットばかり読んでいるのにもわけがある。スモレットは十八世紀イギリスのピカレスク作家。ニールはピカロであることを自認していたのだ。

    前作がウェスタン仕立てだったのは、当時大統領だったレーガンが、元はB級西部劇役者だったのを揶揄する趣向。今回、標的にされるのは国民的人気の仮面夫婦。舞台はポンペイを模したラス・ヴェガスのホテル、手抜き工事のテーマ・パーク、とまがいものばかり。アメリカの顔となる存在自体が虚像と化したことに対する痛烈な風刺である。しっかり者の妻のおかげで今の地位に着けたのに不倫に耽るジャックは、誰が見てもビル・クリントンだが、モニカ・ルインスキー事件が発覚するのは作品の発表後というから、作家の想像力というものの凄みを思い知らされる。

  • シリーズ4作目。少し毛色の違う作品になったかな。

    前回の事件でできた新たな恋人カレンと幸せな生活を送っていたニール・ケアリー。そんな穏やかな生活にまたしても師匠であり第二の父であるジョー・グレアムがやってくる。「じつに簡単な仕事でな」と言う。その任務とはその人に英語を教えてやること。ただそれだけ!?という任務だが次第に状況が明らかになってくる。

    ジャック・ランディスはファミリー・ケーブル・ネットワークの創設者であり社長。人気番組のホスト役を務める大物である。アメリカ社会ではよくある話だがランディスも愛人を囲い、タイピストとして雇っていた。愛人の名はポリー・パジェット。そのポリーが突然ランディスにレイプされたと騒ぎ始め、これに乗じてランディスの人気を落としたい勢力がポリーを確保、記者会見や法廷へ出てもレイプされた可哀想な女性というイメージを大衆に与えるためにニールに英語教師をさせるという筋書きなのである。

    その台風の目にいるポリー、愛人として雇われていただけなので、タイプもろくに打てない、英語もまともに喋れない...そんな状況。これ、翻訳が大変素晴らしかった。まともに話せない英語というものを日本語に訳すの相当難しかったと推察されるし、実際読んでみたら「あー、わかるわかる!」と思うくらいいい感じに崩れた日本語に訳していた。

    そして色んな思惑を持った勢力がポリーを中心として複雑に絡まってくる構図が面白かった。口から出まかせの嘘が通ってしまったりコメディ感が溢れる感じで「まじかよ」と突っ込みながら楽しく読めた。加えて話は予想しない展開を迎えるので笑いながらもぐいぐい引き込まれていきました。

  • 「果てしないばかの行列に、またひとり、ばかが加わった。」
    これは終盤でのナレーション文章。

    ストリートキッズシリーズの実質的最終章
    前回最大のミッションをこなしたあと、ニールは恋人カレンと“すっごい田舎”で身を隠すように暮らしていた。
    そこへ義父?グレアムがあらわれて……と、毎度おなじみの始まりから、ニールの冒険が始まる。

    始まりの物語『ストリート・キッズ』、次作の『仏陀の鏡への道』では、自分の前にある道に、時には抗い、時には泣く泣く、少年ニールは進む……この迷いが好きだった。
    前作『高く孤独な道を行け』では、ハリウッド映画を見るような展開の中、ある意味プロとして仕事をこなしていくニールの成長があった。

    それに比べるとこの最終話は、少しスケールが小さくなったよう、うん、どこか吉本新喜劇のようで、みんな「笑いの一芸」を披露しながら登場してくるようで……。
    ほんと、主人公とその仲間はもとより、次々に登場する敵役たちの個性がいとおしいほど。

    『ホビーZの気怠く優雅な人生』『フランキーマシンの冬』のように“腹の底から面白い”ウィンズロウ&東江節が爆発したお話でした。

    ただ……ストリート・キッズではなくなっちゃった。

  • 「ニール・ケアリー」シリーズ。
    実質ラストエピソード。
    今回は今までとテイストが違い、
    はっちゃけてた。

    アメリカーメキシコを股にかけた
    メキシコの麻薬カルテルと
    撲滅をめざすアメリカのDEAとの戦いを
    描き続けた3部作
    「犬の力」シリーズで
    アメリカ・ミステリ界の
    頂点に君臨した
    ドン・ウィンズロウ。

    そのデビューシリーズ
    「ニール・ケアリー」シリーズの
    実質的最終エピソード。

    この後にもう1冊あるが、
    それはフィナーレのためのもので
    エピソードとしては
    これが最終と言ってもいい。

    主人公のニール・ケアリーは
    元ストリート・キッドの探偵。

    寡黙で問題を抱える
    ハードボイルドタイプで
    成熟した大人の探偵が主人公、
    といった、それまでの物語とは、
    一線を画していた。

    ストリートキッド出身であること。
    若い探偵であること。
    自分の意志で立ち向かうのではなく、
    巻き込まれ型であること。

    いつも銀行の裏組織である
    盟友会の無理難題を
    引き受けさせられる。

    ニールはしぶしぶ請け負い、
    苦境に追い込まれ、
    軽口を叩きながら、
    単独行動で、
    何とか事件を解決してきた。

    「じつに簡単な仕事でな、坊主」

    今回も義父にして
    盟友会の雇われ探偵
    グレアムの甘い言葉に乗せられて、
    新たなミッションを引き受けてしまう。

    その内容は
    著名なTV番組ホスト
    ジャック・ランディスの
    レイプ疑惑事件
    「ポリーゲート事件」
    その被害女性ポリーを
    裁判でもきちんと
    証言できるように
    磨き上げることだった。

    しかし、このポリーの
    しゃべり言葉がすごい。
    ニールの家に来た第一声が
    「ごっち、すかしてんじゃん、
    こむ家(えー)」

    ここからまたしても
    ニールの悪戦苦闘が始まる。

    今回はいっしょに暮している
    恋人カレン・ホーリーも
    巻き込んでの展開。

    さらにニールの家には、
    加害者とされる
    ジャックの妻、
    キャンディ・ランディスも
    やってくるという
    はちゃめちゃさ。

    また、ポリーの暗殺を企む
    雇われた殺し屋
    プレーオフが
    執拗に追いかけてくる。

    でも、このプレーオフは
    ちょっとしくじり体質。

    全体にこれまでの
    サスペンスフルなタッチと異なり、
    少しコメディ寄りのノリになっていた。

    舞台はニールの家周辺から
    ジャックが開発しようとしている
    キャンディランドへと移り、
    ニールの活躍が描かれる。

    解説に描かれてあった
    「ニール・ケアリー」シリーズの分析が
    なかなかに深いところを突いている。

    その骨子をまとめると。

    本書までの四長編の発表年と
    作中時間を照らし合わせてみると、
    あることがわかる。

    第一から第三長編までの作中時間では、
    毎回大統領が交代している。
    そして、その時々の社会情勢が
    作品に強く影響している。

    『ストリートキッズ』
    発表一九九一年、作中時間一九七六年。
    フォード大統領の任期。
    最大の課題はヴェトナム派兵の撤収と
    ウォーターゲート事件による
    政治不信の回復。
    上院議員の娘を探しに
    ロンドンからヨークシャーへ。
    ここで描かれるのは
    世代間の乖離。

    『仏陀の鏡への道』
    発表一九九二年、作中時間一九七七年。
    カーター大統領。
    中華人民共和国との国交正常化が
    国際政策上の最大の収穫。
    物語の主要な舞台は中国。
    国際的に孤立していく
    アメリカの姿が透けて見える。

    『高く孤独な道を行け』
    発表一九九三年、作中時間一九八一年。
    レーガン大統領。
    レーガノミクスの時代。
    その一方で格差が広がっていく。
    テーマは人種差別主義者との闘いの話。
    話のタッチが西部劇調なのは、
    レーガンを皮肉っている?

    『ウォータースライドをのぼれ』
    発表一九九四年、作中時間一九八二年。
    ブッシュ大統領となりそうだが、さにあらず。
    ポーリーゲート事件は
    ビル・クリントン大統領と
    モニカ・ルインスキーの浮気騒動を連想させる。
    しかし、この作品を発表した一九九四年には
    まだモニカ事件は起きていなかった。
    二人が出会うのは一九九五年の出来事。
    ここで遂にドン・ウィンズロウは
    時代を作読みしてしまったのである。
    戯画化タッチで象徴するのは、
    馬鹿になったなったアメリカだった。

    「ニール・ケアリー」シリーズには、
    こうして時代時代のアメリカの姿が
    描き出されているのだ。

    底流を流れる
    社会情勢への強い批評精神が、
    後の「犬の力」シリーズへ、
    さらに大きなうねりとなっていく。

  • ミステリーというより、次にどんなハプニングが起こるのかを楽しむ作品。繊細なニールが周りに振り回されて窮地に陥るパターンは相変わらず。

  • 「じつに簡単な仕事でな、坊主」養父にして朋友会の雇われ探偵グレアムがニールに伝えた任務、それは健全さが売りの人気TV番組ホストのレイプ疑惑事件で、被害女性ポリーを裁判できちんと証言できるよう磨き上げることだった。世にも奇天烈な英語教室が始まる。彼女の口封じを狙う者あり、彼女を売り出して一儲けを企む者あり……様々な思惑が絡み合うポリーゲート事件の顛末。
    原題:A long walk up the water slide
    (1994年)

  • 随分テイストが変わったなぁ。これはこれで楽しめました。

  • ドン・ウィンズロウの描くテンポと東江さんの邦訳の妙を
    心行くまで堪能できる1冊としか!
    ポリーの変な言い回しを損なう事無く訳してる所が
    素晴らしいです(笑)
    『仏陀の鏡~』の時の「決まり××」みたいなアレです。
    読んでいると楽しい幸せなひと時を味わえます。
    間違いない。

    ストーリーはこれまでと比べたらかなりラフな物でしたが、
    解説を読んだら「へえ!そうかあ~」と思いました。
    確かに政治色が今回は全く無いなと思ったけれど、
    深読みしたらそうなるのね。ほうほう。

    個人的にはもっと!エド・レヴァインさんを!!

  • ニールケアリーシリーズの四作目。
    強烈なキャラの女性が登場。っていうか、前作で出会った恋人も魅力的だし、敵役!?とも思われた女性も一本筋が通っていてカッコいい。対して男性陣、残念なことにニールはじめ(最後にはやっぱりらしさ、炸裂!)みんな、イマイチ分からない~~立ち位置が紛らわしい、読み込みにくかったけど。
    この本は女性の立場からは楽しかったですが、あら?ニールお得意の潜入操作がなかったなぁ~

  • 学生の頃に読んで、大好きだった「ストリートキッズ」から続くニール・ケアリーシリーズ。
    この本は初めて行った奄美大島での一人旅のお伴として持って行きました。
    正直、「ストリートキッズ」ほどの読後感はないけれど、ニール・ケアリーファンとしては、ニール・ケアリーのセリフや活躍が読めること自体が楽しんでしまえる。
    久しぶりのニール・ケアリーに会えて満足な一冊。

  • 外国の小説らしいユーモアと皮肉がきいていて、面白かった。
    シリーズものらしいんでこれ以前のも読んでみたい。

  • 「やあ、父さん。」でおなじみの4作目。残念なのは、3作目も今回も、1作目のニールが伝授された探偵スキルは全然使われないこと。2作目は政治的な薀蓄が多かったので、それでやむを得なく出てこないのかと思っていたが、その後もニールの高いスキルは発揮されない。4作目の背景のスキャンダルとその解決のためのドタバタはいかにもな展開でそれなりに楽しいが、主人公の魅力は特に感じられない。元凶のオンナのアホなしゃべりの訳は面白かった。段々と上手くなるニュアンスもがんばっていたと思われる。

  • 前作は暗くて暗くてしょうがなかったけど、 
    今回は軽快に話が進んでよかった~。 
    ニールとグレアムの擬似親子関係や 
    登場人物の会話の言い回しが相変わらず素敵。 

    「簡単な仕事だ、坊主」 

    老舗銀行の顧客の利益を守る工作員グレアムが 
    ニールに持ってきた話は、 
    レイプ被害者ポリーを裁判で証言できるようになるまで 
    きれいな英語を教えるという任務。 

    マイ・フェア・レディのパロディも入っててうれしかった。 
    (←私はマイ・フェア・レディ好き) 

  • ニール・ケアリーシリーズの第4作。とにかく笑えるシーンが多い。表現は下品だが、よく読むとなかなか上質な笑いで、ウィットに富んだ作品だと思う。プロットも相変わらず秀逸。主人公の存在感がやや薄いのが惜しいかな。

  • ネバダの片田舎リーノーで恋人カレンと静かに暮らしていた二ールの元に、「父さん」ジョー・グレアムが朋友会の仕事を持ち込んだ。
    テレビの司会者ジャックにレイプされたという、ジャックの元愛人のポリーを保護し、裁判できちんと話せるように教育しろという。
    しかし、実際はただのゴシップではなく組織犯罪がらみの事件だった。

    探偵二ール・ケアリーのシリーズ4作目。今回はゴシップにテレビ、「マイフェアレディ」のような展開、レジャーランド、マフィアに株主と錚々たるエンターテイメントぶり。
    ちょっとご都合主義なところもあったけど、テンポも良くて面白かった!二ールも相変わらずちょっと情けなくてずる賢くて良かった。
    これが一応最終巻らしいのでさみしい…。
    あと後日談?番外編みたいなのが一冊あるらしいのでそれを楽しみにしたい。

  • ニール・ケアリーシリーズの第4作目。
    第3作目の「高く孤独な道を行け」で、主人公のニールの人物像が変わってしまって、ややがっかりした、という感想を書いたけれども、この4作目ではニールの人物像に違和感を感じなかった。作風はややコミカルな感じになっているけれども、元々シリーズが持っていたミステリーとしての魅力も戻ってきており、3作目に比較すると楽しく読めた作品。

    バンコクの洪水騒ぎによって、バンコクを脱出し工場の方で勤務をするようになって、そろそろ1ケ月近くが経つ。その間、ようやくバンコクの洪水も終息の方向に向かいつつあるように感じる。まだ油断は出来ないけれども、あと1-2週間くらいでバンコク都内の水は引くのではないか、という論調が主流になりつつあるようだ。僕がバンコクで居住しているアパートは、結局、浸水被害に会わずに済みそうだ。
    しかし、工場近辺のホテル住まいは、そろそろ飽きてきた。平日はいずれにせよ仕事中心の生活なので、バンコクにいようが地方にいようが大きな違いは生活上、実際には大きくないのだけれども、それでも、やっぱりバンコクが良い。早く戻りたい。

  • シリーズものだけれど、今回は前作までとは趣が異なる。
    かなりコミカル路線。

    戸惑いもあったけれど、愛着ができているだけに楽しく読んだ。

    ストーリーがちょっとお粗末なのは残念だった。
    平穏な生活に手が届きそうになると人生はつまらなくなるということの暗示なのか。

  • ニール・ケアリーシリーズ4作目。
    ううむ…3作目までとってもおもしろかったのだけど…誰が誰の命令で何をしているかがごちゃごちゃしてて、私には分かりづらく、思わず関係図を書いてしまった(笑)。
    もしかすると、ニールが素敵なパートナーを得て、精神的な深い葛藤のなかにいないから、いまいちなのか?!

  • 待ちに待った、ドン・ウィンズロウのニール・ケアリーシリーズ最新刊。原作はとっくにシリーズ終了しているらしいのに、なぜ翻訳が出ないのか……と思っていたのだが。もしかして、登場人物のすっごい訛りが原因だったのか?なんて。しかしそのくらい、今回の事件の当事者、ポリーの訛りはすごいのだ。


    それから、今作は、主要な登場人物誰もが引退を考える。ニールも(彼はいつもだけど)、エドも、キタリッジも。物語の時代背景も一気に80年代に入ったのだが、そのせいだとは思わないが、これまでの、ユーモアはあるけどシリアスな雰囲気は影をひそめ、マンガチックなドタバタが続いていく。


    たしかに、これまでの作品に比べたら……ちょっとあっけなく、ボリュームも少なく終わる感じかもしれない。でも、このこの作品がケアリーシリーズの一区切りだと思えば、お祝いもかねてそれも納得じゃないかと思うのだ。個人的には、ずっと続いてほしかったけど。


    別作品「歓喜の島」の主役、ウォルター・ウィザーズが、落ちぶれたアル中の探偵として登場しているのが切ない。ウィンズロウは、この作品で作ったウォルターが気に入って「歓喜の島」に登場させたらしいのだが、それだけによけい、「歓喜の島」でのウォルターのスマートさがまぶしすぎて……この作品のウォルターはあまりにも滑稽で哀れだ。


    解説がけっこうおもしろかったのも今回の特典。シリーズ最終作の5作目は後日談的だそうなので、5作目はけっこうすぐに出るかしら。

  • 前作の『高く孤独な道を行け』もそうだったが、前半はいい。一見簡単な仕事に一筋縄ではいかない要素が加わっていく中での、皮肉と軽口の応酬。

    でも後半だんだん話が雑になってくる。

    たくさんの糸がからまりあって、からまりすぎて、こんがらがってしまったのをむりやり引きほぐされたような印象を受ける。まあ、えてしてドタバタものはそんな印象なので、そういう系統のものとして読めば全うな流れなのかもしれない。

    でも期待するのはそんな話じゃないんだよなぁ。

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著者プロフィール

ニューヨークをはじめとする全米各地やロンドンで私立探偵として働き、法律事務所や保険会社のコンサルタントとして15年以上の経験を持つ。

「2016年 『ザ・カルテル 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ドン・ウィンズロウの作品

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