フロスト気質 上 (創元推理文庫 M ウ)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488291044

感想・レビュー・書評

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  • フロスト警部シリーズの4作目。5年ぶりに新作を読んだが、やはり面白い。文庫本上下巻合わせて、900ページ程度の長い作品。今、上巻を読み終えたところだが、長さはまったく気にならない。
    フロスト警部シリーズはいわゆるモジュール型警察小説。複数の独立した小さい事件がひとつの作品に収められている。登場人物も多く、またそれぞれの事件に関連性がないので、時間をかけて読んでいると筋を忘れてしまう。読む側にとっては、事件ごとに連作小説にしてくれた方が簡単とも思うが、それではフロスト警部の仕事中毒ぶりや職場の異常な環境が伝わってこない。
    今回も、連続幼児刺傷事件、少年の遺体棄却事件、少女誘拐事件、母子殺人事件と忙しい。謎解きとは違ったミステリー。ただし、好き嫌いは分かれると思う。個人的には好きなシリーズ。しかし著者のR・D・ウィングフィールド氏は2007年に前立腺がんで死去。遺されたフロスト警部は6作までというのは寂しい。

  • 待ってました〜のジャック・フロスト警部もの。
    相変わらず小汚い格好の仕事中毒、どこでも下ネタを連発、上司のたばこを盗むわ、セクハラもするわの困った親父ぶり。
    警察上層部が会合後に交通事故で入院という異例な事態に、かって確執のあった同僚キャシディが警部代行として派遣されてくる。
    今回、フロストとコンビを組むのは、冷静な若い女性の部長刑事リズ・モード。嬢ちゃん呼ばわりに頭に来つつ、フロストの苦手な面をフォローしてくれるのでけっこう良い組み合わせかも。
    捜査も時にはめちゃくちゃになるが、混乱しつつもしっかり働く。そして、インチキはお手の物なので、人情溢れる采配も。

  • 相変わらず人員不足のデントン警察署。フロスト警部もせっかく休暇中だったのにやっぱり駆り出されて…。
    毎度のことながら、これでもかこれでもか!っていうほど事件が次から次へと鬼のように舞い込みます。そしてどんなに凄惨な事件だろうとフロスト警部の悪趣味なジョークも健在でホント笑わかしてくれます。映像化されてはいるけれど下ネタはどこまで省かれているのかな? 

    ちょっと文庫サイズにしちゃ、お値段高めだけれど。
    残り2作も翻訳されると良いな

  • 「いいか、若造、おれのことをよく知らないようだから、教えてやろう。おれはジャック・フロストという者だ。いちおうお巡りをしてるけど、あまりいいお巡りじゃないし、それほど優秀なお巡りでもない。それでもお巡りとしてやっていくには、ときには多少は横着で強引なこともせざるを得なくなってくる。容疑者を確実に刑務所(ムショ)送りにしてやるために、嘘のひとつやふたつ、つかなくっちゃならないときもある。だから、今回のことでも、おまえのようなくそ小生意気なふやけた若造をぶち込んでやるためにどうしても必要だってことになりゃ、嘘なんていくらでもついてやる。その程度のことじゃ、おれの胸はこれっぽっちも痛まない。そりゃ、そうだろう? どうせおまえが犯人なんだから」

    2023/1/22読了
    毎度の事件、事件の波状攻撃。一つのトラブルが解決する前に、次のトラブルが起るのが珍しくないのは、医療現場も同じこと。昔はただただ笑っていたけど、いや、今でも笑うけど、フロスト警部の苦労が他人事とは思えなくなってきていることに気付かされた。

  • ハロウィーンの夜、ゴミの山から少年の死体が発見されたのを手始めに、デントン市内で続発する難事件。連続幼児殺傷犯が罪を重ね、15歳の少女は誘拐され、謎の腐乱死体が見つかる……。これら事件の陣頭指揮に精を出すのは、ご存じ天下御免の仕事中毒、ジャック・フロスト警部。勝ち気な女性部長刑事を従えて、休暇返上で働く警部の雄姿をとくと見よ! 大人気シリーズ第4弾。
    原題:Hard Frost
    (1995年)
    — 目次 —-
    プロローグ
    第一章
    第二章
    第三章
    第四章
    第五章
    第六章
    第七章
    第八章
    第九章
    第十章

  • 今回のフロストの相棒(?)は、
    若き野心家女性部長刑事リズ・モード
    そして、デントンに一時的だが出戻りのジム・キャシディ
    なんとも仲の悪そうな3人組である。

    リズもキャシディもあわよくば自分の功績にしたいという考えありあり。
    フロスト的には、どうぞどうぞ な はずなのに、
    なんだかんだで、ちょいちょい口出しというか、新たな発見というかをしてしまって、嫌な顔されちゃう。
    でもね、二人とも、よく思い出してみて。
    フロストの方が一応、上司ではあるのよ。

    いつもの署員の面々は、フロストに好意的。
    むしろ、案外頼りにしてる感ありあり。
    下品で口は悪いけど、神経はまともで、案外情にあつくてもろいもんね。

    今回も事件が渋滞しています。
    ・幼児の皮膚をちょこっと傷つける連続事件
     (マレットの友人宅も被害に遭う)
    ・ディーン・アンダースン殺害
    ・ボビー・カーヴィ行方不明
    ・スタンフォード家の盗難と娘誘拐身代金要求
    ・ミラー夫人宅に窃盗 
    ・レミー・ホクストン殺害
    ・ジュディ・グリースン行方不明
    ・母子4人殺害
    ・エミリー・ロバーツ恐喝されていた

    毎度、事件がひとつ起こると、捜査している間に、次から次へと、関連があるんだかないんだかわからない事件がどんどん集まってくる。
    フロストが捜査してるといつもこう。
    巻き込まれる同署の皆さん、お疲れ様でございます。

    いつも分厚い一冊だったけど、今回は、更に分厚すぎて一冊にはできなかったんですね。上下に分かれてます。
    そうよね、足すと906頁ですもんね。
    ひとまず、半分のうちに、解明した事件もありますが、大物は下巻に持ち越し。
    実際、下巻=あと半分 あるわけですから、相手がフロスト警部なので、更に事件が増える可能性大ってことですよね?ね?

    とりあえず、まだ、生きているはずのボビー君が無事に見つけられる事を祈りながら下巻読み始めようと思います。

    あ、関係ないけど、マレット署長とドライズデール検屍官のファーストネームが明らかになりましたw
    アレン警部はまだわからないまま。
    わからないといえば、シムズ巡査もそうだよねー。

  • イギリスの作家「R・D・ウィングフィールド」の長篇ミステリ作品『フロスト気質(かたぎ)(原題:Hard Frost)』を読みました。

    『クリスマスのフロスト』、『フロスト日和』に続き、「R・D・ウィングフィールド」作品です。

    -----story-------------
    さすがの名物警部もKO寸前!?
    大人気シリーズ第4弾

    〈上〉
    ハロウィーンの夜、ゴミの山から少年の死体が発見されたのを手始めに、デントン市内で続発する難事件。
    連続幼児刺傷犯が罪を重ね、15歳の少女は誘拐され、謎の腐乱死体が見つかる…。
    これら事件の陣頭指揮に精を出すのは、ご存じ天下御免の仕事中毒、「ジャック・フロスト警部」。
    勝ち気な女性部長刑事を従えて、休暇返上で働く警部の雄姿をとくと見よ!
    大人気シリーズ第4弾。
    *『読売新聞』08年8月12日朝刊に、同紙文化部「佐藤憲一」氏による紹介が掲載。
    *第1位『週刊文春』「2008ミステリーベスト10」/海外部門

    〈下〉
    「カーヴィ少年」の失踪は誘拐事件に変貌した。
    身代金受け渡しの場へと急行する「フロスト警部」だが、その鼻先で事態は思わぬ展開を見せる。
    はたして少年の安否は…?
    母子四人殺害をはじめ、事件は山積みで、警部の疲労と「マレット署長」の不機嫌は募るばかり。
    「キャシディ警部代行」との仲も悪化する一方だ。
    悪態をつきつつ雨中を駆けずりまわる警部に、光明は訪れるのか。
    解説=「荻原浩」
    -----------------------

    1995年(平成7年)に発表された作品で、イギリスの架空の地方都市デントン市を舞台にした警察小説、「ジャック・フロスト警部」シリーズの第4作目にあたる作品です… 今回はなんと上下巻で900ページ超の大作、どんどん分厚くなり、同時多発的に発生する事件も大幅に増え、複雑さを増していますね、、、

    でも、その分だけ読後のスッキリ感も増してる感じです… 面白かったー。


    ハロウィーンの夜、7歳の少年「ボビー・カービィ」が行方不明になったとの報を受けて巡回中の新米巡査「マイク・パッカー」が、ゴミの中から全裸で右手の小指を切断された少年の死体を発見したのを手始めに、立て続けに事件が発生… 幼児ばかりを刃物で傷つけてまわる連続幼児刺傷犯が新たな罪を重ねれば、誘拐された15歳の少女「キャロル・スタンフィールド」が全裸の状態で保護され、さらには信憑性の点で大いに疑問の残る侵入窃盗事件や盗まれた夫の形見の勲章を捜してくれという老婦人の訴えや、廃屋となった住居の石炭貯蔵庫で身元不明の腐乱死体が出てくるなど、ほかにも大小さまざま取り混ぜて、事件がデントンの町を賑わせる、、、

    毎度毎回、人手不足に悩まされているデントン署は、「アラン警部」が主任警部代行としてグリーンフォード署の応援に徴用される等の事情から捜査の指揮を執るべき幹部連が払底してしまい、休暇を満喫していたはずの「フロスト警部」に出動を要請することにに… 果たして「フロスト警部」は、これらてんこ盛りの事件を無事に解決まで導くことができるのか?

    柄や功績には全く興味が無く、とにかく被害者のため、事件解決のために奔走する「フロスト警部」は、勝ち気な女性部長刑事で“ワンダー・ウーマン”の異名を持つ「リズ・モード」と、過去にデントン署に在籍していた出世の鬼で、自分の娘が轢き逃げで死亡した事件に関して「フロスト警部」と浅からぬ因縁がある「ジム・キャシディ警部代行」の二人の部下の相手をしながら捜査を進めていくが、そんな中、幼児三人とその母親が殺害される事件まで勃発… 捜査は錯綜するが、「フロスト警部」は、署内での宿敵である嫌味な「マレット署長」や、「フロスト警部」を毛嫌いし、自らの手柄や功績のためにしか行動しない「キャシディ警部代行」に足を引っ張られながらも、一つひとつの事件を解決していく、、、

    今回も、一見、無関係に思えた事件が微妙にリンクし、連鎖することで、一気に解決していく展開が心地良かったですねぇ… そして、「フロスト警部」と、「モード部長刑事」や「キャシディ警部代行」との関係の変化も読みどころのひとつでした、、、

    そして、これまで読んだ作品以上に、「フロスト警部」の、被害者の家族や同情すべき小悪党への優しさが描かれていた感じがしましたね… 義理と人情を感じさせるところがイイんですよね。



    以下、主な登場人物です。

    「ジャック・フロスト」
     警部。主人公

    「リズ・モード」
     部長刑事

    「アーサー・ハンロン」
     部長刑事

    「ビル・ウェルズ」
     巡査部長

    「ジョニー・ジョンスン」
     巡査部長

    「ジョー・バートン」
     刑事

    「ランバート」
     巡査

    「レジナルド(レジー)・エヴァンズ」
     巡査

    「ケン・ジョーダン」
     巡査

    「シムズ」
     巡査

    「ジョン・コリアー」
     巡査部長

    「スタンレー・マレット」
     警視。デントン警察署長

    「アレン」
     警部

    「ジム・キャシディ」
     警部代行

    「サミュエル・ドライズデール」
     検屍官

    「トニー・ハーディング」
     鑑識チームの責任者

    「ボビー・カービィ」
     行方不明の少年。七歳

    「ウェンディ・カービィ」
     ボビーの母親

    「ハリー・カービィ」
     ボビーの父親

    「ロバート・スタンフィールド」
     中古車販売業者

    「マーガレット・スタンフィールド」
     ロバートの妻

    「キャロル・スタンフィールド」
     ロバートの娘。十五歳

    「ディーン・アンダースン」
     八歳の少年

    「ジョイ・アンダースン」
     ディーンの母親

    「ハリー・バスキン」
     《ココナツ・グローヴ》の経営者

    「レミー・ホクストン」
     前科者

    「マギー・ホクストン」
     レミーの妻

    「シドニー・スネル」
     前科者

    「マーク・グローヴァー」
     内装業者

    「ナンシー・グローヴァー」
     マークの妻

    「フィル・コラード」
     マークの同僚

    「サンディ・レイン」
     『デントン・エコー』紙の記者

    「リチャード・コードウェル卿」
     スーパー《セイヴァロット》の経営者

    「トミー・ダン」
     《セイヴァロット》の警備員

    「トレーシー・ニール」
     デントン・グラマー校の生徒

    「イアン・グラフトン」
     トレーシーの恋人

    「エミリー・ロバーツ」
     マレット警視の友人

    「ダグラス(ダギー)・クーパー」
     前科者

    「ヘンリー・アラン・フィンチ」
     会計士

    「ミリセント(ミリー)・フレミング」
     プリムローズ・コテージの住人

    「ジュリー・フレミング」
     看護師。ミリセントの妹

    「ポール・ミルトン」
     <ボンレイズ百貨店>の警備員

    「クレイグ・ハドスン」
     若い男

  • 感想は下巻で。

  • 久しぶりのフロスト警部。翻訳が素晴らしいということに気がついた。
    相変わらず次々と事件が起きる。そして恵まれない社会の底辺に近い人々が多く出てくるが湿っぽくならず生き生きと描かれている。
    こんなに長いのに細々した印象がなく楽しく読める。面白い。

  • とにかく大谷の活躍でまったく本が読めなくなって困っていた所、何をトチ狂ったのかNHKさんがMLB中継を止めてオリンピック放送に切り替えてしまったので、何十日ぶりかの読書。
    といっても、並の面白さならすぐ頭が二刀流一色になっちゃうので、鉄板もののフロストを。
    2008年以来の再読になるが、今回もやっぱり「きしつ」と読んじゃう。
    なかなか「カタギ」が馴染んでくれないが、読んでもタイトルの意味は判然とせず。

    巧いなぁと惹き付けられたのは、休暇中のフロストが難事件解決に引っ張り出される導入部。タバコが切れたからって、ね。
    タバコが切れたんで署長の執務室からクスねようと、恋人を待たせたままフラッと署に寄ったのが運のツキで、殺人事件の捜査を押しつけられることになるのだが、休暇中なんだから臨時で明日になれば交代してくれよとボヤいても、そこはそれデントン署のこと、あれよあれよと休暇は召し上げになり、代理が取れてしまう。

    だけど本人実は、休暇返上もさして苦にならず、面倒事は逃げの一手なのだが、どこか寂しがり屋で、現場で笑えない冗談を話してるのがほんと大好き。
    部下の報告も上の空で聞いているのだけど、肝心な所で思い出すところなんかイイわ。

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