冬のフロスト 下 (創元推理文庫)

制作 : 芹澤 恵 
  • 東京創元社
4.17
  • (65)
  • (68)
  • (29)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 411
レビュー : 46
  • Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488291075

作品紹介・あらすじ

デントン市内で起きた事件は大半が未解決のまま。署に州警察本部の調査が入るわ、“超能力者”が押しかけるわで事態はまさに八方ふさがり……フロスト警部、ついに降参か!?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • フロスト警部シリーズ第5作、下巻。
    面白かったです!

    人員不足のさなかに次から次へと起きる事件は、硬軟取り混ぜた種類の雑多さがにぎやかで、テンポよく描かれるために事件のひどさはいつまでも残りはしない。
    深刻な事態の中で睡眠不足になりつつも、とんでもないジョークを飛ばして皆をあきれさせるフロスト警部。
    これぐらいタフじゃないと、警官なんてやってられないかも?
    何しろ陣頭指揮をとれるのはフロスト警部ぐらい。

    気が合わないマレット署長は、捜査の失敗をフロストを左遷させる機会ととらえるのだが‥そうは問屋がおろさない?
    どう転ぶかわからない展開で読ませます。
    ふとした機会に見せるフロスト警部の心配りが印象的。
    訳文もいいので、気分よく読み終われました!

  • 自分からはフロスト大好き、とはなんだか言い難いが、
    誰かが読んでいるのを見たら、話しかけたい。

    この間、高田馬場の本屋さんで、
    発売日直後に「冬のフロスト」平積み一直線で
    パパッと上下巻つかんでレジへ向かった男性に、
    「私も買ったよ、アマゾンで!郵便屋さんが持ち帰ってくれちゃって
    お届け待ちだよ!」と告げたかったけど、
    もちろん言えなかった、ので、テレパシー送信。

    このシリーズのどこが好きなんだろう?と自問自答。

    フロストは見た目バッチィし、
    下品だし(割とそっち方面に寛容な私でも、う~ん、となる部分もあり)、
    女好きではあるが特にもてはしない。
    捜査もわりと行き当たりばったりのごり押しで、
    偶然解決、ということも多々ある。

    捜査にのめりこみ、被害者に感情移入する…といっても、
    小説の世界の刑事、探偵なら通常レベル。

    でも、くせになるんだよね…。

    ねえ、私!、いったいどこが好きなの?!

    嫌な上司(マレット!!!)に時にうまいこと反撃するところ?
    出世欲がないところ?
    部下に慕われているところ?
    なにやら急に感傷的になるところ?

    答えは出ませぬが、面白いことにしばしのめり込みたい方は
    是非どうぞ。


    ストーリーは…、
    ストーリーを語る種類の小説では無い気がするので、省略!

  • 好きだなあ、フロスト。何でこんな、二言目には(いや一言目から)下ネタセクハラ発言ばっかりのさえないオヤジが好ましいのか、自分でもわからん。この新作は本当に楽しみにしていて、一気読みできる日まで寝かせておいたのだ。

    で、フロストは相変わらずフロストだった。捜査は行き当たりばったり、大嘘ついて自白を迫り、くだらなーいジョークを連発し、不眠不休のワーカホリック、よれよれの風体で顰蹙を買いまくる。このシリーズはどれもいわゆるモジュラー型で、大小取り混ぜいろいろな事件が起こるのだが、今回はシリーズ最長だそうで、次から次から事件のてんこ盛り、デントン署は大忙しだ。

    もちろん最後にはどれも解決するわけだけれど、別にフロストの推理がさえていたからとか、勇敢な行動があったから、というわけではない。そこが面白い。勝手に犯人の方から自白してくれたり、棚ぼた式に一丁上がりとなるものもあったりして、ニヤニヤしてしまう。どの「真相」もなるほどと思うもので、まったくうまい。

    もちろん、そうして「解決」するのはちいさなヤマで、娼婦を狙った連続殺人事件と、子どもの行方不明事件はそういうわけにはいかない。ここではフロストの直感と、絶対に諦めないブルドーザーのごとき突進力がものを言う。今思ったのだが、あの刑事コロンボをうんと下品にして、名推理を抜いて、後先考えない行動力をくっつけたら、フロストのイメージに近いかも。いやあ、とんでもないな。

    それにしても、読むことそのものがこれほど楽しいミステリーもそうはない。大小の事件の決着がどうなるかという興味だけではなくて、フロストの言動一つ一つに、おかしさと人間味があって魅力的だ。フロストが、殺された旧知の売春婦セアラの若い日のことを語る場面と、九死に一生を得たリズ・モード警部代行に示した思いやりが心に残った。

  • 約1000Pの至福の読書タイム。
    大事に読みたかったけど、一気に読んでしもた。。

  • 相変わらずの面白さだが流石にワンパターンになってきた感があり。マンネリ=安定感であり、自分としては肯定的ですけど。フロストは署長の理不尽な叱責にもめげず諦めない責任感・正義感があるが、一方で捜査手法は適当でそのギャップがシリーズを追うごとに大きくなっている。ユーモア小説ではなくユーモアのある主人公がハードでシリアスな事件に翻弄されるハードボイルド小説として読み終えました。

  • 危機一髪から始まった下巻。最後まで大忙しのフロスト警部ですが、本編は本当に最後の最後まで引っ張ります。フロストの、身内に見せる優しさや情も見どころ。

  • 評価はおまけで。

    あいかわらずのユーモアが大好き。

  •  フロストを読むのは実に久しぶり。何を隠そう17年ぶりにこのシリーズの中二作をすっ飛ばして最新翻訳作品に卑しくも手を伸ばしてしまったのだ。そしてこのシリーズの凄みに、まるで今初めて出会ったばかりのように、ぼくは改めて驚愕するのだ。そしてこのシリーズへの評価を新たにする。そしてその手応えの確かさに酔い痴れる。

     このシリーズ、いちいち分厚い翻訳小説である。この厚みと丁寧な翻訳の手仕事こそが、フロストシリーズの翻訳を難航させているのだろうなあ。何しろ、この作品だって、イギリスで刊行されて14年目にして日本にその翻訳の成果が披露されるわけだから。今時の14年と言えば決して短くはなかろう。携帯電話だってコンピュータだって、自動車だって、輸送機関だって、もしかしたら紛争地帯の国境だって、その頃と今ではまるで違ったものに変わっていやしないだろうか? 警察小説ということで言うならば、捜査技術そのものだって変貌を遂げているかもしれないのだ。CSIみたいに科学捜査技術が最前線で活躍する、というような。

     そういう意味で言えば、このシリーズはある意味古き良き時代の警察小説であるのかもしれない。そんな時代背景の中で今と決して変わらないものを読み、発見することができるから、今と同じ面白さやスリルやぶつかり合いを見ることができるから、このシリーズは人気を博してやまないのかもしれない。

     確かに犯罪者が犯罪に来る心理や、犯罪を構成する世の中の仕組みであったり、警察官が有する犯罪を憎む心情といったものは、時代を超えた普遍のものであるかもしれない。フロストは殺人事件の被害者の惨状に眼を背けず、犯人を憎む気持ちに拍車をかけて、疲れた体に鞭を打ち続ける。誰かがやらねばならないのだ。犯人の手首にお縄をかける仕事を。冬の真夜中の寒さの中だろうと、寝不足が連続する状況の中であろうと、人は足りず、警察組織は検挙率表を手にフロストの背に迫ってくるのだ。

     そんな辛い過酷な状況を笑い飛ばすかのようにして、下品でユーモラス極まなりない、マイペース刑事部長フロストの活躍は、休むことなく続く。事件は次々とデントンの街に沸き起こり、フロストの行動は止むことを知らない。スラップスティックのブラックな味わいで全体を明るく進行させながら、様々な人間模様を、同時多発的複数事件の捜査を通して描き切るこの作家の筆力を今さら語る必要もあるまい。放送作家としてならした途切れのない娯楽作品作りのコツを有しているとしか言い様がない。

     今回も、モジュラー型小説と言われる多様な捜査描写が凄い。少女連続誘拐事件、売春婦連続殺害事件、ショットガン強盗、フーリガンの一団、怪盗<枕カバー>、等々。毎日のように死体発見現場に向かい、翌朝は必ずのように検死解剖に立ち合い、マレット署長の小言から逃れ、交通費の割増請求をやりくりし、若い無能なスタッフを庇いつつ、署内捜査スタッフを切り盛りする手練の腕前がとにかく凄い。まさにジャック・フロストではなくては務まらない、奮闘ぶりに喝采である。

     ちなみにデントンはシェフィールド、リーズ、リバプールで描く三角形の丁度真ん中に位置するロンドンよりはだいぶ北部の街。ウィングフィールドは2007年に世を去っているが、残り一作の未訳が残され、これも過去作品同様に日本の読者に期待されている。本シリーズは『フロスト警部』の名でTVドラマ化されており、日本ではスカパーなどのミステリチャンネルで放映されてきた様であり、ぼくはこれを見る機会に浴していない。

  • はっきり言って扱われてる事件は、半端なくエグイ物語です。冒頭から、少女行方不明事件、強盗事件、果ては売春婦殺人は、連続事件に発展し。次から次へとデントン警察、つまりはフロスト警部の肩にのしかかってきます。このようなミステリーはモジュラー型警察小説と言われているそうですが、このフロストシリーズは、その中でも面白さは群を抜いていて、読んだことのない人にもお勧めしたいです。

    事件はひどいが、あえて面白いと言ってしまうのは、

    1. 圧倒的なスピード感、物語の面白さ、文章の面白さです。(これには翻訳者の功績大です)
    この小説は、間違っているかも知れませんが、昔の東宝映画、社長シリーズや無責任男の警察バージョンではないかと勝手に思ってたりしています。

    2.やはり主人公フロストの魅力につきます。むさ苦しい恰好と風采、いつも下品な冗談ばかり。しかしそこには、確固とした信念があり、血や肉が通っている人間として見事に描かれています。天敵なマレット署長や容疑者に対して屁ともしないフロストは実にカッコよく、痛快でさえあります。
    個人的には、日本で言うとイメージは俳優の伊藤四朗さんなのですが、どうでしょうか?


    3.フロストだけでなくデントン署の面々も実に生きいきと描かれています。女性警部代行に対して敵愾心を持つ、ビル・ウェルズ巡査部長から規則にこだわり続ける眼鏡猿マレット署長までここに登場する全ての人が人間的に描かれているのは素晴らしく、またフロストとのやり取りが実に楽しく
    笑ったり、時に溜飲を下げること請け合いです。

  • あぁおもしろかった。
    今回は前代未聞に冴えない刑事、モーガンにさんざん尻拭いをさせられる哀れなフロスト警部・・・。
    でもそんなダメな部下の失態も自分の落ち度として落ち込む彼が素敵です。

    1つのストーリーの中で、沢山の事件が並行して起こる形式は
    ミステリではあんまりないよなー。
    あってもこんなに面白い小説は他に知らない。

    何と言ってもフロスト警部の人間味あふれる人柄と、下品なジョークがたまらない。
    全体的にコミカルな雰囲気で話が進んでいくのも読んでて飽きません。
    作者はもう他界されているので、翻訳されて新刊で出てくるのはあと1作・・・。
    残念でなりません。

全46件中 1 - 10件を表示

冬のフロスト 下 (創元推理文庫)のその他の作品

冬のフロスト 下 (創元推理文庫) Kindle版 冬のフロスト 下 (創元推理文庫) R・D・ウィングフィールド

R・D・ウィングフィールドの作品

冬のフロスト 下 (創元推理文庫)を本棚に登録しているひと

ツイートする