日本探偵小説全集〈1〉黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集 (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (764ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488400019

感想・レビュー・書評

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  • 黒岩涙香集は、ややとっつきに苦労しました。会話・改行ほぼなしの活字べったり。さらに古めかしい文体。活字嫌いならめまいがしそうです(笑)。でも頑張って読んでみたら、面白い! 謎解きの面白さもさながら、「無惨」の探偵対決はコミカルですらありました。
    小酒井不木集では「痴人の復讐」がとんでもなく恐ろしくって印象的でした。これは嫌だなあ……いくらなんでもそれはない! 「恋愛曲線」のラストにもやられました。
    そして甲賀三郎集。メインとなる「支倉事件」は実際の事件をモチーフにしているようですが。これがまあなんとも読み応えたっぷり。支倉のキャラが凄まじいったら。それに対抗する警察の奮闘っぷりと紛糾する真実の追求も一層物語の展開に拍車をかけるのだけれど。まさかこういう結末だとは。
    短編「蜘蛛」も面白かったなあ。作品の雰囲気も好きだけれど、なんといってもこの大仕掛け! やっぱりこういうミステリが大好きです。

  • 海外作品の翻案で知られる黒岩涙香の創作「無残」は、日本探偵小説史の嚆矢といってよく、この全集12巻の始まりを飾るにふさわしい作品。
    また、医学と文学の融合がたくみな小酒井不木の傑作短編、本格派の筆頭ともいわれる甲賀三郎の出世作「琥珀のパイプ」だけでなく、実話をもとにした長編「支倉事件」をも収録する。
    「支倉事件」は、事件としては複雑なものではないかもしれないが、犯罪の発覚から逮捕、断罪までが描かれる中で、被疑者の心の変化を追う犯罪心理小説として日本探偵小説の白眉ともいえる傑作と思えた。

  • <pre><b>日本探偵小説の嚆矢といえる黒岩涙香の「無惨」に
    始まり、翻訳、研究にも大きな足跡を残した小酒井
    不木の「闘争」ほかの代表作を配し、乱歩・宇陀児
    と並ぶ三羽烏といわれた甲賀三郎の力作長編「支倉
    事件」「黄鳥の嘆き」等を収めた探偵小説ファン待
    望の一冊。全巻に中島河太郎編の著者略年譜を付し
    た。解説・中島河太郎 挿絵・高井貞二</b>
    (出版社/著者からの内容紹介 より)

    資料番号:011269917
    請求記号:F/ニ/1
    形態:図書</pre>

  • 黒岩涙香・無惨・血の文字
    小酒井不木・痴人の復讐・恋愛曲線・愚人の毒・闘争
    甲賀三郎・琥珀のパイプ・支倉事件・蜘蛛・黄鳥の嘆き・青服の男

    黒岩涙香は読むのに必死でした

  • 【黒岩涙香集】
    お気に入りは「血の文字」

    無惨
    句読点と改行がほぼなくてつらそうって第一印象
    身元不明の死体から犯人と犯行現場をそれぞれ推理するベテランと新人の2人の探偵の話
    推理が2回聞けてお得な気分!ベテランの方は運に左右されたんではないかなとも思う
    茲(ここ)だの爾(そう)だの夫(それ)だの初回使用時のふりがなを忘れると厳しい漢字がいっぱいあったから一気に読んだらそれが功を奏して面白かった
    ────
    血の文字
    犯人でない人物が犯人だと自白をしたのを捜査する話 バディものの雰囲気
    被害者の利き手確認しないでいいのかなあと思ってたら解決時にちゃんと突っ込まれてた
    即死だったんなら血文字を書けないんだし利き手確認しなくてもまあいいのかもしれないけど

    【小酒井不木集】
    お気に入りは「愚人の毒」

    痴人の復讐
    こういうのも倒叙モノに分類されるのかな?
    ちょっと先が読めてしまったけど短くて読みやすくはあった
    ────
    恋愛曲線
    いや…怖いわ……
    医学的な説明が淡々とつづられててわかりやすかったと同時にあまり想像したくないのに想像してしまうことになりなんとも言えない気持ち
    にしても怖いわ……
    ────
    愚人の毒
    おもしろかった!完全に兄か弟かしか考えてなかったから意外な展開でよかった
    でもよくよく考えれば呼ばれた医者めっちゃ怪しいよな…
    もっと考えて読もうと思いました
    ────
    闘争
    個人的に暗示で行動を操る系はあんまり信じてないので、すっきりしない感じ
    トリック以外はおもしろかったから私たぶん小酒井不木好きなんだと思う

    【甲賀三郎集】
    お気に入りは「黄鳥の嘆き」

    琥珀のパイプ
    科学的なトリックで古くない感じ
    検事や警察が探偵役の推理をめちゃめちゃ信用してるのがメタ的に探偵小説始まったな…って感じする
    今思うと岩見が忍び込んだ理由をわからないって確信して言い切るあたり超真犯人
    ────
    支倉事件
    短編ばかりのなか400ページくらいある
    前中後篇構成とのこと
    章立てされてるから読むの中断しやすくていい
    前篇〜中篇は推理っていうか刑事モノって感じ
    犯人との攻防を通して警察を応援する気持ちになれる
    後篇はほぼ法廷モノでややだるく感じたが勢いで読めた
    支倉の狂気的な面や妄執的な面がたくさん書かれるから後味は前篇よりよくないかもしれない
    日本探偵小説全集1の中では唯一の長編だから読み応えあってよかった!
    ────
    蜘蛛
    ちょっとホラー要素入ってるのが好み
    にしてもこの時代にそんなカラクリ動かしてたら音とかでバレなかったのかな…?
    なにより電気代がやばそうだとおもいました
    ────
    黄鳥の嘆き
    読み終わってからもタイトルの意味がわからなかったので調べたら黄鳥というのはウグイスの異名だそうで納得
    偶然による入れ替わりなのに偽の叔父はよく黄鳥を調べることを思いついたなぁ
    ────
    青服の男
    一見怪しいとこのない事件が実は…という話
    なにより動機が気になる内容だった 大方わかっていたようでそれを上回られた感じ
    長さも読みやすくて好き

  • 黒岩涙香
    無惨
    血の文字

    小酒井不木
    痴人の復讐
    恋愛曲線
    愚人の毒
    闘争

    甲賀三郎
    琥珀のパイプ
    支倉事件
    蜘蛛
    黄鳥の嘆き
    青服の男

  • 黒岩涙香はなんとも。
    甲賀三郎は楽しかった。結構好きかも
    そして小酒井不木。
    うん、私この方好きらしいよw
    なんとも言えない読後感が良い。

    今のミステリ作家よりよほど楽しい
    ところで、黒岩涙香のあの読みにくさは一体…
    あの文体?苦手すぎたorz

    さ、読み直すかw

  • 黒岩涙香、甲賀三郎は他のアンソロジーなどで作品に触れたことがあったが、小酒井不木は初めて読んだ。収録された作品は4作品だけだが、小酒井作品はどれもが凄い。読んでいるうちにじわじわと恐怖が忍び寄ってくるような…「怪奇」と一言では片付けられない静かな恐ろしさがあり、魅せられた。

  • (収録作品)痴人の復讐(小酒井不木)/恋愛曲線(小酒井不木)/青服の男(甲賀三郎)/蜘蛛(甲賀三郎)/無惨(黒岩涙香)/琥珀のパイプ(甲賀三郎)/愚人の毒(小酒井不木)/血の文字(黒岩涙香)/支倉事件(甲賀三郎)/闘争(小酒井不木)/黄鳥の嘆き(甲賀三郎)

  • 001.初、並、カバスレ、帯なし。
    H.21.9/9.松阪BF.

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著者プロフィール

1862-1920。翻案小説家、作家、ジャーナリスト。日本近代小説誕生の礎。翻案の代表作に、ボアゴベー原作の『鉄仮面』など。

「2018年 『死美人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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