川に死体のある風景 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M ん 5-1)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488400545

作品紹介・あらすじ

光射す美しい川面に、ゆらゆらと死体が流れてくる。その死体にはいったいどんなドラマと謎があったのか-。東京の玉川上水を舞台に少年同士の愛憎を描く、歌野晶午「玉川上死」。『聖域』で活躍する山岳遭難救助隊が登場する、大倉崇裕「捜索者」。『女王国の城』の前日譚、木曾の桜川での事件を江神が鮮やかに解く、有栖川有栖「桜川のオフェーリア」など六篇収録のアンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 非常識な行いで社会に迷惑をかけている輩がヒーローと祭り上げられ、無遅刻無欠勤の者はつまらない人間だと謂れのない侮りを受ける昨今。刺激を求める世相が無節操な若者たちを増長させる。行動は日ごとエスカレートし正邪の区別を悉く曖昧にしていく。被害者とは加害者とは。視点をずらせばこれを180度変わってしまう。本当の真実とは奈辺にあるのか。複雑面妖なこのご時世、矯めつ眇めつあらゆる視点から事の本質を見出す審美眼が求められる。

  • なかなか豪華なラインナップ

    水死体というのは、非常にグロテスクというか、とても見れたモンじゃありません。しかし、ミステリーの題材としてのイメージとしては非常にきれいで、魅力的ですね。

    そういうイメージを突き詰めると、「桜川のオフィーリア」みたいな作品になるのでしょうか。

  • 川に死体のある風景をまず表現してストーリーが進むアンソロジー。どの作家さんも安定の上手さです。佳多山さんだけはこれはシリーズの中の一編目?ちょっと置いてきぼりを食らった感はあります。大倉さんはちゃんと最初に川に死体の風景を表現していますが山岳ミステリなので確かに山に死体のある風景でもありますね。「白虹」は読んでいますが山岳ミステリも本当に上手いのを再認識し「聖域」も読みたいと思いました。歌野さん、黒田さんの作品が本格好きとしては特に好みです。綾辻さんの書かれなかった幻のミステリも読んでみたかったです。

  • 6人の作家による川ミス短編集。有名作家さんばかりなのに全員初読み(汗)。流石の出来でどのお話もあとがき含め面白かったです。それぞれの方の代表作を読まなくては(積読本もあり)。

  • 歌野さんと有栖川さんに惹かれて読み始めましたが、まさにその二作に価値ある作品集でした。私にとっては。

    歌野さんの「玉川上死」はまさに歌野さん、という感じ。
    突然現れる死体も、そこから音を立てそうな唐突さで崩れる緊張感も、とっても面白かったです。
    最初からどんでん返しがある感じ。かつ最後にもあるんだから、もうこの人は本当に…という感じです。
    短編でここまで鮮やかに起承転結を描かれるのはすごいです。
    読み終えてから思い起こすと色々思うところがあるので、再読したら全く印象の違う作品なんだろうなぁ。

    有栖川さんの「桜川のオフィーリア」は読んだことがありました。
    が、それでもついつい再読してしまいました。
    もう、これは流石の一言です。
    私にとっては、有栖川さんの作品だけが作品で、歌野さんが駆け出しで他のは習作、趣味という感じ。
    描写があまりに他を圧倒しすぎてます。
    ラストバッターで良かったですよ。
    最初から最後まで薄桃と水の透明な色で彩られた空気、ずっと見えていた陽光。
    本当に美しい作品でした。

    他の方はご自身でも書いてましたが、「私だけは毛色の違う作品を」と思った結果、みんなしっちゃかめっちゃかになってしまっている印象。
    テーマってなんなんでしょうか…

    そういう意味では、歌野さんの作品はすごく川が印象的だし、有栖川さんは「川に死体のある風景」が美しく浮かんできます。

    読んでよかった。
    途中長かったですが、最終的には満足な作品でした。

  • 6名の作家によるアンソロジー。
    ●歌野晶午「玉川上死」●黒田研二「水底の連鎖」●大倉崇裕「捜索者」
    ●佳多山大地「この世でいちばん珍しい水死人」●綾辻 行人「悪霊憑き」
    ●有栖川有栖「桜川のオフェーリア」
    大倉氏と佳多山氏は初読みでしたが大倉氏の「捜索者」が一番好き。
    そして学生アリスシリーズの「桜川のオフェーリア」や、「悪霊憑き」も
    面白かったです。

  • 川と死体をテーマにした短編ミステリのアンソロジ。
    肝心の歌野晶午の作品は別の短篇集(ハッピーエンドにさよならを)に収録で既読。
    綾辻行人(主にあとがき)は面白かったが,他はそれほどでもない。

  • 「川に死体を浮かべること」という縛りで書かれた、オムニバス・ミステリー。

    川に死体といっても、
    どこの川なのか?
    流れの早さや広さは?
    死体は浮いているのか、それともどんぶらこと流れているのか?

    などなど、無限の可能性があるわけです。

    作家ごとに捻り方が様々で、まさに個性のぶつかり合い。

    あとがきの創作話がおちゃらけ気味で、うまく一息いれながら読みすすめられます。

  • 6回美味しい感じの本です。

  • カバーデザイン:石川絢士

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著者プロフィール

大倉崇裕(おおくら たかひろ)
1968年京都府生まれ。学習院大学法学部卒業。97年、「三人目の幽霊」で第四回創元推理短編賞佳作を受賞。98年、「ツール&ストール」で第二十回小説推理新人賞を受賞。2001年、『三人目の幽霊』でデビュー。代表作である白戸修シリーズ、福家警部補シリーズ、警視庁いきもの係シリーズは、いずれのシリーズもTVドラマ化されている。

「2022年 『殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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