放課後探偵団 (書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー) (創元推理文庫)

  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488400552

感想・レビュー・書評

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  • 知らない作家の作品を読むきっかけになるので、アンソロジーは好きです。梓崎優さん、市井豊さんが気に入りました。

  • 新鋭作家たちによる学園ミステリーアンソロジー

    個人的に好きなのは『ボールがない』
    なくなったボールが見つかるまで居残りをさせられている野球部が推理によって最後の一つのボールの行方を探る話

    ただやみくもに探すのでなく、いかにボールのありそうなところをつぶしていき最後につなげるのか。部員同士でディスカッションしつつ話が展開していくので、推理の過程が分かりやすく面白かったです。

    『横槍ワイン』は映画鑑賞中に映画同好会の一人にワインがひっかけられるという事件の真相を推理するという話。

    著者である市井豊さんの『聴き屋の芸術学部祭』シリーズの一編で、キャラのよさ、会話の軽妙さは今回も健在!軽く読ませるあたりもさることながら、真相へのロジックに四苦八苦する探偵、柏木君の奮闘ぷりもまたいいです。

    『スプリング・ハズ・カム』は同窓会の席で卒業式の日に起こった放送室ジャック事件の犯人を推理する話

    どちらかというと青臭い話の多かったこのアンソロジーの中で少しさびしくて、でも心の中をきれいな気持ちにさせてくれる短編でした。

    余談ですが、この本には著作リストもついていて、2011年刊行予定と書いてある作品も何作かあるのですが、そのうちの五分の二がまだ出ていないみたいです。本を出版するという難しさをこんなところで感じました。

  • 2010年11月創元推理文庫刊。書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー。シリーズ1作目。似鳥鶏:お届け先には不思議を添えて、鵜林伸也:ボールがない、相沢沙呼:恋のおまじないのチンク・ア・チンク、市井豊:横槍ワイン、梓崎優:スプリング・ハズ・カム、の5つの短編。5人の作家さんは、当時はデビューしたての新人さんでしたが、いずれも楽しい話で、素晴らしい力作揃い。特に梓崎さんのラストでぐっと来るオチが良かったです。

  • 若手作家5人による書き下ろし学園ミステリー。
    シリーズを読んだ事のある作家さんや、
    これから読みたいなぁと思っていた人の作品で
    どの作品もとても面白く読めた。
    特に最後の梓崎優さんの作品が良かったな。




    似鳥鶏「お届け先には不思議を添えて」
    なくなったビデオテープの謎。

    鵜林伸也「ボールがない」
    100個あったボールが99個しかない。

    相沢沙呼「恋のおまじないチンク・ア・チンク」
    バレンタインデーの出来事。

    市井豊「横槍ワイン」
    映研上映会でワインをかぶったのは何故。

    梓崎優「スプリング・ハズ・カム」
    卒業式で流れたCD。誰が流したか。

  • どの話も読みやすく、一捻りある結末で面白かった。その中でも「ボールがない」の、ライトなようで論理的な展開が一番好みだった。各作者の長編も読んでみたくなる、、アンソロジーとしては良い出来ということかな。

  • 昨年末、梓崎優さんの「叫びと祈り」に惚れ込みました。
    書き下ろし短編があると知り、いてもたってもいられず…(笑)

    やはり梓崎さんの「スプリング・ハズ・カム」がずば抜けて良かった!
    ミステリとしてはある意味、禁じ手?かもしれませんが、
    まさかのオチに衝撃。続いて何とも言えない切なさに包まれる。
    本当にこの作家さんのファンになりつつあります。

    それと市井豊さんの「横槍ワイン」も良かったですね。
    他の作品も読んでみたくなりました。

    中には文章が軽すぎて、好みでない作品もありましたが…

    • kwosaさん
      nanaco☆さん

      連続コメント失礼します。

      >やはり梓崎さんの「スプリング・ハズ・カム」がずば抜けて良かった!

      まったく同意です。
      ...
      nanaco☆さん

      連続コメント失礼します。

      >やはり梓崎さんの「スプリング・ハズ・カム」がずば抜けて良かった!

      まったく同意です。
      梓崎さんの作品は頭ひとつ抜けていましたよね。
      これが読めただけでも、この本を買って良かったと思っています。

      と、いいつつも『叫びと祈り』のほうは、積読の山に埋もれさせたまま、いまだ読んでいないんですよね。
      nanaco☆さんの本棚の★★★★★にも触発され、いいかげんにそろそろ読まねばと思っています。
      2013/04/27
    • ななこさん
      kwosaさん♪

      こちらにもコメントありがとうございます^^

      この本を読んで3か月が経ちますが、
      今思い出せるのは「スプリング・ハズ・カ...
      kwosaさん♪

      こちらにもコメントありがとうございます^^

      この本を読んで3か月が経ちますが、
      今思い出せるのは「スプリング・ハズ・カム」と「横槍ワイン」のみ……(=v=)
      ホント自分の記憶力を呪いたいです。
      読んだ本の内容を永遠に記憶できる機械があったら、
      大枚をはたいてでも買いますよ、私は!(笑)

      「スプリング・ハズ・カム」今でも鮮明に頭の中に残っています。
      これってアリ?という気もしないでもないけれど、
      コロンブスの卵と同じで、やっぱりこのトリックは「アリ」なんだと思いました。

      「叫びと祈り」賛否両論あるようですが、私は大好きです!!!
      kwosaさんのレビュー、楽しみに待っていますよ~~(*'ー'*)
      2013/04/28
  • 映研所蔵のビデオがすり替わった?謎に巻き込まれた葉山君は名探偵の先輩・伊神さんに助けを求め・・・似鳥 鶏「お届け先には不思議を添えて」(『理由あって冬に出る』シリーズ)

    練習で使用した100球のボール。無くなった最後の1球の行方は・・・鵜林 伸也「ボールがない」(2011年に長編デビュー予定)

    バレンタインデーの日、集められ、教卓に積み上げられたチョコの謎とは・・・相沢 沙呼「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」(鮎川哲也賞受賞作『午前零時のサンドリヨン』の続編)

    映画制作同好会の新作観賞会で、メンバーの一人がワインを浴びせられたのはなぜなのか?・・・市井 豊「横槍ワイン」(〈聴き屋〉シリーズ最新作)

    同窓会で掘り出されたタイムカプセル、久々に会い驚かされるクラスメイト、15年前の卒業式の日に起きた放送室ジャック事件。全ての謎がゆっくりと明かされていって・・・梓崎 優「スプリング・ハズ・カム」

    どれも爽やかな学園ミステリ。
    やや「もうちょっと」感のある作品もありましたが、なかなかの秀作揃いです。
    特に抜きん出ていたのが梓崎作品。
    後に残る余韻とあの抒情性!
    既刊『叫びと祈り』を、早速借りてこなければ!!

  • 東京創元社が一押しする新進気鋭の5人の
    若手作家による学園モノのミステリアンソロジー。
    既にデビューを果たした方も、これからデビューを
    控えてる方も...軒並み面白い作品です。流石の
    東京創元社w。しかも文庫で発売ってのが素敵。

    似鳥 鶏、鵜林 伸也、相沢 沙呼 、市井 豊、梓崎 優の
    5名が参加。既にデビュー組の似鳥、相沢 沙呼 、梓崎
    は流石の安定感。特に梓崎氏は圧倒的なデビュー作の
    印象が強かったですが、こういった爽やかな学園
    短編でもその美しさを発揮しています。早く次作が
    待ち遠しくて堪らないです。

    今後デビューの鵜林 、市井も引けを取らない
    ユーモラスで爽やかな作品で早く単独作品を
    読んでみたくなります。

    どの作品も爽やかな読後感でミステリ的にも
    しっかりとした骨格と展開のある作品で、これぞ
    学園ミステリアンソロジーと言っていいのでは??

  • 『放課後探偵団2』がよかったので1もと手にとってみたが。梓崎優「スプリング・ハズ・カム」が秀逸。正直オチは冒頭早々によめたけれどそれでもなお読ませる甘酸っぱさと寂寥感が実にうまい。他の著作も読みたい。他方で他の作品は学園もの設定ということだけど日常の謎中心で謎も謎解きも全体的にパンチが弱い

  • 「お届け先には不思議を添えて」は、学校らしい日常の謎と言えた。ただ手の込み具合は尋常じゃないけども、それでも結局どうでもいいことみたいなオチはむしろリアリティがある。謎って呼ぶから変な期待度があがっちゃうのかもしれないけど、高校生の日常っておそらくそんなもん。恋に恋して、謎に恋するみたいな。

    「ボールがない」は、これまた学校らしい日常の謎と言えた。ここまで暴君な先生がいるのかはわからんけど。ボールがなくなるなんておそらくアホほど起こることで、それを謎って呼んじゃうところに、恋に恋して、謎に恋するみたいな高校生らしさがあるのでないだろうか。そして最後の最後でもう1つのボールが出てくるところに、この作品の一番の高校生らしさがある気がした。

    「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」は、本編を読んだことがある作品なので、登場人物たちの関係性は知っている。長編の方では、主たる登場人物たちのキャラクターがどうも歪というかゾワゾワっとする幼さが前面にでてるというか、そのあたりでひっかりを覚えてしまって、行動や心情に理解が追いつかなかったのだけれど、今回のはそういう描写がそんなに多くなかったからか、素直に読めた。そして今回の謎は恋に恋して、そして秘するが花的な謎の甘美さを恋に被せましたってな感じの高校生らしさがあるのでないだろうか。

    「横槍ワイン」は、言い得て妙、なのかもしれない。何をもって横やりとするのかということをピタゴラスイッチ的にあれがこうなってそれがどうなってなのでここにワインが来るたっていう、伝言ゲームみたいに考えさせられる。じっくり推理して次の一手を決めるゲームというより、トランプのスピードみたいな出しては返されてみたいな銃撃戦の先に、なんだ味方かよみたいなオチは、スピード感があるから受け入れられるものかなと思う。恋に恋して、盲目になったが故の乱打戦。

    「スプリング・ハズ・カム」は、この本の中で一番印象深い。自分としては、いわゆるSF的な要素をミステリーの世界にはそんなに求めてない。ただ、それはトリックにはという意味でということに今更ながら気付かされたのがこの作品だった。いつもなら「なんだSFかよ」ってなるところなんだけども、あぁそうか幽霊かって違和感なく読み終えた。それはトリックにそれが使われたわけではなく、ある種のワトソン的な存在で単なる記憶を想起するトリガーに過ぎなかったからだろう。自分にとって読書範囲がちょっと広がるかもしれないなぁ。
    そして英雄譚に悲劇性はつきものだとしても、やはり悲しいなと思った。

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著者プロフィール

1983年埼玉県生まれ。2009年『午前零時のサンドリヨン』で第19回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。繊細な筆致で、登場人物たちの心情を描き、ミステリ、青春小説、ライトノベルなど、ジャンルをまたいだ活躍を見せている。『小説の神様』(講談社タイガ)は、読書家たちの心を震わせる青春小説として絶大な支持を受け、実写映画化された。本作で第20回本格ミステリ大賞受賞、「このミステリーがすごい!」2020年版国内編第1位、「本格ミステリ・ベスト10」2020年版国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」(Apple Books)2019ベストミステリー、2019年「SRの会ミステリーベスト10」第1位、の5冠を獲得。さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補となった。本作の続編となる『invert 城塚翡翠倒叙集』(講談社)も発売中。

「2022年 『medium 霊媒探偵城塚翡翠(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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