孤島の鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 217
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488401016

作品紹介・あらすじ

密室状態での恋人の死に始まり、その調査を依頼した素人探偵まで、衆人環視のもとで殺された蓑浦は、彼に不思議な友情を捧げる親友諸戸とともに、事件の真相を追って南紀の孤島へ向かうことになった。だが、そこで2人を待っていたのは、言語に絶する地獄図の世界であった…!『パノラマ島奇談』や『陰獣』と並ぶ、江戸川乱歩の長編代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 角川ホラー文庫・田島昭宇表紙版がいよいよ手に入らないので、創元推理文庫で購入。紛れもなく傑作。少なくとも私が今まで読んだ乱歩の長編の中では黒蜥蜴と並ぶベスト作品でした。

    当時だからこそ発表が許されたような作品であり、そのグロテスクな描写にばかり目がいってしまいますが、あの双子の告白文や終盤の暗闇の中でのやり取りなどを読むと、乱歩の真骨頂は心理描写だなと思い至る。本当に心にグサグサと刺さるような登場人物の感情がよく伝わってくる。なんで乱歩の作品は読んでいると夢中になってしまうんだろうといつも思っていましたが、彼の描く心理描写がとても好きなんだなと今更気付きました。
    実に乱歩らしく、乱歩にしか書けない長編です。とても面白かった。

  • 当時のミステリーの潮流は分かりませんが、「探偵小説作家・江戸川乱歩」の作品でなければ、ミステリーにカテゴライズするのもギリギリかなと思わせるほど、謎解きを主眼としていません。ミステリーの定義にもよると思うけど、私の定義は狭いのです(笑)。

    とにかく、差別発言、同性愛、ナルシシズム、奇形、近親相姦などのアングラなテーマをふんだんに詰め込んだ異色の推理小説。犯人指摘は前半でサラッと済ませて、後半は宝探しや犯人捕縛に重点を置いた冒険譚です。

    でも、私もフーダニット至上主義なんですが、これは面白くて一気に読めたのですよね…ちょっと少年探偵団にハマっていた頃の高揚感を思い出しました。

    そういや、ページを捲るのが止められない!夜中に親に隠れてでも読む!ていう読書の楽しさを始めて味わわせてくれたのが江戸川乱歩だったなあ。



    密室状態で恋人が何者かに殺害され、現場からは家系図とチョコレートの缶が盗まれるという不可解な事件が発生した。調査を依頼した友人の素人探偵まで殺された蓑浦は、自身に奇妙な執着を見せる親友・諸戸とともに事件の真相を追って彼の実家がある孤島へ向かう。しかし、そこで2人を待っていたのは恐ろしい真実だった。

  • 伏線が意味を持ちつつ綺麗に回収されていく正統派ミステリ。流石江戸川乱歩。
    諸戸の献身に心を打たれながら読んでしまったので、箕浦が鬼としか思えなかった。想いを受け入れられないのはしょうがない。でも洞窟であそこまで拒絶しておいて、また友達として院長やってね☆は酷いだろう。緑を手術させて結婚してしまうし。嫉妬してしまうという気持ちも聞いたはずなのに。最後の一文には涙。

  • 主人公は普通に結婚しますけども。
    これはもう、乱歩の書いた悲恋系BL小説として読みました。
    乱歩になんてこと言ってるんだ、と思った未読の貴方、一回読んでみてください。
    諸戸視点で小説を展開し直すと、そうにしか見えなくなりますから。
    諸戸があまりにも一途で、というと聞こえがいいですが、あの人、一歩間違ったらストーカーですよ。
    主人公の箕浦も諸戸を突き放すのか、ホイホイ誘いに乗るのか、どっちかにしなさい! と言いたくなる態度。
    しかし最後が悲しく寂しいのに美しい。

  • 主人公が恋人を殺されたことが発端の話なんですが、えらい方向へと展開してゆきます。
    同人誌を読んでいたら、作中にこのタイトルが出てきて、何となく興味を持って読んでみたら何とも秀逸でした。

    いちばん好きなのは、最後のあたりに蓑浦と諸戸が閉じ込められてしまうシーン。
    別に邪な目で見ていたわけではないですが、諸戸の蓑浦への恋心がせつなく、誠実であろうとする彼の心情が本筋よりもずっと好きで、そこばかり読んでいました。

  • 初乱歩。孤島の話になったあたりから内容がヘビーに・・。屋敷の中で繰り広げられていたことが現実の世界でもあることなのだと思ったらゾッとする。
    終始諸戸さんには幸せになってほしいと思っていたんだけど無理だったか。
    洞窟の中ではどうなることかと・・。

    挿絵がなかなかおどろおどろしくてそれがまた物語を盛り上げてくれました

  • ここ2年ほど乱歩がマイブームである。そこで読みそびていた作品をこの文庫でまとめて読むことにした。無名時代の短編など萌芽は感じさせるものの退屈な作品も多いので覚悟と寛容さが必要。さて、この作品はミステリーとしては秀逸であるが現代的な視点では内容的に問題がありすぎる。映像化も絶対に無理だし。それでも乱歩世界のバックグラウンドを十分堪能できる一編。

  • 恋人を殺された主人公が復讐を挑む。だが、相手は社会の業が産んだ鬼であった。
    おどろおどろしいこの物語を興味深く読めたのは、どこか不思議な色気と気品が漂う文章と、竹中氏の魅惑的な挿絵のおかげだろう。
    誰にも関心を持たれず社会から抹殺されている、今の私にも見えていない、そんな存在に気づき目を向ける必要があると感じた。憎悪にまみれた者が歓喜の瞬間に正気を失う皮肉な哀しみが印象に残った。

  • 江戸川乱歩の長編の中では一番面白い

  • 初乱歩作品
    さすが推理小説の巨匠、すごく面白かった
    ラスト付近のハラハラドキドキはなかなか
    途中途中にあからさまな「ここ伏線!」みたいな文章があるのが独特w

    本筋ではないけれど、初代との恋模様の描写がロマンチックで素敵で意外だった!

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著者プロフィール

1894‐1965。明治27年10月21日三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任。昭和40年7月28日死去

「2018年 『人間豹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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