孤島の鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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本棚登録 : 1490
レビュー : 223
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488401016

作品紹介・あらすじ

密室状態での恋人の死に始まり、その調査を依頼した素人探偵まで、衆人環視のもとで殺された蓑浦は、彼に不思議な友情を捧げる親友諸戸とともに、事件の真相を追って南紀の孤島へ向かうことになった。だが、そこで2人を待っていたのは、言語に絶する地獄図の世界であった…!『パノラマ島奇談』や『陰獣』と並ぶ、江戸川乱歩の長編代表作。

感想・レビュー・書評

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  • 角川ホラー文庫・田島昭宇表紙版がいよいよ手に入らないので、創元推理文庫で購入。紛れもなく傑作。少なくとも私が今まで読んだ乱歩の長編の中では黒蜥蜴と並ぶベスト作品でした。

    当時だからこそ発表が許されたような作品であり、そのグロテスクな描写にばかり目がいってしまいますが、あの双子の告白文や終盤の暗闇の中でのやり取りなどを読むと、乱歩の真骨頂は心理描写だなと思い至る。本当に心にグサグサと刺さるような登場人物の感情がよく伝わってくる。なんで乱歩の作品は読んでいると夢中になってしまうんだろうといつも思っていましたが、彼の描く心理描写がとても好きなんだなと今更気付きました。
    実に乱歩らしく、乱歩にしか書けない長編です。とても面白かった。

  • 当時のミステリーの潮流は分かりませんが、「探偵小説作家・江戸川乱歩」の作品でなければ、ミステリーにカテゴライズするのもギリギリかなと思わせるほど、謎解きを主眼としていません。ミステリーの定義にもよると思うけど、私の定義は狭いのです(笑)。

    とにかく、差別発言、同性愛、ナルシシズム、奇形、近親相姦などのアングラなテーマをふんだんに詰め込んだ異色の推理小説。犯人指摘は前半でサラッと済ませて、後半は宝探しや犯人捕縛に重点を置いた冒険譚です。

    でも、私もフーダニット至上主義なんですが、これは面白くて一気に読めたのですよね…ちょっと少年探偵団にハマっていた頃の高揚感を思い出しました。

    そういや、ページを捲るのが止められない!夜中に親に隠れてでも読む!ていう読書の楽しさを始めて味わわせてくれたのが江戸川乱歩だったなあ。



    密室状態で恋人が何者かに殺害され、現場からは家系図とチョコレートの缶が盗まれるという不可解な事件が発生した。調査を依頼した友人の素人探偵まで殺された蓑浦は、自身に奇妙な執着を見せる親友・諸戸とともに事件の真相を追って彼の実家がある孤島へ向かう。しかし、そこで2人を待っていたのは恐ろしい真実だった。

  • 伏線が意味を持ちつつ綺麗に回収されていく正統派ミステリ。流石江戸川乱歩。
    諸戸の献身に心を打たれながら読んでしまったので、箕浦が鬼としか思えなかった。想いを受け入れられないのはしょうがない。でも洞窟であそこまで拒絶しておいて、また友達として院長やってね☆は酷いだろう。緑を手術させて結婚してしまうし。嫉妬してしまうという気持ちも聞いたはずなのに。最後の一文には涙。

  • 主人公は普通に結婚しますけども。
    これはもう、乱歩の書いた悲恋系BL小説として読みました。
    乱歩になんてこと言ってるんだ、と思った未読の貴方、一回読んでみてください。
    諸戸視点で小説を展開し直すと、そうにしか見えなくなりますから。
    諸戸があまりにも一途で、というと聞こえがいいですが、あの人、一歩間違ったらストーカーですよ。
    主人公の箕浦も諸戸を突き放すのか、ホイホイ誘いに乗るのか、どっちかにしなさい! と言いたくなる態度。
    しかし最後が悲しく寂しいのに美しい。

  • 主人公が恋人を殺されたことが発端の話なんですが、えらい方向へと展開してゆきます。
    同人誌を読んでいたら、作中にこのタイトルが出てきて、何となく興味を持って読んでみたら何とも秀逸でした。

    いちばん好きなのは、最後のあたりに蓑浦と諸戸が閉じ込められてしまうシーン。
    別に邪な目で見ていたわけではないですが、諸戸の蓑浦への恋心がせつなく、誠実であろうとする彼の心情が本筋よりもずっと好きで、そこばかり読んでいました。

  • 早い段階で連続殺人事件の下手人とトリックは明らかになる。むしろここからが乱歩の真骨頂!らしい雰囲気をまとった物語は実に魅力を持って読み進められた。
    意識したかどうかは知らないけれども構成としてはホームズの『緋色の研究』や『四つの署名』に似た後半犯人の中身にせまる話で、そこにらしさを詰めれてうまく機能したのだと思う。

  • 実は江戸川乱歩の本はこれが初めてで、しかもどうやら当たりの作品。
    古くさい表現ながらも当時の時代らしさがあり、今もって古くさい作品とは思えない内容だった。
    ミステリーにつきものな密閉殺人や完全犯罪の手口もなかなか面白く、かたわというと今でこそ禁止表現だけどこの時代は普通にあった言葉でしかもそういう人間を作り出しているという悍ましさ。
    読み終わってみればなんだかあっさりしたもので、後半どうやって締めくくるんだろうと思っていたけど、モーツァルトの曲のようにあっさりとつとなく終わらせる、これが江戸川乱歩の作品だ、といわせんばかりに。
    読み応え十分な夏のミステリーにはぜひ江戸川コナン、もとい、江戸川乱歩をどうぞw

  • 昔漫画では読んだけれど、原作は初めて。あらすじはほぼ知ってるのに十分面白かった!

    恋人を殺され、その死の真相解明を依頼した探偵役も早々に殺され、ようやくたどり着いた実行犯と思われる人物も殺される。その後は、敵の本陣とも言える孤島に乗り込んでの対決。
    犯人を捜す推理小説であり、隠された財宝を探す冒険小説であり、グロテスクな恐怖小説のようでもある。プラス恋愛小説の要素もあって、てんこ盛り感がすごい。
    でも、途中張られた伏線もきれいに回収され、最後にすべてが繋がっていく様は読んでて気持ちがいい。

    今では絶対許されない差別的なワードと、同性の恋愛ががっつり描かれているのにはビックリしたけれど、物語としては面白いし、全編を通してのおどろおどろしい雰囲気は好き。

  • 正直に言って後味の悪い作品。
    ただ、面白いかと問われると、素晴らしく面白く、読みやすい。
    昭和初期に書かれたものとは思えないほど読みやすく、入り込みやすい作品であり、だからこそ、後味も悪く胸糞悪いという言葉がしっくりくる。

    登場人物全ての人間に対して色々な意味で気分が悪くなるような、そんな気持ちにさせる本だった。
    江戸川乱歩の作品はどれも、わかりやすい謎解きと、奇怪さが入っているように思う。
    この本も中盤までは謎解きがメインになり、ミステリー小説のように読み進める、終盤になると気味の悪さと恐怖感がリアルに描写されており、読んでいるとこちらまで恐怖にかられるようである。

    ただ中盤までの伏線と言おうか、謎であった部分は全て明るみに出るので本来ならばスッキリとした最後であろうが、なんとなく、釈然としない最後である。
    そのラストに私は色々と考えを巡らせ楽しめたが、今の時代だと読む人を選ぶのではないかと思う。

    そしてこれは時代のせいもあろうが、人間に対して差別的な描写がかなり多いため、ここも胸糞悪いと感じる部分であろう。
    読む時代が今ではなければ、私自身が当時を生きている人間だったならば、少し違った感想が持てたのかもしれない。

  • 初乱歩。孤島の話になったあたりから内容がヘビーに・・。屋敷の中で繰り広げられていたことが現実の世界でもあることなのだと思ったらゾッとする。
    終始諸戸さんには幸せになってほしいと思っていたんだけど無理だったか。
    洞窟の中ではどうなることかと・・。

    挿絵がなかなかおどろおどろしくてそれがまた物語を盛り上げてくれました

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著者プロフィール

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)
1894年10月21日 - 1965年7月28日
日本を代表する小説家・推理作家。三重県生まれ。ペンネームの江戸川乱歩は、小説家エドガー・アラン・ポーに由来。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任した。代表作に『D坂の殺人事件』、『陰獣』、『孤島の鬼』、『怪人二十面相』、『幻影城』、『探偵小説四十年』など。少年探偵団シリーズは絶大な人気を博した。

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