孤島の鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

著者 :
  • 東京創元社
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レビュー : 224
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488401016

感想・レビュー・書評

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  • 当時のミステリーの潮流は分かりませんが、「探偵小説作家・江戸川乱歩」の作品でなければ、ミステリーにカテゴライズするのもギリギリかなと思わせるほど、謎解きを主眼としていません。ミステリーの定義にもよると思うけど、私の定義は狭いのです(笑)。

    とにかく、差別発言、同性愛、ナルシシズム、奇形、近親相姦などのアングラなテーマをふんだんに詰め込んだ異色の推理小説。犯人指摘は前半でサラッと済ませて、後半は宝探しや犯人捕縛に重点を置いた冒険譚です。

    でも、私もフーダニット至上主義なんですが、これは面白くて一気に読めたのですよね…ちょっと少年探偵団にハマっていた頃の高揚感を思い出しました。

    そういや、ページを捲るのが止められない!夜中に親に隠れてでも読む!ていう読書の楽しさを始めて味わわせてくれたのが江戸川乱歩だったなあ。



    密室状態で恋人が何者かに殺害され、現場からは家系図とチョコレートの缶が盗まれるという不可解な事件が発生した。調査を依頼した友人の素人探偵まで殺された蓑浦は、自身に奇妙な執着を見せる親友・諸戸とともに事件の真相を追って彼の実家がある孤島へ向かう。しかし、そこで2人を待っていたのは恐ろしい真実だった。

  • 早い段階で連続殺人事件の下手人とトリックは明らかになる。むしろここからが乱歩の真骨頂!らしい雰囲気をまとった物語は実に魅力を持って読み進められた。
    意識したかどうかは知らないけれども構成としてはホームズの『緋色の研究』や『四つの署名』に似た後半犯人の中身にせまる話で、そこにらしさを詰めれてうまく機能したのだと思う。

  • 昔漫画では読んだけれど、原作は初めて。あらすじはほぼ知ってるのに十分面白かった!

    恋人を殺され、その死の真相解明を依頼した探偵役も早々に殺され、ようやくたどり着いた実行犯と思われる人物も殺される。その後は、敵の本陣とも言える孤島に乗り込んでの対決。
    犯人を捜す推理小説であり、隠された財宝を探す冒険小説であり、グロテスクな恐怖小説のようでもある。プラス恋愛小説の要素もあって、てんこ盛り感がすごい。
    でも、途中張られた伏線もきれいに回収され、最後にすべてが繋がっていく様は読んでて気持ちがいい。

    今では絶対許されない差別的なワードと、同性の恋愛ががっつり描かれているのにはビックリしたけれど、物語としては面白いし、全編を通してのおどろおどろしい雰囲気は好き。

  • うーん、乱歩!って感じ!
    何とも言えない薄気味悪さがいい。

    終盤は伏線回収で色々なことの辻褄が合っていき、そういうことか!の連続で読んでいて気持ちが良かった。

  • 推理小説としてもトリックに唸らされたが、主人公を愛する青年のことを思うと切なくなった。

  • 最後の一文が切ないです。

  • ネタバレも知っているので期待していなかったのだが、読み出すととまらないおもしろさがある。昔なつかしい挿絵もいい味出してる。
    しかし、これ少年向けの読み物なのだろうか。どう考えても刺激強すぎます(笑) 挿絵が途中から作風が変わるが、土壇場(洞窟でのいざこざ)のときだけ、もとのホラー画調に戻ってて笑ってしまった。

    よくできてはいるが二度読みしたくはない。
    BL好きな人向けだと思う。あの時代によくこんなもの発表したものだ。

  • 普段読む推理小説を読む気分で読んだら全然違う雰囲気で驚いた。
    殺人事件自体の推理は半分にも満たず、残りはおどろおどろしい陰謀を解く復讐と冒険、そして愛が絡み合った仄暗い物語。
    美青年、諸戸の同性愛感情が良い味を出してて、まったくそういう描写はないのに彼が蓑浦に接する描写を見るとどこかいかがわしいような、そわそわしてしまった。
    蓑浦が恋人を失って弱って諸戸に容疑をかけ、それを否定しつつ接近する場面。無意識に愛してくれている人に甘えの態度を示してしまう蓑浦。
    2人で推理を進めているときも、一緒にいるとどちらかが異性のように感じて甘い空気になると認めていたり。
    揺れてる、揺れてる!と読者に思わせつつ、けれど、そこまで受け入れているのに、根本的な諸戸の愛には拒否反応を示す。なんとももどかしい。
    最後、諸戸の没するときに蓑浦の名前を呼んでいたというのがとても印象に残った。

  • 気になっていた作品で、ようやく読了。乱歩の、有名な一気読み小説。

    結果は、◎です。
    たしかに、展開が気になって一気読みしてしまうが、何せ昔のミステリーホラーなので、ありえなさ感は満開。
    宝探しゲームと殺人事件とオカルトチックなホラー要素がミックスされていて、(幼い頃、乱歩は読んだことがあるけど)あらためて、独特な雰囲気を醸し出していた。
    結局、犯人は丈五郎で、諸戸の父親ではなかったところは、あれれ?感と無理矢理感があったけど、気持ち悪いと思いつつも、インディージョーンズ的なサバイバルゲームの結末が気になり、話の展開は早くて面白かった。
    くる病という病気(骨格異常)が不具者の一種として本当にあったのが、ヘェ〜だった。

  • わくわく読めた。ラストがまた……。切ない。

  • 幾重ものタブーコードが絡み合ってグロテスクな世界が醸造される、乱歩傑作の一冊。

  • 報われない愛が、私を鬼にする。

  • 乱歩氏の長編は初めてだったけど、とても愉しめた。

    この小説は現代では書けないと思うが、包み隠さない感じがとてもいい。
    今こそ読みたいとすら思う。

    探偵小説であり、伝奇小説のようでもあり、冒険小説のようでもあり、もしかしたら恋愛小説かもしれないという、盛り沢山な内容が一つの世界観に納まるというなんともお得(笑)な小説。

  • 深夜に空腹で読んだら意識が遠のいた。いかにも江戸川乱歩、な禍々しさ、嫌いじゃない。今の時代じゃ書けないよな…

  • エログロナンセンス

  • 謎解き、同性愛、奇形、冒険等いろいろ詰め込まれた長編代表作です。
    竹中英太郎の挿絵も掲載されています。
    蓑浦金之助は会社の同僚の木崎初代と熱烈な恋に陥ります。
    ある夜、初代は完全に戸締まりをした自宅で何者かに心臓を刺されて殺されます。
    恋人を奪われた蓑浦は探偵趣味の友人、深山木幸吉に調査を依頼します。
    これだけだと一見、普通のミステリに思えますが、後半からはグロテスクでおどろおどろしい展開になっていきます。
    孤島に渡ってからの冒険はまさに人外魔境といった感じで息をつく間もない展開です。
    畸形双生児の告白文章は恐怖感だけではないものも感じますし、同性愛だって考えてみれば、美男子である諸戸の主人公への一途な愛情は主人公にしたら迷惑かもしれませんが、素晴らしいものに思えます。
    奇形についてはグロテスクで鬼畜な真相に恐怖しました。
    濃厚な作品です。

  • 異様な殺人事件について綴られる序盤は、
    犯人がまったく見えない感覚が気味悪く、
    初読時は、夜中に何度も背後を振り返ってビクビクしてしまった。
    が、手がかりを掴んで孤島へ乗り込んでからは、
    荒唐無稽さに笑いが込み上げてくるという、
    よく言えば「一冊で二度お得」みたいな、変な長編。
    やっぱり乱歩は短編の方が達者だよなぁ、とつくづく思う。
    いや、これはこれで好きですけどね。

  • 初乱歩。100年弱も昔に出された本とは思えない。すっげぇ!内容はドロドロだけど文章はサラサラ読み進められる

  • エログロという評判だったが、語り口を読んでいるとそうでもなかった。ここからって処では「ここでは憚られる」「書けない」乱歩は実はオクテなのではないかと思ったが、現代が乱歩の時代よりも破廉恥で憚られる時代なのかも。
    「孤島の鬼」は同性愛、孤島、異形とてんこもりだが怪奇小説に初めて接するドキドキで当時に読んでみたかった。
    今読むと諸戸道雄の哀しき片思い、美青年蓑浦の諸戸に対する悪女ぶりの物語。
    「猟奇の果」は前半はかなり淫猥だったのに明智くんが出てきたら少年活劇になってしまった。「武器というのは、ピストルのことを意味するのだ」カワイイな乱歩。

  • 強烈なコンプレックス
    猟奇
    恐怖
    新たな展開にはらはらしながら
    すっと読み終えてしまう

著者プロフィール

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)
1894年10月21日 - 1965年7月28日
日本を代表する小説家・推理作家。三重県生まれ。ペンネームの江戸川乱歩は、小説家エドガー・アラン・ポーに由来。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任した。代表作に『D坂の殺人事件』、『陰獣』、『孤島の鬼』、『怪人二十面相』、『幻影城』、『探偵小説四十年』など。少年探偵団シリーズは絶大な人気を博した。

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