亜愛一郎の狼狽 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M あ 1-4)

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  • 東京創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784488402143

感想・レビュー・書評

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  • マジシャンでもある泡坂氏のデビュー作『DL2号機事件』を含む、亜愛一郎が活躍する短編集です。

    泡坂氏が産んだこの名探偵どんな人物かと言えば…

    長身で端麗な顔立ちにもかかわらず、運動神経はまるでなく、グズでドジなブラウン神父型のキャラクターである。ところがいったん事件に遭遇すると、独特の論理を展開して並外れた推理力を発揮する…(本文の紹介より抜粋)

    と、愛すべきキャラでした。どの作品も独特の謎があり、以前に多少聞きかじった江戸川乱歩の分類に当てはめれば「奇妙な味」に近いなぁ~と思いました。

    ミスディレクションによる心理的トラップがいたるところに仕掛けられていて、高名なマジシャンでもあった著者のミステリの特徴がよくわかる作品郡でした。暗号を扱った「掘出された童話」がとくによかったと思います。

    コミュニティの投稿で教えていただいた情報によれば、シリーズを通して大きな仕掛けが施されてるとのこと。読んでいくのがすごく楽しみです。

  • 主人公の「亜」をはじめ、登場人物達がとても魅力的です。

    逆説や意表を突くロジックと真相ばかりの質の高い短編集で、とても楽しいです。

  • 奇術師でもある著者ならでは
    遊び心を感じるネタ満載

  •  とても楽しい短編ミステリ集であった。名探偵亜くんの(本当にアという名字である)ひょうひょうとしたキャラクターもとても魅力的である。が、なんといってもちょっと意表をつくようなトリックが並んでいて、それがすばらしい。
     「ホロボの神」という短編がある。これは戦時中の南国の島が舞台なのだけれど、死んだばかりの妻の死体のそばで未開部族の酋長が銃で頭を撃ち抜かれて死んでいる。二人の死体があった場所は一種のテントなんだけど、儀式のものなのでまわり中を部落の者達が目を離さず囲んでいるので、絶対に人が出入りすることはできない。それなのに、自殺ではなくて他殺なのである。さすがにそれは無理だろうって思いながら読んだが、できてしまう。しかも、なんというか機械的なものではなくて、見事に盲点をつかれたって思ってしまった。
     そのほかにも魅力的な話がたくさんあり、ちょっとほのぼのとしていていい感じだ。

  • おっちょこちょいな美形探偵ってむっちゃ萌えキャラだと思うんだけど。
    ピンクパンサーのクルーゾー警部の、なんだかドジな行動してるうちに
    事件が解決しちゃった的な。
    ちょっとトリックに昭和風味入ってるとこがまたイイ。
    三角形の顔の老女は、私てきには牧美也子先生「悪女バイブル」の
    変装顔のイメージ。(松本零士先生の奥様でしたっけ)

  • とにかくユニークな探偵、亜愛一郎。切れるのかボケてるのか、運動神経良いのか悪いのかもまったく不明、つかみ所なし。外見と中身のギャップも甚だしい。でもけっこう好感が持てるなあ。
    第一話「DL2号機事件」からしてやられた! この発想はとんでもない! 一瞬「んなアホな」と思いそうになるのだけれど、よく考えてみると、こういう思考ってたしかにある。ここまで極端ではないけれど、こういうこと考えたりするもの。それがこういう形になるとは、してやられた。読み終わってみると、違和感もまったくなし。

  • 亜 愛一郎の区切りなのね。手品、奇術、メンタルマジックを最大限に用いたトリック。殺人が起きてるのになぜかコミカル。楽しく読めます。DL2号機事件、ホロボの神、曲がった部屋が特に好きかなあ。

  • やっぱり好みの作風だった。
    面白いなあ。
    容姿は二枚目、立ち居振舞いは三枚目、推理力は一級品。
    とにかく亜のキャラが良い。
    ユニークかつトリッキーな短編がそろっており、亜が披露する推理には感嘆せざるを得ない。
    特に「DL2号機事件」の真相には度肝を抜かれた。
    続編も読む。

  • 正月休み中に一気読み。お初の作家さんですが、以前ドラマ化されてたので買ってみました。原作の亜愛一郎は容姿端麗とのこと、ドラマとはちょっと違ったなぁf^_^;短編集ですが、ちょいちょい登場人物が被ります。謎解きはちょっと無理があるかな…という場面もありましたが楽しめました。中でもホロボの神が良かったです。でも差別用語等もあり、なんとなく昭和初期の小説なのか⁇って感想も持ちました。続編もあるのでいつか読んでみたいですね。

  • G・K・チェスタトンの『ブラウン神父』シリーズと並び称されるほど、世評の高い本書は、私の期待値が高過ぎたためか抱いた感慨は世間のそれとは隔たりを生じてしまった。

    1つ1つの短編については、今になってみれば過去の名作へのオマージュのように受け取れなくも無い。特に最後の「黒い霧」はブラウン神父の「青い十字架」の裏返しといった作品である。
    ただ真相解明に至った時のパンチ力が無い。理路整然とし過ぎているのだ。

    しかし、私の本シリーズへの関心はもっと別の所にある。
    各編に登場する「三角顔の老婦人」、この人は果たして何者なのかという事である。

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著者プロフィール

泡坂妻夫(あわさか つまお)
1933~2009年。小説家・奇術師。代表作に「亜愛一郎シリーズ」など。『乱れからくり』で第31回日本推理作家協会賞。『折鶴』で第16回泉鏡花文学賞。『蔭桔梗』で第103回直木賞。

「2020年 『秘文字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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